創立50年の独立系ITサービス企業
ワンストップで使えるマネージドクラウドを提供
アイネットは1971年に創立、2021年に創立50周年を迎えた独立系データセンター・プロバイダーだ。創業当時からガソリンスタンドの受託計算事業を手掛け、現在では全国1万店以上のサービスステーションに決済システム等のサービスを提供している。さらに2009年には自社ファシリティによる法人向けクラウド事業を立ち上げ、同社のクラウドサービスであるDream Cloudは現在、さまざまな業種1400社以上の顧客にサービスを提供するまでに成長してきた。
アイネット
DC本部 クラウドサービス事業部
営業部
係長
大沼賢太郎氏
「当社は創業以来、開発から運用までワンストップのITサービスを提供し、クラウド事業においても、ITフルマネージドで提供しているという点が特徴です。とくに、運用は“運用のアイネット”と自負するほど注力しており、他社IaaS事業者との差別化戦略にも繋がります。基本的にはお客様毎の専任営業及びエンジニアの体制で、お客様社内の情シス基盤チームのような柔軟で手厚いサポートを実現します。お客様は自社のコア業務に注力できるようご支援することが弊社の目指すところです。例えば、市場拡大が進む大手事業者が提供するパブリッククラウドは、利用する際にポータル画面から様々な設定と設定に伴う設計をする必要があるなど、知識や経験がないと難しい点も感じるかと思います。アイネットはクラウドサービスそのものも付随するサービスも、すべてワンストップでニーズにお応えします」と、同社DC本部 クラウドサービス事業部 営業部係長の大沼氏は自社の特長を説明する。
課題が多かったクラウド基盤のストレージに、
ピュア・ストレージのFlashArrayを採用
アイネットのクラウドは主に企業の基幹系システムの稼働先として用いるユーザーが多い。設計・構築から運用・監視まですべてを、「仮想化運用代行センター(Virtualization Operation Center:VOC)」という部隊が担っている。
VOCに所属するエンジニアの一人で、2010年からクラウド基盤の運用に携わっているITMS本部 ITソリューション事業部 総合技術部 クラウドサービス課 係長の小林氏は、ピュア・ストレージ採用以前はストレージの運用に苦労が多かったと説明する。
アイネット
ITMS本部 ITソリューション事業部
総合技術部 クラウドサービス課
係長
小林佳氏
「これまで2~3社のストレージを使ってきましたが、どれも課題が感じられました。共用サービスとして提供しているストレージでは、障害が発生した際のトレースが困難です。お客様の一部にのみ影響が生じた場合などは、とりわけ困難でした。そういった事象が毎週あると、なかなか前向きな取り組みもできません。また、運用がクリティカルな局面でのメンテナンス性も大きな課題でした。例えばファームウェアのアップデートは年に1~2回は必要になってきましたが、コントローラにローリングアップデートを行う際、パスが切り替わるだけでもI/Oに影響が出ることがあります。ときには想定外の影響が出たこともありました。アップデートのたびにデータベースを止めるなどの調整が必要となり、ときには調整で半年を要するなど社内調整に苦労していました。もちろんアップデートの頻度も最低限にせざるを得ませんでしたし、運用現場の工数も相当なものでした」
こうした経緯から、新たなストレージを選定する際、小林氏らエンジニアは特に運用性を重視。その候補を検証していくなかで出会ったのが、ピュア・ストレージのFlashArrayだった。
クラウドアプリベンダーに適した
IaaSサービス、Next Generation EASY Cloud
こうしてアイネットは2019年頃から、自社クラウド基盤におけるストレージをFlashArrayへと順次置き換えていき、運用負荷が格段に軽減された。現在では同社のIaaSサービスであるNext Generation EASY Cloudにおけるストレージの大部分がFlashArrayとなっている。
「日頃の運用でもアップデートでも問題がなくなり、ストレージ運用における心配事がなくなりました。ストレージに対するお客様からの問い合わせも減っています。パフォーマンス状況なども詳細に分かる画面となっており、現場との情報共有もしやすくなりました」と小林氏は評価する。
この運用面での効果は、アイネットのクラウド事業そのものにも変化をもたらした。同社のIaaSサービスであるNext Generation EASY Cloudは、下図のようにユーザーニーズに応じて「Public」「Dedicated」「Private」「On-Premises」の4種類のモデルを提供しているが、共用ストレージのDedicatedを利用するケースが増えてきたと大沼氏は話す。
図:Next Generation EASY Cloud の4種類の提供モデル
「これまでは、Publicを使っているお客様が、システム規模が拡大するのに伴って専用サーバを使おうとしてDedicatedを選んだものの、ストレージの性能面でPrivateへ移行せざるを得ないケースがありました。FlashArrayに移行してからはそうした課題がなくなり、更に専用ストレージのメニュー拡充も行うことでDedicatedのメリットが際立つようになりました。Privateよりも運用面で有利であるだけでなく、Publicとアーキテクチャが共通であるため無停止の基盤移行や必要なリソースを必要な時に利用可能なクラウド特有のメリットも享受できます」(大沼氏)
Dedicatedモデルが使いやすくなったことで、クラウドアプリを開発・提供するベンダーなどのユーザーも増えてきていると大沼氏は話す。
「クラウドアプリベンダーのお客様は、基盤拡大につれて共用サービスから専用サービスへの移行を選択することがありますが、コストメリット的に有利な選択肢がDedicatedモデルです。さらに当社が得意とする運用面のサポートが加わることで、アプリ事業の利益率向上に寄与します。規模が大きくなってくれば、そのシステム基盤の運用にも人員を割かないといけなくなってきますが、弊社のメンバーが24時間365日の体制で運用を強力に支援するので、お客様は “本業”に専念することできます」(大沼氏)
図:Next Generation EASY Cloud」(NGEC) Dedicatedモデルの詳細
ピュア・ストレージとの関係を深め
クラウド事業をさらに拡大
アイネットでは、FlashArrayを提供するピュア・ストレージとMSPプログラム締結し、今後さらなるステップアップを目指していく。
「次のステップでは、当社のサービスとして活用するために運用を作り込むことを考えています。ピュア・ストレージには、これまでのサポートからMSPプログラムへと関係を深めることで、より当社の事業に即した相談に乗ってもらえるようになると期待しています」と小林氏は語る。
大沼氏も、機能面もさることながらブランド面でも、ピュア・ストレージとのパートナーシップが生きてくると期待している。
「『Powered by Pure Storage』のような形で、両社のブランドを組み合わせた展開を検討しています。すでにオンプレミスでFlashArrayをお使いのお客様にも、高品質なピュア・ストレージをサービス利用、かつストレージ以外の基盤部分も含めてアウトソース可能なサービスとして、当社のDream Cloudをご検討いただけるようになります」