デジタル時代── 日本企業が取り組むべき SAP S/4 HANAへのロードマップ

多くの企業の基幹業務を支えてきたSAPアプリケーションが、インメモリ・データベース技術「SAP HANA」を軸に劇的な進化を遂げようとしている。ただし、この一大改革のうねりを、企業の「実利」につなげるためには、さまざまなハードルを乗り越えなければならない。果たして、HANAベースのSAPアプリケーション──SAP S/4 HANA」の導入をスムーズに図り、実質的なメリットを得るには何が必要とされるのか。その解を、NTTデータグローバルソリューションズと、同社のビジネス/ソリューション・パートナーであるデルとの取り組みに求める。

「SAP S/4 HANA」の導入意義

 NTTデータグローバルソリューションズ(以下、NTTデータGSL)は、NTTデータグループのSAP事業の中核を担う企業だ。国内のグループ各社に分散していたSAPソリューション/業務ノウハウを一体化させ、SAP ERPシステムの導入から保守運用、拡張開発支援など、多岐にわたるサービスをワンストップで提供している。

 同社では、SAPのインメモリ・データベース(インメモリDB)技術「SAP HANA」の可能性にもいち早く着目し、同技術のリリース当初から応用研究・開発に取り組んできた。すでに、「SAP R/3」などの既存のSAPアプリケーションのデータベースをHANAへ移行する「SAP Business Suite on SAP HANA(略称:SoH)マイグレーション」サービスも展開、数多くの実績を積み上げている。2013年には国内ベンダーとしては初めて「SAP HANAサポート認定」も受け、HANA技術者も数多く擁している。

 そうした同社が力を注いでいる一つが、SAP HANAをベースにした次世代ERP「SAP S/4 HANA」だ。NTTデータGSLの小川兼一郎 代表取締役常務は、SAP S/4 HANAの導入意義を次のように説く。

小川兼一郎氏
株式会社NTTデータ
グローバルソリューションズ
代表取締役常務
小川兼一郎氏

 「ビッグデータやIoT、そしてデジタルマーケティングが本格しつつあるデジタルの時代、企業システムの分野についてもリアルタイムな大量のデータを瞬時に把握し、先手のアクションを取らなければならない局面を迎えていると思います。SAP S/4 HANAは、大量のデータを高速に処理する最適化と拡張性に優れた製品であり、デジタル時代の企業システム基盤となりうるものととらえています」

 同氏によれば、こうしたSAP S/4 HANAの導入メリットで分かりやすい例は、バッチ処理プロセスが不要になることだという。

 「夜間での締めのバッチ処理後にデータをレポートで見ているとすれば、前日のデータしかビジネス上の意思決定や施策に生かせないことになります。それが、SAPS/4 HANAでバッチ処理自体が不要になれば、例えば、営業サイドがリアルな在庫情報を把握することが可能になりますし、真のリアルな情報を基盤として儲かる仕組みが考えられるようになります。これは非常に大きなイノベーションです。SAP S/4 HANAの導入は、変化も激しい競争環境に身を置く日本企業にとって、戦略基盤を成すための一つの選択肢になると考えています」

 また、NTTデータGSLの執行役員でアウトソーシング事業部長を務める野口善紀氏は、SAP S/4 HANAの登場によって、日本のITベンダーの支援のあり方も変わるとの見解を示す。

野口善紀氏
株式会社NTTデータ
グローバルソリューションズ
執行役員
アウトソーシング事業部長
野口善紀氏

 「これまでのITベンダーは、SAP R/3の機能を熟知したうえで、顧客の現状業務をどうこのシステムに載せるかの一点に力を注いできました。しかしこれからは、SAP S/4 HANAを利用することで、顧客がこれまで成しえなかったことあるいは新しい価値をどう実現/創造するかが、ベンダーに問われてくるはずです。我々は、SAP S/4 HANAを駆使しながら、そうしたイノベーションを顧客とともに構想していけるベンダーでありたいと考えています」

 もっとも、SAP S/4 HANAへの移行や新規導入は海外での実績・事例が圧倒的に多く、日本企業での事例はまだまだ少ないのが現状だという。小川氏は、これを「日本特有の商習慣」と「自社最適化主義」に起因した課題と感じている。一例が、SAP ERP上のアドオンプログラムの多さと複雑さだ。

 「日本のSAPユーザーが、自社最適化のためにシステムに組み込んでいるアドオンプログラムの数は、海外のSAPユーザーに比べて圧倒的に多いのが実情です。実は、SAP S/4 HANA上で、こうした個社のアドオンプログラムの動作検証やパフォーマンス向上を図るのは、非常にテクニカルな知識と経験が求められるのです」(小川氏)。

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