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データレイクはなぜ使われないのか?SAP S/4HANA導入企業必見のデータ利活用の勘所を知る

SAPジャパン
Industries and Customer Advisory統括本部シニアディレクター
椛田后一氏
SAPジャパン
Industries and Customer Advisory統括本部シニアディレクター
椛田后一氏
企業・組織で日々生まれ、蓄積されていくデータを経営・ビジネスに生かすことの重要性は、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が世の中に登場する以前から唱えられ、データレイクの構築など、データ利活用を社内に定着させるためのさまざまな取り組みが進められてきた。ただし、その取り組みを実質的な成果につなげられている日本企業は少ない。果たして、データ利活用が進展しない理由はどこにあるのか。また、その問題を解決するには何をどうすればよいのか。日本企業のデータ利活用を長く支援してきたSAPジャパンの椛田后一氏に問題解決のすべを伺う。

データ収集・蓄積はデータ利活用の本質ではない

 企業におけるデータ利活用の取り組みは一般的に、さまざまなデータソースからデータを収集・蓄積し、それを分析して施策に生かすというものだ。データの蓄積場所としてはデータウェアハウスのソリューションが主流を成しているが、今日ではデータレイクの利用も広がりを見せている。

 もっとも、データウェアハウスやデータレイクを導入すればデータ利活用が大きく進展するわけではない。例えば、データウェアハウスには、分析対象のデータを収集し、データ変換・加工・統合するまでに相当の時間を要し、分析ニーズに即座に対応することができないといった問題があった。ゆえに、その延長上でデータレイクを構築しても、データ利活用の活性化に一向につながらないことが多いのである。

 「このような問題を生じさせる根本原因は、データ利活用を”データの収集と蓄積”に主眼を置いた、”間違ったアプローチ”にあります」と、SAPジャパンの椛田后一氏は指摘し、語気を強めてこう続ける。

 「データを集めたところで、データ品質が低かったり、システム間のデータ整合性や適切なデータ粒度が確保されていなければ分析には使えず、分析が可能な状態にするまでに相当の手間と時間がかかることになります。これでは、データを活用して『自社のビジネスで、いま何が起きているのか』『自社と顧客や取引先との関係がいまどのような状態にあるのかを』を迅速にとらえ、検討、判断、行動を即座に実行することはできません。結果として、データ利活用が社内に定着せず、データ駆動で市場のニーズや変化に機敏に対応することも難しくなるのです」

 このような状況に陥るのを避けるためにも、社内のデータ収集・蓄積だけではなく、社内に散在するデータの整合性を確保することがデータ利活用で考えるべき重要なステップだと椛田氏は訴える。

 「社内にあるデータの整合性を確保しないまま、データレイクのプロジェクトを進行させても意味はなく、平行して取り組むべきは、社内データの整合性をリアルタイムに確保できるようにすることです。それを行わずにデータレイクの構築を進めているのなら、そのプロジェクトは即刻中止にするべきです」(椛田氏)。

業務プロセスの標準化とシンプル化

 では、椛田氏のいう「業務データの整合性をリアルタイムに確保する」には、具体的に何をどうすればよいのだろうか。

 同氏によれば、それは「SAP S/4HANA」のようなERPソリューションによって「生産」「販売」「購買」「会計」といった基幹業務のプロセスを連携させ、各業務で生まれるデータをリアルタイムに統合して一元管理することであるという(図1)。

図1:SAP S/4HANAによる業務プロセスとデータの連携/統合
図1:SAP S/4HANAによる業務プロセスとデータの連携/統合

 「社内データの不整合を生む要因は、業務ごとにプロセスとデータがサイロ化(分断)された状態にあることです。そのような環境下では、整合性の取れていないデータが各所に分散し、事業全体の状況をリアルタイムに、かつ正確にとらえることが難しくなります。」(椛田氏)。

 結果として、データを元にしたアクションが業務に組み込むことはできず、データ利活用が社内の文化として定着しないと椛田氏は説明し、こうも続ける。

 「SAP S/4HANAの導入とデータ利活用のための環境整備は別ものとして見なされがちですが、それは間違った見方です。SAPがグローバルのお客様と共に作り上げてきたベストプラクティスをベースに自社の業務を標準化/最適化/シンプル化し、冗長なシステムを統廃合することは、データ利活用の基礎を築くための必須の施策であり、欠かせないステップといえます」

プロセス連携のプラットフォーム

 とは言え、企業の業務は基幹システムだけで成り立っているわけではない。例えばCRMや案件管理のシステム、人材管理システムや経費精算システム、購買ネットワークなどの様々な業務が”ベストプラクティス”として、クラウドサービスで提供され、利用が進んでいる。ゆえに、企業全体の業務とデータを相互に連携させ、整合性を保つためには、SAP S/4HANAと各SaaSや自社システムがリアルタイムにプロセス連携するためのプラットフォームが必要とされる。

 そうした機能を包括的に提供する統合クラウドプラットフォームが「SAP Business Technology Platform」だ。同プラットフォーム上の「SAP Integration Suite」を活用することで、SAP S/4HANAを含むさまざまな業務システムのプロセスとデータをAPIを通じてシンプルに、かつ簡単に連携させることが可能になる(図2)。

 「SAP Integration Suiteでは、2,500以上の各業務プロセスに対応したSAP S/4HANAと様々なSaaSや業務アプリケーションとのプロセス連携の仕組みを”事前定義済みパッケージ”として提供しています。システム間のAPI連携をイチから設計・開発する必要はありません。それらのパッケージを”適用”するだけです」(椛田氏)。

 この「事前定義済みプロセス連携パッケージ」を適用することで、SAPの哲学とも言える「業務の標準化」と「リアルタイム」、「システム間でのデータの整合性」を実現することが可能となる。

図2:SAP Business Technology Platform -SAP Integration Suiteの概要
図2:SAP Business Technology Platform -SAP Integration Suiteの概要

データ利活用のプラットフォームと
求められる組織文化の変革

 このようにリアルタイムに複数システムが連動し、業務が円滑に進むことが企業活動には求められ、目指すべき企業システムの在り方だと椛田氏は説明する。また、データ利活用のプラットフォームに求められる要件も変わって来るという。

 「目指すべき新しいシステムアーキテクチャーにより、各業務は円滑に遂行されますが、各システムに蓄積されたデータを横断的に可視化、分析することによってインサイトを得て、そこから新たな施策を計画、実行することが求められます。それがデータ利活用の目的の本質です」。

 データの発生が「清流化」するとデータ利活用のプラットフォームにもリアルタイム性が求められる。日々の業務で利用しているデータがリアルタイムなのに、分析/レポートで使用するデータが過去のデータでは、そのプラットフォームは「古臭い時代遅れのシステム」のままだ。

 SAP Business Technology Platformでは、高速なデータウェアハウス環境「SAP Data Warehouse Cloud」も提供されている(図3)。このクラウドサービスを利用することで、各事業の状況を横断的、かつ、リアルタイムに可視化・分析することが可能になる。

 「SAP Data Warehouse Cloudは”データウェアハウス”というキーワードがサービス名に含まれていますが、オンライントランザクションにも対応した高速なインメモリーデータベース、SAP HANAが内包されています。そのため、リアルタイムなデータを各システムから収集して高速なデータアクセスを享受することもできますし、”仮想データアクセス機能”によって、SAP Data Warehouse Cloudを通じてリモートシステムのデータに直接アクセスすることも可能です」(椛田氏)。

図3:SAP Data Warehouse Cloudが実現するデータ利活用基盤
図3:SAP Data Warehouse Cloudが実現するデータ利活用基盤

 検索性能の「速さ」と欲しいデータにすぐにアクセスできる「早さ」を提供し、SAPのこだわりである「リアルタイム性」を追求した、他社のデータ利活用プラットフォームにはないコンセプトだ。その上でSAP S/4HANAなどのSAPシステムとの親和性/連携の容易性は言うまでもないだろう。

 もっとも、SAP Data Warehouse Cloudはあくまでもデータを活用するための道具(ツール)であって、それを導入するだけで企業におけるデータ利活用が進展するわけではないと椛田氏は指摘する。

 「SAP S/4HANAやSAP Integration Suite、SAP Data Warehouse Cloudを使うことで、業務プロセスとデータの整合性を確保し、データの可視化と分析のスピードと能力を上げ、データ利活用を業務に組み込むことが可能になります。ただし、データ利活用をさらに進展させるには、組織文化(=仕事の進め方)の変革意識を醸成していく必要があります」。

 椛田氏によれば、データにもとづいて行動する組織文化を醸成するためには、IT部門だけでなく、経営企画部門や業務改革部門、DX推進部門など、仕事のやり方を変えることを推進、浸透させる役割を持つ部門との協働が重要だという。また、役員には大画面ディスプレイを提供したり、データ利活用に積極的なメンバーにはタブレット端末を持たせるなど、常にデータが表示され、確認できる環境も大事だという。

 「経営会議や部門内会議で週毎にデータを確認していたやり方を、会議がなくても毎日ダッシュボードで確認し、そして、一日のうちに何度もデータを確認してアクションを起こせるように、データ提供環境と業務の進め方が一体となる必要があります。月次、週次にしか更新されないデータは業務には根付きません。常に最新データを確認し、判断し、実行する、そのようなスピード感が今後の企業活動に求められ、企業文化と働き方を変えるきっかけになると考えています」。

SAPでは2022年8月23日~26日の4日間、「SAP DX EYE ~使わなければもったいない!SAP S/4HANA のデータを2倍活用する」と題し、オンラインセミナーを開催する。SAP S/4HANAのデータを全社的に活用するために、オンプレミスやクラウドに散在するデータ資産をどのようにつなぎ、活かしていくのか、データ利活用の高度化に挑み、付加価値を生み出すデータ利活用を実現するにはどうしたらよいかなど、具体的に解説する予定だ。
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