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コンテナ本番稼働が続出する中Kubernetesの認定制度エルピーアイジャパンがクラウドネィティブなエンジニア育成

 Linuxの技術者向け認定制度であるLinuC(Linux Professional Certification)の運営で知られるLPI-Japanは12月2日、コンテナを管理するためのプラットフォーム「Kubernetes」のスキルを認定する試験制度を開始した。

 コンテナをデジタルトランスフォーメーション(DX)の実施に当たり中核となるアプリケーション開発形態として注目しており、今後のクラウドネィティブな環境において、対応できるITエンジニアを育成する狙いがある。

 LPI-JapanがThe Linux FoundationのCertification Partnerとして、Kubernetes技術を認定する試験として実施するのが「CKA試験」と「CKAD試験」の2つ。

 CKA試験は「Kubernetes管理者認定試験」(Certified Kubernetes Administrator Exam)の略称。試験は、認定を取得するとKubernetesの管理者に必要なスキル、知識、および能力が備わっていることを証明できる。

 一方、CKAD試験は「Kubernetes アプリケーション開発者認定試験」(Certified Kubernetes Application Developer Exam)の略。CKAD試験は、認定を取得するとKubernetes用のクラウドネイティブアプリケーション開発者に必要なスキル、知識、および能力が備わっていることを証明できる。

 LPI-Japanは試験を実施する一方、学習教材の販売も手掛ける。

Kubernetesを学ぶ価値とは

 LPI-Japan理事長の鈴木敦夫氏は、今回の取り組みについて「Kubernetesを通してクラウドやDXを支える技術の仕組みを学べ、クラウドネィティブ技術者としての活躍が期待できる」と話す。

 Kubernetesはクラウドを含めた「仮想空間のオペレーティングシステム(OS)」に相当するとし、サービスやアプリケーションの柔軟なデプロイを実現できると指摘。瞬間的な高負荷に対応できるスケールアウト/イン、障害発生時に迅速に復旧できる高可用性、レガシーシステムとの連携、異なるクラウド連携を実現するマルチクラウド、コンテナや仮想マシンなど多様な実行単位に対応できることなど、Kubernetesの技術的優位性により、DX時代をけん引するという。

 また、業界のグローバルデファクトスタンダードであること、AWSなど多くのパブリッククラウドサービスがKubernetesのマネージドサービスを提供していることなども、学ぶことのメリットとして挙げている。

LinuCの取得をベースに

 CKAとCKAD認定の受験には条件的な制約は設けられていないが、実際には事前に必要となる知識があり、それをカバーしている試験制度がLinuCだ。

 特に、2020年4月に改訂したLinuC 10.0において、Linuxの基本的な操作技術、Linuxシステムアーキテクチャ、仮想マシンやコンテナなどの基本的な知識を改めて盛り込んでおり、CKAとCKADの基礎的な技術情報になっている。

 CKA/CKAD認定とLinuC Version10.0の関係は具体的に「理想的にはレベル2まで保有していることが望まれる」とした上で、「CKAD 認定取得の学習にはレベル1相当の知識、CKA認定取得の学習にはレベル2相当の知識が必要と考えてほしい」(鈴木氏)と説明している。

 さらに、CKA認定とCKAD認定の両方を取得することについては「対象は異なるものの、より高いレベルの技術者を目指すために必要」だとする。Kubernetesの開発や運用に関わるようであれば、先にCKAD認定を取得するための学習に取り組むと、アプリケーションを意識した運用を考えることができるようになるため、CKA認定取得に向けた学習をするときの視野を広げられる」という。

 Kubernetesのアプリケーションを開発する場合は、先にCKA認定を取得するための学習をしておくと、システムの概要を把握でき、システムを安全に効率よく活用することを考えられるようになる。それがCKADの学習をするための視野を広げるという。

 また、アプリケーション開発チームの10~20%が両方の認定を取得していると、プロジェクトに良い結果をもたらすとしている。

LPI-Japanが目指す本質的技術者の育成

 鈴木氏は「オープンテクノロジーの技術者認定とベンダーの技術者認定は補完関係にある」と指摘する。ベンダーの技術者認定によってベンダーのサービスを適切に使いこなせる技術者を育成できる一方で、ベンダーごとにAPIが異なる、機能が差別化要素のため変化が早いといった課題が見えてくる。

 一方で、Kubernetesを含むオープンテクノロジーの技術者認定では、仕組みの本質的理解が必要であるため、それが成長への基礎力になるという思いをLPI-Japanは持っている。「さまざまな技術者タイプへの成長にとって有効な認定を取得していけば、業務を通して学ぶベンダーサービスや製品の利用技術も早く深く身に付き大きく成長できる」というわけだ。

さまざまな技術者タイプへの成長にとって有効な認定を取得していけば、
業務を通して学ぶベンダーサービスや製品の利用技術も早く深く身に付くという
さまざまな技術者タイプへの成長にとって有効な認定を取得していけば、
業務を通して学ぶベンダーサービスや製品の利用技術も早く深く身に付くという

本番稼働が増えるコンテナ市場

 コンテナ市場を見ると、日本を含めコンテナの導入が進む傾向がはっきりしてきている。IDC Japanが2020年5月に発表した国内コンテナ/Kubernetesに関するユーザー導入調査結果では、本番環境でコンテナを使用している企業は14.2%となり、2019年の調査から5.0ポイント上昇した。

 2017年調査から2019年調査まで数ポイントの上昇にとどまってきたが、2020年調査では大きく上昇し、メガバンクやメーカーを含め、本番環境での導入率が二桁になっている。コンテナでのアプリケーション開発が中核になる時が近づいており、Kubernetesの技術者がますます求められる環境になってきている。

試験制度と準備

 CKAとCKAD認定試験制度の詳細は次のようなものだ。受験形式はオンライン受験となっており、自宅や職場など個別の環境で快適に試験を受験できる。受験中はオフサイトの試験監督官が監視し、プロクターとのやりとりは、日本語または英語だ。受験料はCKA/CKAD試験ともに3万3,000円(税別)、CKA、CKADともに、日本語版と英語版の試験を選べる。

 受験における要件は、インターネット接続できる受験エリアが個室であること、明るさ、物の配置などの条件を満たしていること。OS、ファイアウォール、PC、ディスプレイ、Web カメラ、ブラウザ、サウンドとマイク、電源など受験で利用するPC周りの環境の整備も求められる。合否結果は、LPI-Japanの受験者マイページで確認でき、キャリアマップ認定の1つとして実績を管理できる。

 また、LPI-JapanはCKAとCKADの学習用にe-ラーニング教材を提供している。CKA向けにはLFS258 JP(日本語版)、LFS258(英語版)、CKAD向けにはLFD259(英語版)を用意。CKAD向けの教材には現状英語版しか選択肢がない点には留意しなくてはならない。いずれも価格は3万3000円(税別)となっている。

 なお、試験とe-ラーニング教材をセットに5万5,000円(税別)で提供する。

LPI-Japanの認定制度

 試験を主催するLPI-Japanは、オープンテクノロジーの技術者認定試験の実施を通して、ITプロフェッショナルを育成し、その活躍を支援することで、社会に貢献することを目的に2000年7月に設立された特定非営利活動法人(NPO)。

 特に、日本のLinux技術者の育成とLinuxの普及を目的として、当初、NEC、日立製作所、富士通、日本IBM、SGIなど大手IT企業がプラチナスポンサーとなり活動を推進してきた経緯がある。現在は、20社のプラチナスポンサーと100社以上のパートナーおよびボランティアによるエコシステムで支えられている。

 Linux技術者育成のためLPIC(現在のLinuC)の普及を推進、その後対象をオープンソースソフトウェアやオープンテクノロジーに広げ、CloudStackの技術者を認定するACCEL(Apache CloudStack Certification Exam by LPI-JAPAN)、OpenStackの技術者を認定するOPCEL(OpenStack Professional Certification Exam by LPI-JAPAN)、PostgreSQLの技術者を認定するOSS-DB(OpenSource Software DataBase Certification)、JavaScript、CSSなどWeb技術者とWebデザイナーのためのプロフェッショナルを認定するHTML5 Professional Certificationを含め、5つの認定試験を実施している。

 LPI-Japanは2019年、IT現場の声を集めるため、100社以上にヒアリングした。結果として、現在技術者に求められる要件は、クラウドやコンテナなど最近の技術への対応できること、問題を予見したり、トラブルを解決できたりすること、専門知識を持ちシステムアーキテクチャとしてまとめられることであることが分かった。

 一方で課題として、学ぶことが多くどうやって技術者を育成すればいいかわからない、昔の技術者の活用方法や学び直しがうまくいかない、低コストかつ短期間で技術者を育成したいが難しい、技術者が忙しく勉強させる余裕がない、あるいは自主的に勉強しないという点が浮かび上がっていた。

 解決策として、LPI-Japanは新しい技術と幅広い技術への対応、仕組みがわかる技術者の育成、本質的技術の重要性の啓蒙、学び方、学ばせ方への指針の提示、効率的な学習の支援などの実施を推進することにしており、今回のCKAとCKAD試験の実施へとつながっている。

提供:LPI-Japan
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2021年2月28日
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