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顧客体験の向上と、高レベルの個人情報保護を目指し、
「One Customer,One ID」による
グローバルな顧客情報基盤を整備

 ヤマハ発動機は、これまで製品ごとに行っていた顧客情報の管理を、「One Customer,One ID」によるグローバル統一の顧客情報管理システムにすることを決定。そこで導入したのがSAPの「SAP Customer Data Cloud」である。「One Customer,One ID」を目指すことになった背景、SAP Customer Data Cloudを選択したポイントについて話を聞いた。

ヤマハ発動機株式会社
IT本部 デジタル戦略部
デジタルマーケティンググループ
主務
藤本 勝治 氏
ヤマハ発動機株式会社
IT本部 デジタル戦略部
デジタルマーケティンググループ
主務
藤本 勝治 氏

ヤマハ発動機株式会社

1955年創立。「感動創造企業―世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する」という企業目的のもと、二輪車をはじめとするランドモビリティ事業を中心に、マリン事業、ロボティクス事業など、事業の多軸化に取り組んでいる。海外市場にも積極的に進出しており、その製品は180を超える国と地域で販売され、海外での売上比率は約90%を占めている。

ヤマハ発動機株式会社 Webサイト

顧客体験向上に欠かせない「One Customer,One ID」

 ヤマハ発動機は、パワートレイン技術、車体・艇体技術、制御技術をベースに、二輪車や電動アシスト自転車をはじめとするランドモビリティ事業、ボートや水上オートバイなどのマリン事業、サーフェスマウンターや産業用ロボットなどのロボティクス事業など、事業の多軸化に取り組んできた。また、長年にわたってグローバル化を積極的に推進しており、同社の製品は現在、180を超える国と地域で販売され、海外での売上比率が約90%を占めるまでになっている。

 そんなヤマハ発動機が現在注力しているのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)だ。その活動は高く評価され、経済産業省の「DX銘柄2020」にも選定されている。このDX推進の一環のなかで着手したのが、顧客情報の一元管理だ。

 「当社は、オートバイ、船舶、電動アシスト自転車、スノーモービルなど、取り扱い製品が多岐にわたり、それぞれの製品を独立した各事業部が管理しています。そのため、顧客管理もそれぞれの事業部が、個別にCRMなどを構築して運用していました。ここで困るのが、製品をまたいだお客様ごとの情報がまとまっていないということです。例えば、2000万円のモーターボートを購入したお客様が、200万円のバイクを買おうとしていることが把握できないといったことです。もっとお客様とのつながりを強化できる顧客管理が必要だという声が上がってきたのです」と話すのは、IT 本部 デジタル戦略部 デジタルマーケティンググループ 主務の藤本 勝治氏だ。

 そこで同社が目指したのが、一人の顧客を1つのIDで管理する「One Customer,One ID」というコンセプトだ。これを実現することで顧客は、Webサイトやスマホアプリ、イベント、店頭、コネクティッド製品からの情報など、ヤマハ発動機のさまざまなサービスを1つのIDで利用できるようになる。

図:「One Customer,One ID」でさまざまなサービスを提供
図:「One Customer,One ID」でさまざまなサービスを提供

世界各国で高まる個人情報保護に関する法整備

 ヤマハ発動機が「One Customer,One ID」を目指したのには、いくつかの背景がある。

 その1つが、世界各国で個人情報保護に関する法整備が進んでいることだ。欧州のGDPR(EU一般データ保護規則)をはじめとして、世界各地で厳しい個人情報保護の法律が施行されており、日本の個人情報保護法も2020年6月に改訂された。

 「2020年1月に米カリフォルニア州で施行された『カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)』も広い範囲で厳しい規制が課せられています。こうした厳しい個人情報保護を求める地域が他にも出てくる可能性は十分にあります。違反した場合には、現地拠点だけでなくグループ全体で制裁金などの責任を負う必要があるため、グループ全体として一定水準以上のセキュリティレベルを満たしたうえで個人情報を管理する必要がありました」(藤本氏)

 前述したように、ヤマハ発動機は世界の180以上の国と地域でビジネスを行っているため、各地域の法律に則った顧客情報の管理が求められていたのである。

 「小規模の拠点であっても、その国の法律に準拠し、個人情報を活用する際の同意などを記録・管理するシステムが必要となります。しかし、小さな拠点が独自に顧客情報管理システムをつくるのは難しいのが実情です。そういう意味で、本社でシステムを用意するのが望ましいと考えていました」(藤本氏)

図:世界の代表的な個人情報保護法
図:世界の代表的な個人情報保護法

顧客生涯価値を高め、顧客接点の変化に対応する

 2つめの背景は、顧客がライフサイクルの中でどれだけの利益をもたらしてくれるかというLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が重視されてきていることだ。LTVを高めるには何よりも顧客のことを知る必要があるが、本社がエンドユーザーである顧客の姿を把握することは簡単ではない。本社と顧客の間には、海外拠点、販売店(小売店)などが存在し、そこには国境・法律の壁、企業・資本の壁も存在する。これまでのような製品ごとの顧客管理では、本社から製品の姿は見えても顧客の姿は見えてこない。これでは個々の顧客に対する有効なアプローチが行えない。

 さらに3つめの背景として、顧客接点の変化があげられる。従来は、販売店を何度か訪れて購入に至るケースがほとんどだったが、最近では店舗を訪れるのは購入のときの1回だけというケースも増えているという。

 「スマートフォンが普及したことで、従来のように製品情報を得るために店頭を訪れるお客様が少なくなっています。このようにオフラインでの接点が減る一方で、Webサイト、SNS、スマホアプリ、コネクティッド製品などオンラインでの接点は増加しています。こうしたさまざまな顧客接点を1つのIDで集約することが重要になってきています」(藤本氏)

「SAP Customer Data Cloud」を選択した3つのポイント

 とはいえ、グローバルで「One Customer,One ID」を実現するのは、たやすいことではない。大きな課題となるのが国ごとに微妙に異なる法規への対応で、利用規約やプライバシーポリシーなどの「同意管理」、データローカライゼーション規制のなかでの「データの保存場所」、GDPRにも規定がある「越境の制限」は、とくに大きな課題となる。

 「どこの法規にあわせるのか、どうやって仕様を決めるのか、同意の履歴管理はどうするかなど、さまざまな問題が出てきます。こうしたID管理の仕組みを、自社でつくるのか……。その方法を模索するなかで出会ったのがSAPの『SAP Customer Data Cloud』でした」(藤本氏)

 SAP Customer Data Cloud導入の決め手になったのは、以下の3つのポイントだ。

 1つめは、SAP Customer Data Cloudの「ID管理基盤」によって、Eメールアドレス、SNS、携帯電話でのユーザー認証が行えるだけでなく、Webサイトやスマホアプリのログインでもグローバルに使用可能なプラットフォームであることだ。

 2つめは、「同意管理」によって、利用規約やプライバシーポリシーなどに関する同意文書と同意履歴を管理することができ、同意文書がアップデートすると自動的に再同意を促す機能を持っていること。「導入前の調査では、同意管理機能がないソリューションばかりでした。ID認証とは別に同意管理機能を新たに開発することになると、新しい顧客情報管理システムを導入する意味がありません」(藤本氏)

 そして3つめは、「データの保管場所」としてデータローカリゼーション規制のあるEU、ロシア、中国では、その国のデータセンターを活用できるということだ。欧州や中国にデータセンターを持つベンダーは多いが、ロシアにデータセンターを持つベンダーはSAP以外になかったという。

SAP Customer Data CloudをグローバルなID管理基盤として展開

 こうしてヤマハ発動機では、2018年夏にSAP Customer Data Cloudの導入を決定。2020年2月にはSAP Customer Data Cloudを適用した初めてのサービスをインドネシアで開始した。これは、コネクティッド製品用のモバイルアプリの会員登録、認証に適用したもので、ユーザーの利便性を大きく向上させることに貢献した。

 現在ヤマハ発動機では、データローカライゼーション規制のある国以外は、越境規制の厳しいEUのデータセンターをグローバルデータセンターとして設定し、SAP Customer Data CloudをグローバルなID管理基盤として展開している。現段階では180以上ある世界のすべての地域で厳しい顧客管理が必要となっているわけではない。しかし、いまのうちから本社が顧客管理システムを用意しておくことで、必要になった時にすぐに対応できるようになる。

 藤本氏は、「SAP Customer Data Cloudにより、高いセキュリティレベルのID管理基盤を自社で開発せずに整備できました。SaaSなので、どんどん機能もアップしていきます。多くの海外拠点から、利用したいというリクエストもあがってきています。今後は、徐々に利用する海外拠点を増やしていきたいと考えています」と期待を寄せている。

 SAP Customer Data Cloudによって、「One Customer,One ID」の基盤を整備したヤマハ発動機は、今後さらなる顧客体験の向上、LTVの向上を目指して前進していくに違いない。

図:ヤマハ発動機が目指すデジタル・マーケティングの姿
図:ヤマハ発動機が目指すデジタル・マーケティングの姿
提供:SAPジャパン
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2021年3月31日
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