インターネット広告、ゲーム、メディアの3事業を柱にビジネスを拡大しているサイバーエージェントは、多様なサービスの開発・運用の基盤となるプライベートクラウドを、オープンソースのOpenStackをベースに自ら構築。そのストレージに選定されたのがピュア・ストレージのFlashArrayで、筐体間の同期レプリケーションを行う「ActiveCluster」を組み合わせることによりサービスを止めない高可用性を実現した。実際、この3年間にわたる運用を通じてFlashArrayに起因する障害を一度も起こしていない。さらに大量のボリュームの作成にも余裕で対応するなど、FlashArrayは卓越したI/O性能を発揮してサイバーエージェントのビジネスを支えている。
絶対にサービスを止めないことがインフラに課せられた責任
「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを掲げ、広告事業、ゲーム事業、メディア事業を3本柱とするビジネスを展開しているサイバーエージェント。2016年4月に開局した新しい未来のテレビ「ABEMA(アベマ)」は、開局5年半で7,300 万ダウンロードを突破し、スマートフォン発のマスメディアとして24時間編成のニュース専門チャンネルやオリジナルのドラマや恋愛番組、アニメ、スポーツなど多彩な番組を放映するほか、災害時などの緊急情報インフラとしての役割を担うなど社会に新たな価値を提供している。
こうした急速に拡大していく多様なサービスを、サイバーエージェントはどうやって運営しているのだろうか。重要な鍵を握っているのは言うまでもないITであるが、そこでの大きな特徴となっているのが「自由と責任」という考え方だ。
株式会社サイバーエージェント
CyberAgent group Infrastructure Unit(CIU)
マネージャー
田中 淳氏
同社 CyberAgent group Infrastructure Unit(CIU)のマネージャーを務める田中 淳氏は、「サイバーエージェントではIT ソリューションを採用する際に、厳しいルールは設けていません。基本的には各事業部門のエンジニアが自主的にアーキテクチャを考え、自分たちが一番だと思う環境を調達しています」と語る。結果として若いエンジニアが主導する形で新しい技術が積極的に取り入れられ、時代の先頭を走るサービスが実現されていくわけだ。
そしてこの考え方は、ITインフラについても一貫している。現在、サイバーエージェントでは自社保有するデータセンターの3つのリージョンにプライベートクラウド環境を構築し、主要なサービスを運用しているのだが、このITインフラについても同様にエンジニアが中心となってテクノロジーを自由に選定するとともに、自らが設計・構築にあたりノウハウとナレッジを培っていくという方針をとっている。
ただし、この「自由」の一方で伴うのが前述した「責任」である。「絶対にサービスを止めてはならないというのが、私たちCIUに課せられた責任です」と田中氏は強調する。