新たな勝ち組と負け組を生み出すのか 　さらに進化したデジタル・テクノロジーが推し進める、ビジネスの破壊と創造

これはＳＦではない！ビジネスを変える、新たなデジタル・テクノロジー

　ビジネス環境の激変が続いている。欧州のデフレ傾向や、新興国経済の盛衰。日本社会の閉塞感とそれを打開しようとする大胆な施策というように、ビジネスをとりまく環境は、日々刻々と変化している。

　このような激しい変化の要因のひとつとなっているのが、新たなデジタル・テクノロジーの台頭だ。

　たとえば、IBMが開発した人工知能型コンピューター「ワトソン」は、クイズ番組の解答から料理のレシピ作りまで、かつてない領域に進出している。日本でも、ソフトバンクとIBMが共同で、日本語対応に取り組んでいる。そのソフトバンクも、感情認識パーソナルロボット「Pepper」により、店頭でのお客様とのコミュニケーションを革新しようとしている。そして、これらの背景にあるのが、いわずと知れたクラウドとビッグデータ解析である。

　これらの新しいデジタル・テクノロジーは、このような変化のスピードをさらに加速させて、かつてないビジネススピードを可能にしているのだ。日本企業において、自社ビジネスの計画と決定は、この変化に対するボトルネックになっていないだろうか。

ビジネス先駆者は、新たなデジタル・テクノロジーにどう取り組んだのか

　大きな変革の時代に参考になるのが、先駆者の事例であろう。ジェフリー・ムーアによるハイテクマーケティングに関する『キャムズ理論』では、アーリアダプターと呼ばれる、新たな技術や製品を積極的に調査・検証する初期採用者の取り組みが、その後の普及に影響を及ぼすとしている。

　「IBM XCITE SPRING 2015」で、もっとも注目される事例は、人工知能型コンピューター「ワトソン」と感情認識パーソナルロボット「Pepper」に関するソフトバンクによる基調講演であろう。ソフトバンク代表取締役副社長で、ソフトバンクテレコムCOOの宮内 謙氏の登壇が予定されている。

　ビッグデータに関する事例では、カー用品などの販売を手がけるオートバックスセブンの取り組みが興味深い。同社は、マーケティング基盤の統一により、車の購入から、カー用品の購入、メンテナンス、車検・整備に至る、一連のカーライフサイクルの全てのステップにおいて、個々の顧客に応じた的確な情報提供と、顧客の利便性の大幅な向上を可能にしている。「IBM XCITE SPRING 2015」では、株式会社オートバックスセブン 執行役員　マーケティング担当の藤原 伸一氏が登壇の予定だ。

　当日のイベントでは、このほかにも多数のクラウド&アナリティクス事例講演やパネルディスカッションが開催予定だ。新たなデジタル・テクノロジーが広まるかどうかは、その技術が実用的で本当に役に立つのかどうかにかかっているが、アーリアダプターの導入事例は、その点でも大いに参考になるだろう。

新たなデジタル・テクノロジーの影響は、あらゆる産業におよぶ

　ここまで紹介してきたような新たなデジタル・テクノロジーは、一部の先進企業だけが取り組んでいるわけではない。あらゆる産業に、その影響が広がっている。

　たとえば、みずほ銀行をはじめとして日本の大手銀行が、すでにワトソンを採用したり評価したり、といったニュースを目にした方も多いだろう。保険業界などのコールセンターにおいて、お客様から寄せられる膨大な問い合わせをクラウド上で分析し、業務効率化と品質向上を実現するといった事例も登場している。製造業においては、IoT(モノのインターネット)と呼ばれるキーワードにより、単なるモノづくりから、モノを中心としたサービス作りに軸足が移り始めている。

　「IBM XCITE SPRING 2015」では、このような銀行・保険・製造・流通・新エネルギーといった産業別の事例やソリューションも多数紹介される予定だ。さらに、話題になったIBMとアップルの間のモバイル分野での提携について、各産業界の常識を変えていくような全く新しい世界を体験できるという。

　新たなデジタル・テクノロジーによるビジネスの大きな変革を、自ら体験してみてはいかがだろうか。