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解説集:データ活用で考えるデータの選び方

日本瓦斯 基幹システムをフルクラウド化した「雲の宇宙船」で、デジタルトランスフォーメーションを進める

--ITの投資戦略というとERPなど基幹系が多く、基幹系のクラウド活用はまだ多くの企業が手をつけていない段階です。一般的に「攻めのITと守りのIT」と分けたりしますが、御社はどのようにとらえていますか。

松田投資額だとニチガスで最も大きいのは基幹システムです。しかしこのままでよいかというと、そうではありません。私たちのビジネスモデルはエネルギーの小売りですが、地域に根ざしたサービスを考えています。

 ニチガスのシステムで最も重要なのは「流量を測ること」と「料金を計算すること」 です。ほかの細かな条件は分離できます。固まっていた仕組みをバラバラにできると、将来新しいサービスを提供するときに必要な部分を切り出すことが可能となります。

 今はレガシーの部分をリファクタリングしているところです。これが終わり顧客管理が分離されたところで全顧客に統一的なDigital IDを付与します。これにより、認証されたアカウントに対してのデータアクセスを管理可能になり、言い換えればデータをお客様に返すことになります。データをどのように使うか、毎回オプトインで許可を取り、そのメリットをお客様に返す仕組みを考えています。

 それをアプリケーションレイヤーとインフラレイヤーで同時に進めています。最終的にはそうした技術を組み合わせたシェアリングエコノミーにたどり着くというストーリーを描いています。

--一般的に「守りはオンプレ、攻めはクラウド」ですが、御社は守りの部分をクラウド化したのですね。

柏谷電気や都市ガスの自由化がスタートして、成長のスピードが年間4~5万から15~20万件へと増加しました。オンプレのハードウェア増強では対応しきれません。その点、クラウドは急な変化に対応して規模を拡大できます。いいものがいいタイミングで世に出回ってくれてよかったなと思います。

--走りながら新しいものを作るのは難しいことだと思いますが、ビジネスサイドではどのように乗り越えてきたのですか。

柏谷エネルギー小売市場で最も早く自由化し、揉まれて成長してきたせいか、失敗に対する恐怖感があまりありません。保安に関しては失敗のないように徹底していますが、失敗に対するペナルティはなく、挑戦しないと「なぜやらないの? 転びながら考えなさい」という文化です。だから新しいことに対する抵抗感があまりありません。

 かつては国から定められたエリアでしか事業ができませんでしたが、今では大きなマーケットに参入できるようになり、毎年規模を拡大し、新しい事業を組み込んでいます。だからこそ、変化していかなければならないという認識が強いです。

--松田さんの肩書は、営業であり、ITでもありますね。営業とITが同じ部署ですが、コミュニケーションはどうしていますか。

松田例えばシステム改修の要望なら、エンドユーザーに言われたとおりには改修しないようにしています。営業の「こうしてほしい」は1つの手法であり、システムのプロはより多くの手法を知っています。「本当は何がしたいのですか?」「何に困っているのですか?」と聞いて本質をとらえると、よりよいものになります。メンバーにはヒアリングを重視するように伝えています。

柏谷松田が来て、ITチームが変わりました。それまで営業に応えるのがITチームでしたが、今ではITチームが営業に「今の技術ならこんなことができます」とヒントを与え、渦を起こしてくれるようになりました。コミュニケーションが一方向から相互になり、本当のゴールはどこか、何を重視するのかというところに議論が進んでいます。

--トライアンドエラーで新しいものを生んでいくと、不評なものを閉じる柔軟性も必要になりますよね。一般的には減価償却したりしますが、クラウドのアジリティだと作るのも早く撤退も早いと思うのですが、不要な古いシステムはどうしていますか。

松田古いものをレガシーととらえるなら、今リファクタリングを進めています。重視しているのは分割してマイクロサービス化すること、インターフェースを定義することです。ただしマイクロサービスは管理が意外と大変なので、ちょうどいいサイズに分割するのが大事です。新しいシステムだと、自分たちでPoCできるようにしています。自分たちで作り、面白いものがあったら見せる、必要がなくなったら閉じることができるように。

 最近、社内用のアプリを作っています。社内の業務システムを全部クローリングして、サーチできるようなものを目指しています。将来的には現在導入中のBOTとRPAも取り込みます。社内業務一覧が分かるようなメタ情報のデータベースを作り、インデックスを作成しています。すると業務が検索できて、実行できるようになります。

 そもそも業務システムは「全部乗せ」なのです。ユーザーが考えるUXやCXとはかけ離れています。ユーザーが一般的な業務システムを使うには、今は何をしている状況か、何をしなくてはいけないのかと2回コンテクストを解釈しなくてはなりません。これではムダが多いので、コンテクストの解釈をゼロに近づけたいと考えています。

 それで現在の業務をAPI化し、そこにぶらさがるBOTを作っています。業務システムがWebからアクセスできるようになると、AIがコントロールできるようになります。そこが目指す世界であり、2年くらいでできると考えています。

柏谷そうしたことが背景にあり、エストニアのブロックチェーンの仕組みを学んだり、新しい技術を取り込もうとしたりしています。現場がどの業務フローで行き詰まっているのかを見て、ITチームが「こういう技術で解決できる」と提案することで効率化が進んでいます。

--今後はクラウドを適材適所で選び、マルチクラウドが進んで行くかと思いますが、クラウドにどのような期待をお持ちですか。

松田クラウドもコモディティ化してきて、ある意味で価格勝負になってきているのでどのベンダーでもいいと思っていますが、データの出し入れにかかる“通行料”が高いというのは、気をつける必要がありますね。そうした中で、クラウド選定のキーとなるのは、クラウドベンダーがどんなサービスを提供してくれるのかだと思います。スクラッチで開発すると多大な時間を要するので、必要なサービスを提供してくれることがクラウドベンダーの付加価値になると考えています。例えば、ニチガスでは「ニチガスストリーム」というサービスを提供していますが、Apache KafkaベースのIBM CloudのIBM Event Streamsには興味があり、いずれ使ってみたいと考えています。

柏谷IoT化もどんどん進展しています。ニチガスのお客様は150万件、所有する車両は3000台あります。様式が異なるデータをスピーディーに集め、必要なものだけを抽出できるシステムを構築するうえで、最も適したクラウドや仕組みを求めています。

--本日はどうもありがとうございました。

提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2019年12月31日
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