中期経営計画の施策の一環として
オンプレミス環境をAVSに移行
事業戦略に最適化され、
環境変化に俊敏に対応できる事業基盤を目指す


ニッセイ・ウェルス生命では、中期経営計画の一環として、持続的、安定的発展のためというテーマに基づき、オンプレミス環境のクラウド化が実施すべき施策の1つだった。最大の目的は、Windows Server 2008などのレガシーOSの延命やハードウェア/ソフトウェアの保守・運用費用の削減など。こうした課題を解決することを目的に、新たなIT基盤が必要であり、国内大手のシステムインテグレーターであるTISのサポートによりAzure VMware Solution(AVS)を採用した。

ニッセイ・ウェルス生命 システム管理部 部長 山本和重氏

ニッセイ・ウェルス生命
システム管理部 部長
山本和重氏

 1907年、横浜生命保険株式会社として営業を開始し、100年以上の歴史を持つニッセイ・ウェルス生命保険株式会社(以下、ニッセイ・ウェルス生命)。2018年5月に日本生命グループの一員となり、2019年1月より現在の社名で新たな事業を展開。「真に社会に貢献する商品・サービスを常に提供し続ける最良の生命保険会社を目指す」というミッションに基づき、年金保険や終身保険など、シニア富裕層向けの多様なニーズにこたえる商品・サービスを提供している。

 2021年4月より、市場の変化に迅速に対応する「スピード」、プライオリティに基づく「コストエフィシェンシー」、「お客さま、株主、社員、そして社会の満足度向上」を志向した3カ年の新しい中期経営計画がスタート。日本生命グループとのシナジーを発揮しながら、金融機関窓販領域に特化した生命保険会社としてダイナミックな成長を目指し、その一環としてITインフラの増強にも取り組んでいる。

 ニッセイ・ウェルス生命 システム管理部 部長の山本和重氏は、「中期経営計画に基づく事業展開においては、ITはなくてはならないものです。インフラの観点では、トラブルが発生するとビジネスが止まってしまうことから安定稼働が最も重要です。また開発・運用コストをいかに低減させていくかもポイントの1つ。クラウドネイティブ化に向けて全社一丸となって取り組んでいきたいと思っています」と話している。

コスト効果や他社クラウドとの比較などの結果でAVSを選定

 ニッセイ・ウェルス生命では、基幹システムをはじめとする各種業務アプリケーションが稼働しているITインフラをオンプレミス環境で運用していた。しかし中期経営計画において、IT領域では、「持続的・安定的な発展のための整備」がテーマとして掲げられたこともあり、ITインフラのクラウド化が必要となっていた。 ニッセイ・ウェルス生命がクラウド化を検討するにあたり解決すべき課題は、大きく以下の3つがあった。

  • (1)サーバー数の増加によるリソースのひっ迫
  • (2)Windows Server 2008などレガシーOSのセキュリティ対策
  • (3)ITインフラ投資コストの最適化
ニッセイ・ウェルス生命 IT本部 システム管理部 専門課長 上級インフラアーキテクト兼システム企画部 IT戦略企画チーム 高田恭雅氏

ニッセイ・ウェルス生命 IT本部
システム管理部 専門課長
上級インフラアーキテクト兼システム企画部
IT戦略企画チーム
高田恭雅氏

 ニッセイ・ウェルス生命 IT本部 システム管理部 専門課長 上級インフラアーキテクト兼システム企画部 IT戦略企画チームの高田恭雅氏は、「2018年ごろ、オンプレミス環境をクラウド化すると、どれくらいのコストが必要かを試算しています。その結果、オンプレミス環境を刷新するよりもクラウド化した方が、コスト効果が高いことが報告されています。この結果をもとに、実際にどれくらいコスト削減が可能かをTISに相談しました」と話す。

 ひと言に“オンプレミス環境のクラウド化”といっても、その方法はさまざま。オンプレミス環境から直接クラウドネイティブに移行する方法もあれば、まずは既存のオンプレミス環境をクラウドに移行して、その後クラウドネイティブに移行する方法もある。TIS IT基盤技術事業本部 IT基盤技術事業部 IT基盤サービス第2部 エキスパートの笹村俊之氏は、次のように話す。

TIS IT基盤技術事業本部 IT基盤技術事業部 IT基盤サービス第2部 エキスパート 笹村俊之氏

TIS IT基盤技術事業本部
IT基盤技術事業部
IT基盤サービス第2部
エキスパート
笹村俊之氏

 「まずはコンサルティングのフェーズで、具体的にどのクラウドが最適かを提案しました。今回は、Microsoft Azure(Azure)のネイティブ環境への移行と、オンプレミス環境をそのまま刷新すること、Azure VMware Solution(AVS)に移行することの3つの方法で具体的な試算をし、その結果AVSが最適であると判断しました。また、移行後にどうするかを考えておくことも必要であり、その後のロードマップも含めた提案をしました」

 AVSを選定したのは、すでに複数の保険商品の開発プロジェクトが並行して進んでおり、全てのシステムを一度にネイティブのAzureに移行するのは難しいと判断したことが背景にある。また社内でMicrosoft 365をはじめとする、多くのマイクロソフト製品利用していたことも選定理由の1つ。高田氏は、「既存のプリケーションを変更せずにクラウドへの移行ができること、他社クラウドと比較してコスト効果が高かったことなどからAVSを選定しました」と話している。

AVSへの移行でもっとも重要なポイントはネットワーク設計

 AVSへの移行プロジェクトは、まずは2021年2月より約2カ月かけてインフラ部門のテスト環境のサーバー約20台を移行して動作確認を実施した。その後、問題がなかったことから、4月~8月の期間で開発・検証環境をAVSに移行した。本番環境に関しては、9月~10月の期間で移行作業を実施している。尚、今回のプロジェクトにおいては、マイクロソフトの全面協力の下、グローバル支援によるPoCも実施している。

 高田氏は、「現状、約100台の仮想マシン(VM)がAVS上で稼働しています。移行中はトラブルもなく、移行したあとの運用フェーズにおいてもAVSへの移行を原因とする不具合は起きていない。移行後もAVSにかかわるトラブルはなく、ユーザーはどこで動いているかを意識することなく利用できています。」と話す。

 今回の移行作業のポイントについて、TIS IT基盤技術事業本部 IT基盤技術事業部 IT基盤コンサルティング部 エキスパートの野口敏久氏は、次のように話す。

TIS IT基盤技術事業本部 IT基盤技術事業部 IT基盤コンサルティング部 エキスパート 野口敏久氏

TIS IT基盤技術事業本部
IT基盤技術事業部
IT基盤コンサルティング部
エキスパート
野口敏久氏

 「構築して移行だけであれば、既存のネットワークでも対応可能でしたが、構築後に長期で運用して行くためには、スケーラビリティやトラフィックの輻輳や揺らぎを考慮することが必要です。既存のネットワークは複雑になっており、様々なポイントで機器の設定変更やリプレイスを考慮する必要があったので、Azure VMware Solution用に新規で回線を引いてしまう方がリスクを回避しコストを最小限にできると提案しました」

 AVSとL2延伸の組み合わせにより、オンプレミス環境のサーバーのIPアドレスが変わらないことから、アプリケーションの入れ替えやバージョンアップも一切必要なく、無停止でサーバーを移行することができる。笹村氏は、「本当にトラブルもなく、スムーズに移行ができたのでびっくりしたほどです」と話している。

 一般的にオンプレミス環境では、リソース増強のために、ハードウェアを調達し、各種設定をするために数日程度かかっていたが、AVSでは30分程度の作業で、業務に影響することなくリソースを拡張することができる。これにより、ハードウェア/ソフトウェアの運用、保守の工数やコストの削減も期待できる。

 また、Azure上では拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)を無償で利用でき、Windows Server 2008へのセキュリティ更新プログラムの提供をさらに3年間延長できるので、セキュリティリスクを回避できたこともAVSに移行したメリットの1つだった。AVSの基盤部分は、マイクロソフトが運用管理を行うが、VMware製品のバージョンアップも含まれていることから保守作業も一切不要になる。AVSへの移行によるメリットは、大きく以下の3つである。

  • (1)L2延伸によるアプリ変更の工数やコストの最小化
  • (2)ESUの利用によるWindows Server 2008のセキュリティリスク回避
  • (3)ハード/ソフトの運用、保守の工数やコストの削減

 TIS、およびマイクロソフトのサポートについて高田氏は、「TISには、最新技術を活用したプロアクティブな提案を期待しており、今後も一緒にシステムを作っていきたいと思っています。マイクロソフトには、ユーザー目線で使いやすい機能や製品、ソリューションを提供してほしいと思っています。今後、Azureが提供する仮想デスクトップサービスのAzure Virtual Desktopの導入も検討しているのでサポートを期待しています」と話している。

AVSに移行後、その先の活用までを見据えることが必要

日本マイクロソフト インテリジェントクラウド第二統括本部 Azure第三営業本部 Azure Infrastructureスペシャリスト 足立裕二氏

日本マイクロソフト
インテリジェントクラウド第二統括本部
Azure第三営業本部
Azure Infrastructureスペシャリスト
足立裕二氏

 今後の展望について山本氏は、「AVSに移行して終わりではなく、その先の活用までを見据えることが必要です。具体的には、中期経営計画のテーマでもある事業戦略に最適化され、環境の変化に俊敏に対応できる事業基盤の実現を目指していきます。オンプレミス環境はゼロにはできませんが、最小化することによるデータセンター運営の最適化を検討していきたいと思っています。これにより、さらなる運用工数やコストの削減、安定性の向上が期待できます」と話す。

 ニッセイ・ウェルス生命の取り組みについて、日本マイクロソフト インテリジェントクラウド第二統括本部 Azure第三営業本部 Azure Infrastructureスペシャリストの足立裕二氏は、「今回のプロジェクトでは、AVSが日本リージョンで稼働してすぐに利用してもらいました。AVSへの移行はそれほど難しくないのですが、重要なポイントはネットワーク設計です。ネットワークやVMware製品に関しては、TISの知見やナレッジを生かしたサポートに期待しています。マイクロソフトとしては、今後もAzureに関する強力な支援を提供していきたいと思っています」と話している。

提供:日本マイクロソフト株式会社
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