プロプライエタリなメインフレームとオープンソースソフトウェア(OSS)であるLinux──。そのコンビネーションに対し、いまだに違和感を覚えているとすれば、考え方を改める必要があるかもしれない。というのも、IBMメインフレームのアーキテクチャをベースにした次世代型Linuxサーバ「IBM LinuxONE」が、ユーザーの裾野を広げながら、エンタープライズITの変革を加速させているからだ。
大規模クラウドサービスを支える経済性の高い基盤

日本アイ・ビー・エム株式会社
IBM Z/LinuxONE テクニカル・セールス
クライアント テクニカル スペシャリスト
清水 大紀氏
IBMメインフレームでのLinuxサポートの歴史は古く、2000年にはメインフレーム上でLinuxが稼働していた。
それから今日に至る約20年間にわたり、IBMメインフレームとそこで稼働しているLinux(通称「z/Linux」)は、高可用・高信頼のインフラ上でLinuxを動作させたいというニーズを満たしながら、ユーザーの裾野を押し広げてきた。そして今日、「メインフレーム×Linux」に対するニーズは、次世代Linuxサーバである「LinuxONE」(現行モデルは、「IBM LinuxONE Emperor II」「IBM LinuxONE Rockhopper II」)に引き継がれている。
メインフレームは、独自性の強い“レガシーシステム”の象徴のように見なされることが多く、Linuxに代表されるオープンソースソフトウェア(OSS)とは対極にあるITと感じる方も依然として多い。そうした方は、LinuxONEは、あくまでも、オープンシステムに対するメインフレームユーザーのニーズを充足するものであって、それ以外のユーザー企業にとっては縁遠いシステムと考えがちだ。
ただし、実際にはそうではなく、LinuxONEユーザーの半数は、旧来からのメインフレームOS「z/OS」を持たない企業であると、日本IBMの清水大紀氏(IBM Z/LinuxONEテクニカルセールス クライアント・テクニカル・スペシャリスト)は指摘する。
これは要するに、IBMメインフレームを使っているいないにかかわらず、純粋なLinuxプラットフォームとしてLinuxONE(あるいは、IBMメインフレーム)を評価し、導入している企業が多くいることの現れと言える。
ならばLinuxONEは現在、どのような企業が、どのような用途に使っているのだろうか。

日本アイ・ビー・エム株式会社
IBM Z/LinuxONE テクニカルセールス
秋山 貴俊氏
LinuxONEの導入企業として、日本で近年増え始めている一群が、クラウドサービスプロバイダーであると、IBM Z/LinuxONE テクニカルセールスの秋山貴俊氏は明かす。
LinuxONEには、Linuxを動作させる数千台規模のIAサーバを集約して、24時間365日安定して運用できる圧倒的なキャパシティと可用性がある。
トラフィックの増大にもダイナミックに対応できる縦横のスケーラビリティも確保されており、コンテナ(Dockerコンテナ)のオーケストレーションツール「Kubernetes」の活用によって、クラウドプラットフォームと同様のオートスケールの仕組みをソフトウェア的に実装することも可能だ。
こうしたことから、クラウドサービスの基盤をIAベースのLinuxサーバから、LinuxONEへと切り替える(あるいは、切り替えようとする)プロバイダーの動きが活発化しているようなのである。
「数千台のIAサーバを使い、Linuxプラットフォームを24時間365日無停止で運用しようとした場合、ヒトの運用努力によってシステムの能力不足を補っていかなければならないことが多くあります。ところが、LinuxONEならばそのようなことはなく、非常に少ない運用工数で膨大な数のLinuxサーバの可用性を担保し、SLAを履行していけます。中長期的に見てIAサーバとLinuxONEのどちらを選択するのが“経済的”かは明らかで、それが、LinuxONEに対するプロバイダーのニーズの高まりにつながっています」(清水氏)。
加えて日本では、IT技術者の絶対数が足りておらず、クラウドサービスプロバイダーにおいてもIT人材──なかでもIT運用管理技術者の不足が深刻化している。それも、IT運用管理に多くの人手をかける必要のないLinuxONEへの需要を押し上げているようだ。
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