レノボが描く
「Intelligent Transformation」
まずは、レノボDCGが注力している「Intelligent Transformation」について教えてください。
ロボトム氏 私たちは、ビジョンとして「最も信頼されるデータ・センター・パートナーとしてお客さまのインテリジェントな変革(Intelligent Transformation)に貢献することで人類最大の課題を解決します」と宣言しています。
私たちが目指すインテリジェントな世界では、例えば、予測分析の「精度を90%にまで向上」、AIによる「ソリューション提案と結果シミュレーションによるスマートな決定」の実現、そしてブロックチェーン技術によって「迅速な意思決定につながる取引先データ」の管理を可能にします。また、自動運転車やロボットなど自律的な機械(Autonomous Things)に関しても、「あらゆるものをカスタマイズしてスケール化」することができます。
企業は、テクノロジーがデータセンターやパートナーを通じて活用できることを前提に、将来のビジネスを考えていくことが必要です。そして、現実のものとする戦略として3つの「S」として、「Smart Infrastructure」、「Smart IoT」、そして「Smart Vertical」がエコシステムを実現します。このIntelligent Transformationを実現するために全世界で積極的に投資を行っています。
業界トップクラスのパフォーマンスとHCI
「Smart Infrastructure」の核となるデータセンターのトレンドを教えてください。
ロボトム氏 コンピューティング パワーの最高峰であるハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)の市場は、近年急速な伸びが見られます。現在、レノボの製品は世界のHPCトップ500のうち約35%に採用され、第2位のベンダーに対して倍以上の大差をつけたNo.1のシェアを獲得しています。
レノボがマーケットで支持されている理由を、どのようにお考えですか。
ロボトム氏 私たちには、止めてはならないワークロードを守り、お客さまに「安心」していただいているという誇りがあります。信頼性は最高レベルの「ファイブナイン」、つまり99.999%を達成しています。22カ国で750人以上のCXO/ITを対象に行ったITIC社の最新の調査では、想定外のダウンタイムが他社に比べて最大15分の1という圧倒的な信頼性と評価され、6年連続No.1になっています。
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ
代表取締役社長
ジョン・ロボトム 氏
また、レノボでは積極的に業界標準や主要なベンダーのベンチマークを実施しており、業界トップのパフォーマンスであることを実証しています。2019年時点で、各種ベンチマークトップの記録は141にのぼり、ここでも競合他社に大差をつけています。
ニーズが高まっているHCIについても、近年ユーザーからの評価が急速に高まっているNutanixとの強固なパートナーシップを締結し、日本においてもLESとニュータニックス・ジャパンは、営業から導入、サポート面でも緊密にコミュニケーションをとりながらビジネスを急速に拡大しています。
町田氏 世界で初めて「HCI」を創始し、パートナー各社と共に市場を築いたのがNutanixです。世界有数のIT調査会社をはじめ第三者機関からも、トップポジションに位置づけられ、ビジョンだけでなく実行力も評価されています。その責任と誇りを持ってEnterprise Cloud OSという名称でHCIや、関連ソフトウェア、Cloudサービスをお届けしています。私たちはあくまでソフトウェア企業ですので、データセンターのモダナイズに貢献するために、充実したハードウェア製品群を持っているLES社との協業は非常に重要と考えています。
IT人材不足の日本がとるべき道
「クラウド・ライクなオンプレミス」
先ほど世界の上位企業ではモダナイズが進んでいると伺いました。日本の状況はいかがでしょうか。
ロボトム氏 CIO層の方々と対話する機会が多いのですが、皆さまは口を揃えて、「将来を見越したデータセンターのモダナイズが必要だ」とおっしゃっていますが、実際に保有、利用している現在のデータセンターの多くは古いままです。
町田氏 海外では、基幹システムでさえクラウドに移行することがトレンドとなっており、オンプレミスでも「クラウド・ライクな運用が可能な最新のHCI」による自由度の高いデータセンターへと移り変わっています。一方、日本のデータセンターでは、レガシーシステムが多いのが実態で、その大きな理由の一つに、IT人材の不在が挙げられます。
それは、ITベンダーによるサポートが不十分なために、クラウドシフトが進んでいないのでしょうか。
町田氏 根底にある問題は、IT人材の多くがベンダー側に偏っていることです。ある調査結果によれば、欧米ではベンダー側とユーザー側のIT人材の割合が50%ずつですが、日本ではユーザー側に25%しかいません。中堅以下の企業では、さらに深刻な状況です。つまり、ユーザー側には、自社のITについて将来を見据えて道筋を付け、実行まで手がけられる人材が不足している現状があります。ユーザー側の企業が自社ビジネスに合わせたIT投資の意思決定が困難な状況になっています。
ニュータニックス・ジャパン合同会社
社長
町田 栄作 氏
ロボトム氏 「2025年の壁」などの要因から、ITシステムのメンテナンスが難しくなり、世界の中で競争力低下の懸念が間近に迫るなか、我々はユーザー企業のクラウドシフトをサポートする責務があると自負しています。ユーザー企業だけでは、いきなり全面的なクラウドシフトは難しいのが実情です。業務アプリケーションのカスタマイズも多く、標準機能の利用を前提とするクラウドへ容易に移行できないモジュールがあることも障壁となっています。
自社のITについて将来のグランドデザインを描いたうえで、「HCIによってオンプレミス環境をクラウド・ライクに利用」し、インフラの管理に要する工数を削減することが最も確実かつ現実的な買いの一つです。今では全社規模のERPのようなミッションクリティカルなワークロードをNutanixのHCIで稼働する例もあり、その他のワークロードの追加などビジネスに合わせた処理能力の拡張も極めて容易です。また、セキュリティ対策をコントロールできることも利点と言えます。
ITインフラベンダーのバリューを変える
「3S」戦略の3つめ、「Smart IoT」について教えてください。
ロボトム氏 McKinsey & Companyの予測によれば、IoTの市場規模はグローバルで2025年に最大11兆1000億ドルに成長する見込みです。しかも、産業、医療・ヘルスケア、公共、小売などと、幅広い分野に影響を及ぼすものですから、Intelligent TransformationにとってIoTが重要テーマであることは明白です。もちろん、私たちIT産業にとっても大きなチャンスだと捉えています。
ありがとうございます。両社の強み、そして組むことによる価値とは何でしょうか。
ロボトム氏 レノボには信頼性と拡張性に優れ、Nutanix HCIの導入を劇的に容易に行える「ThinkAgile HX」シリーズがあります。
両社の協業によってThinkAgile HXにNutanixのソフトウェアが完全に統合され、日本国内の高品質な環境でお客様のニーズに合わせた環境を事前に構築、検証された状態で出荷されるため、導入や保守の時間、コストを大幅に削減できます。
町田氏 LES社では、ThinkAgile Advantage サービスにより、ワンストップでサポートいただけるので、弊社のEnterprise Cloud OS と LES社のプラットフォームを包括的に運営できることも好評です。主要なパッケージや仮想デスクトップ基盤(VDI)といったソフトウェアが検証済みですので、安心かつ手間なく既存の環境から移行できます。
企業にとってITは、ビジネスのコアであり競争力の原動力です。それを高めるためには、人材はインフラではなく、投資判断やアプリケーションといった上位レイヤーで知恵を使うことが肝心です。そこで大きな手助けとなるのが、インフラの中身を気にせず、ビジネスを止めることなく必要な時にリソースを追加していけるHCIなのです。
私たちが一緒に目指しているのは、ITインフラに関するベンダーのバリューを変えることなのです。