
セゾンテクノロジー
営業本部 データインテグレーション営業統括部 統括部長
野間 英徳氏

セゾンテクノロジー
営業本部 データインテグレーション営業統括部
データインテグレーションコンサルティング部 副部長
松ヶ谷 圭佑氏
SaaS乱立・AI活用時代に、iPaaSがデータ基盤の新たな軸に
――昨今、データプラットフォームの重要性が増す一方、企業内では旧来のサイロ化したシステムとSaaSが乱立し、データの整備がなかなか進みません。この現状を企業はどう捉えているとお考えでしょうか。
野間氏歴史をひも解くと、企業では2000年代前半からERPという仕組みを入れてデータベースを一元化していこうという流れが続いていました。それがいま、限界を迎えています。クラウド環境が成熟し、本来ERPに寄せていた業務システムがどんどんSaaSに移行して外部に分散して、利用するサービスの切り替えも簡単にできるようになりました。それに伴いデータも今まで以上に散在していくなかで、オンプレからSaaSまでの新たなデータ連携の形が求められています。
また重視されていたデータもBIが登場した当初は売上を可視化する程度でしたが、手元の業務で分析環境を活用するセルフBIも登場し、現場が業務特化型のSaaSを選択していった中でデータも分散した結果、企業全体のデータ連携基盤としていま、iPaaSに注目が集まっています。

――AIをしっかりと動かすにはアクセス制御やコンテキストも含めたきれいな情報が必要で、SaaSや自社システムからのデータ連携は複雑になります。iPaaSはそういった部分も担えるのでしょうか。
松ヶ谷氏国内企業におけるAI活用のアプローチは、自社システム内にAIを組み込むのではなく、自分たちの業務に即した外部SaaSのAI機能を適材適所で使う形が主流です。そうなると、それぞれに渡すデータは異なり、かつマスタとしても会社で一貫してデータをコントロールしていかなければなりません。そのためAIを活用するためのデータプラットフォームを構築する際には、データの「連携」に加えて、それぞれのAIを使う際のワークフローやデータ受け渡しの「制御」が求められますが、iPaaSはそれらの役割を担います。
定型業務はフローに落とし込むことができ、「ここでAIを使う」「ここでこのデータを見る」といった具合に全てが手順化されるため、iPaaSを入れると人がそれらを覚える必要もなくなります。そのためAI活用の視点では、後段のAIが何をするのか、どのAIがどのデータを使えるかというフローを制御する機能に大きな価値が生ずるのです。これからAIエージェントが普及していくことが予測されますが、その際にもiPaaSは欠かせない機能になります。
レガシーもSaaSもAIも、疎結合でつなぐiPaaS「HULFT Square」
――iPaaSが新たなデータ連携基盤として注目される中で、「HULFT Square」はどのような価値を提供できるのでしょうか?
松ヶ谷氏まずは、クイックスタートができるところです。国内のエンタープライズ企業では、当社のファイル連携ミドルウェアの「HULFT」を多数ご導入いただいていますが、その企業が自社の旧来環境に蓄積されたデータをAI活用のデータ基盤に当て込みたい時に、「HULFT Square」にそのままつなげられます。あとは国産製品として、国産SaaSとの連携性の高さや日本語によるサポート対応の早さ、ドキュメント類も含めたきめ細やかさも強みとなっています。そのため、海外のiPaaS製品の導入を検討した企業が途中で「HULFT Square」に選び直すケースも多いです。
野間氏当初AI活用の議論は、テキストからプレゼン資料を自動生成する程度の活用にとどまっていましたが、我々は一貫して「企業が稼ぐためにどうAIを使うか」という話をしてきました。以前は、レガシーシステムを支えてきた我々がAI活用の話をしてもあまり市場に響かなかったのですが、2024年秋ごろから潮目が変わりました。多くの企業が、AIで稼ぐためにはWebの情報だけでなく自社の情報も使う必要があり、そのためにはレガシー側のデータ活用も必須なことに気付き、「セゾンテクノロジーはそれができる、データプラットフォームに必要な情報をつなげてくれる」とご理解いただけたのです。
さらに業務ごとに複数のAIの使い分けがされるようになったことで、データ連携のみならず、AI同士をワークフローのようにつなげる使い方や、制御のためのガードレール的に使う用途も顕在化し、「HULFT Square」が活躍する局面はどんどん増えています。

iPaaS「HULFT Square」がデータ連携・変換・APIマネジメントの中核を担い、各システムをつなぐ
――海外ベンダーには自社のブランドに寄せようとする戦略が多いですが、そのあたりとどのように差別化しているのでしょうか?
松ヶ谷氏「HULFT Square」はiPaaSとしてフラットな立ち位置にいます。他社製品とは異なり、データを自分たちのシステムに溜めずにフラットにルーティングし、あらゆる場所につないで周りのシステムを使いやすくするのが私たちの設計思想です。そのためiPaaSという視点からも、ユーザーが自らフローを設計しないと利用を開始できないという仕組み上の制約がある中で、我々は国産SaaSパートナーの力も借りつつ、「HULFT Square」を便利に活用していくための標準化された連携のベストプラクティスも考案しています。
野間氏市場にたくさんの優れた製品がある中で、ユーザーが特定ベンダーのロックインを望むとは思えません。現状においてたくさんの国産SaaSを活用されている中で、iPaaSもわざわざ連携が難しい海外製品を使う意味はありませんし、部分的にはファイル連携でも問題はないので、iPaaS製品も必要に応じて使い分けていくという形が正解になるでしょう。
ERPモダナイズ対応をデータ基盤整備の契機に
――改めて、これから企業のIT部門がiPaaSである「HULFT Square」を有効活用してデータプラットフォームを整備していくためには、どんなアプローチが有効でしょうか。
野間氏前段でERPを中心とした企業システムの在り方に限界が来ていると話しましたが、現在多くの企業が頭を悩ませているERPのモダナイズ対応は、これからのシステムとデータ活用のアーキテクチャーを刷新する好機になると考えています。これまではERPパッケージに業務プロセスやシステムを適合させつつ、それ以外をアドオンやカスタマイズで対処してきました。その中で、いまは業務部門にとって使いやすいSaaSが現場主導で普及し、人材不足の中でAI活用やDX対応を進めなければならないIT部門も、その状況を前向きに受け止めるようになっています。
企業のIT部門はシステム老朽化の更新を1980年代から延々と続けていますが、それはもう終わりにすべきです。ERPに情報系システムがたくさんアドオンしている現状で、新しいERP上にまたカスタマイズを入れてそのまま移行するやり方を続けるのは負債の先送りに過ぎません。SAP社はアドオン開発を極力減らし、その部分は同社が用意したPaaS環境に再構築するアプローチを推奨していますが、それよりも企業の独自性となっているアドオンをSaaS環境に移行させて中核のERPからオフロードさせ、iPaaSによってクラウドのS/4 HANAなりに疎結合でデータ連携させるという形にする方がよいでしょう。IT部門はそれで減らせた更新・保守対応の工数をデータ活用基盤構築に充て、AIとデータを武器にして世界と戦えるようにしていくべきなのです。
松ヶ谷氏「HULFT Square」では単なるデータ活用の先に、上位層のAI活用を見据えてシステムを設計しています。現状では、通常のデータ変換のほかにAIの前処理、ERPオフロード用のテンプレートを用意し、それをもとにデータ連携のフローを簡単に作れるようになっています。加えてこれからは上位層でも、データをどう持ってきてAIに流せばどんなアウトカムやインサイトが得られるのか、さらに他業界も含めたどんなデータと組み合わせれば競争優位性が生まれるのか、最終的にはそこまで機能的に実装できるようにしたいと考えています。
散在していたデータが、つながることで企業にとっての「知の源泉」へと変わる――それが「HULFT Square」の目指す姿です。すでにAI活用、ERPマイグレーション対応のどちらにもスモールスタートで対応できるので、ぜひ一度お試しいただきたいと思います。
――本日はありがとうございました。


