多彩なクラウドサービスと合わせて学習コンテンツも豊富に提供
日本マイクロソフト
Digital Sales Enterprise Japan Azure Specialistの⼩⽥学氏
皆さんはマイクロソフトがAzureというパブリッククラウドを提供していることはご存じでしょう。Azureは、サーバなどのインフラからデータベースやアプリケーション実行環境、コンテナ、AIや機械学習ツールまで、企業コンピューティングで使われるあらゆるクラウドサービスを取り揃えており、基幹システムや情報システム、データ活用基盤、開発環境などとして世界中で広く利用されています。
また、オフィスツール「Microsoft 365」やERPサービス「Microsoft Dynamics 365」、データ活用サービス「Power Platform」のほか、開発プラットフォーム「GitHub」やビジネスSNS「LinkedIn」などのメジャーなクラウドサービスのプラットフォームとしても使われているほか、多階層型の組み込みセキュリティサービスや統合認証基盤「Azure Active Directory(Azure AD)」などの企業セキュリティ基盤も提供しています。
このように、Azureは今日の企業システムに必要となる要素をフルスタックで提供しており、企業はシステムを一から作り込むことなく、自社が必要とする機能を組み合わせてセキュアなシステムやサービスをスピーディに実現することができるのです。
その一方で、これからAzureを使ってみようという方の中には、「最初に何を検討すべきか」「どこから手を付けるべきか」「使い方をどう学ぶべきか」がわからないといった方がいらっしゃるかもしれません。マイクロソフトは、Azureに関するこれらの疑問を全て解消する学習コンテンツを豊富に提供しています。また、マイクロソフトが用意するもののほかにも、Azureについて学べる素晴らしいコンテンツがネット上にはあふれています。以降では、それらの中から主なものをご紹介します。
「使いながら学ぶ」なら、
最初に「Microsoft Azureの始め方 6回シリーズ」を!
Azureをまず使ってみようという際に、最適なコンテンツとして日本マイクロソフトがご用意しているのが、「Microsoft Azureの始め方 6回シリーズ」です。これは昨年末から今年初めにかけて実施したオンラインセミナーのアーカイブであり、マイクロソフト認定トレーナーの伊藤将人氏(ブロディ)が、Azureの始め方から仮想マシンの作り方、ネットワークやデータ管理、セキュリティなどについて、各回1時間程度でわかりやすく解説しています。
「習うより慣れよ」という言葉もあります。私がお勧めしているのは、「まず使ってみる」ことです。実際に手を動かしながらAzureの使い方を学ぶのです。
「Azureを初めて使うんだけど、何から手を付けてよいかわからない」という方は、初めにこの6回シリーズを受講してください。簡単な視聴登録をするだけでご利用いただけます。
【Microsoft Azureの始め方 6回シリーズ】
また、「Microsoft Azureの始め方 6回シリーズ」は、ぜひ実際にAzureを試しながらご視聴ください。Azureは200米ドル分のクレジットまで無料で使えるほか、主要なサービスは12カ月間、一定量まで無料でご利用いただけます。この特典を利用すれば、Azureにどんなサービスが用意されており、どう使えばよいのかを手軽にご確認いただけます。
AWS経験者のためのドキュメント
「AWSプロフェッショナルのためのAzure」
「Azureは初めてだけど、AWSなら使ったことがある」という方もいらっしゃるでしょう。Azureでは、AWSと似通ったサービスを多数提供しています。AWSの利用経験がある方は、「AWSのあのサービスに対応するのが、Azureのこのサービス」という対応関係を把握すれば、短期間でAWSと同様にAzureを使いこなせるようになるでしょう。
Azureでは、「AWSプロフェッショナルのためのAzure」というドキュメントの「AWSサービスと Azureサービスの比較」というページで、AWSの各サービスに対応するAzureのサービスはどれかを説明しています。AWSの利用経験がある方は、このドキュメントから入ればAzureをスムーズに理解できるはずです。
Microsoft Learnでも日本語化された
無料のAzure学習コンテンツを豊富に提供
手を動かしながらAzureを学ぶのに最適なコンテンツはまだあります。「Microsoft Learn」の学習コンテンツです。
Microsoft Learnとは、マイクロソフトが提供するさまざまなソリューションについて学ぶことができる無料の学習コンテンツであり、Azureに関しても日本語化されたさまざまな学習コンテンツを用意しています。
例えば、「Microsoft Azureの基礎」というコンテンツでは、クラウドの基本的な概念とAzureの主要なサービスの概要を理解したうえで、Azure上にサービスをデプロイするためのハンズオン演習までを約1時間半で受講することができます。演習はWebブラウザ上のサンドボックスを使って実際のサービスを利用するのと同様の操作感で行えます。
なお、「Microsoft Azureの基礎」の内容は、マイクロソフトの認定資格試験「AZ-900:Microsoft Azureの基礎」の試験内容に対応しています。「Microsoft Azureの基礎」を受講した後は、同試験を受けることによって理解度の確認と資格取得が行えます。AZ-900の取得をAzure学習の最初の目標として定めるのもよいでしょう。他の学習コンテンツの多くも、マイクロソフトの各認定資格試験に対応しています。
YouTubeにも公式、非公式のお勧めコンテンツが沢山
YouTubeにも、お勧めの学習コンテンツがあります。
例えば、私が新しい技術について学びたいときに真っ先に見るのが、「John Savill's Technical Training」です。Johnさんはとにかく説明が上手なんです、Azureのさまざまな技術やサービスについて、丁寧に図解しながら教えてくれます。説明は英語で行われますが、YouTubeの自動翻訳機能とJohnさんの図解を頼りにすればかなり理解できるのではないでしょうか。最新技術について優れたエンジニアの解説を聞けるという点で、このチャンネルは非常に価値が高いと思います。
もう1つのお勧めは、日本マイクロソフトの「クラウドデベロッパーちゃんねる」です。「くらでべ」の愛称で知られるこのチャンネルの特徴は、Azureを使い始めたばかりの方が知りたいと思うようなテーマを扱った初級者向けコンテンツが充実している点です。どのコンテンツも日本語で要領良く解説してくれているので、基本的な知識を手短に学べるチャンネルとしてご活用ください。
「Microsoft Partner Network Japan」もお勧めです。これはマイクロソフトがパートナー様向けに公開しているチャンネルですが、もちろん一般の方もご覧いただけます。Azureのさまざまなサービスの概要や具体的な活用法などがわかりやすく説明されていますので、ぜひご活用ください。
Azure活用の総合ガイド「CAF for Azure」と
ベストプラクティス集「Azure W-AF」
Azureによるクラウド活用について網羅的に解説したドキュメントが「Azure向けのMicrosoft Cloud導入フレームワーク(CAF:Cloud Adoption Framework)」です。
クラウドを初めて利用する方は、どのような考え方で、何を準備し、どのようなステップで導入していけばよいのかわからず戸惑われるかもしれません。それについて網羅的に解説したドキュメントがCAFです。CAFでは、次のような事柄について詳しく説明しています。
- クラウドの活用に際して、何を検討すべきか? 例えば、導入目的や求める効果は何か、コスト面や技術面で留意すべきことは何か?
- 導入計画をどう立てればよいのか? どのような組織が必要か? 何を準備すればよいのか?
- オンプレミスからどう移行すればよいのか? ベストな移行方法な何か?
- クラウドの活用効果をどう測定するのか? 効果を最大化する方法は何か?
- クラウド環境のガバナンスをどう確立するのか? 自社のガバナンスレベルをどう測定すればよいのか?
- クラウド環境の管理はどう行うのか?
- クラウドの活用に最適な組織をどう作るのか?
CAFには、マイクロソフト自身が大小さまざまな社内システムをクラウドに移行する中で得たノウハウや知見が数多く盛り込まれています。クラウドを導入する企業が必ず考え、経験することが書かれており、Azureの総合ガイドとしてご活用いただけるドキュメントです。
一方、CAFで扱っているテーマの一部にフォーカスしてベストプラクティスを紹介しているドキュメントもあります。それが「Mirosoft Azure Well-Architected Framework(W-AF)」です。
W-AFでは「コスト最適化」「運用(オペレーショナルエクセレンス)」「セキュリティ」「信頼性」「パフォーマンス」といったテーマについて、基本原則から実践方法までを具体的かつ詳細に解説しています。
これら2つがAzure導入における基本ドキュメントとなります。両者の使い方ですが、まずCAFの手引きに従ってAzure活用の「戦略」「計画」「導入」「準備」を検討したうえで、CAFの「ガバナンス」と「管理」を実践する際にW-AFのベストプラクティスを活用するという流れになります。
なお、W-AFのベストプラクティスは極めて具体的かつ詳細であり、それを正しく実践できているかを逐一W-AFに照らし合わせて確認するのは大変です。そこで、マイクロソフトはW-AFの実践を支援するツールとして「Azure Advisor」や「Microsoft Defender for Cloud」などを提供しています。
このうち、Azure Advisorは、Azureに組み込まれたダッシュボード機能です。Azure上のシステム環境をW-AFのベストプラクティスに基づいて「信頼性」「セキュリティ」「パフォーマンス」「コスト」の観点で評価し、何ができており、何ができていないかを明らかにします。これを見ることで、例えば「コスト最適化のためにやるべきことは何で、そのうち何ができており、ほかにやるべきことは何か」を把握できます。
また、Microsoft Defender for CloudはAzureに組み込まれた統合セキュリティ基盤であり、Azure Advisorの「セキュリティ」タブから利用できます。このタブを開くと、Azure上のシステム環境のセキュリティがW-AFのベストプラクティスに沿って設定/運用されているかを一元的に管理し、必要な設定を行うことができます。
初めて使う企業のアセスメントやPoCは
経験豊富なパートナーが強力支援
Azureを初めて使う企業に対しては、マイクロソフトのパートナー様も強力なサポートを提供しています。
「Azureを初めて使う」という状況には、大きく2つのケースがあるでしょう。1つは必要に迫られて使う個人が学習するというケースで、それについてはここまでにご紹介した各種の学習コンテンツを活用できます。
もう1つのケースは、企業が「プロジェクトなどでAzureを初めて使うと決めたが、どこから手を付けたらよいかわからない」、あるいは「AWSとAzure、Google Cloud Platformのどれを使うか検証したいが、何から始めたらよいかわからない」といったケースです。このケースに対しては、マイクロソフトのパートナー各社が強力なサポートを提供しています。
例えば、Azureへの移行を支援する各社のサービスでは、現状のオンプレミス環境を調査し、Azureへの移行プランや必要コスト、移行により見込まれる効果などを評価したうえで移行プランを策定します。PoC(Proof of Concept:概念実証)などの検証を行うことも可能です。
また、仮想デスクトップ環境のAzure Virtual Desktop (AVD) の導入や活用を支援するサービスなど、各社の強みや特色を生かしたさまざまなサービスも提供されています。日本企業のシステム環境を知り尽くしたパートナー各社から手厚い支援が受けられることも、Azureを利用する大きなメリットだと言えます。
以上、Azureを短期間で学び、使いこなせるようになるための各種学習コンテンツやサービスをご紹介しました。日本語による学習コンテンツがここまで豊富に揃ったクラウドサービスはAzureのほかにないと思います。ぜひ皆さんの「初めてのクラウド」をAzureで始めてください。