BtoCだけでなくBtoBでも重要性が増す「デジタルエクスペリエンス」
企業において「デジタルトランスフォーメーション」の実現が重要な経営課題のひとつとなっている。デジタル技術の活用を通じ、ビジネスプロセスを変革し、従業員の生産性を上げ、収益を高めていくことに、既に取り組みはじめている企業も多いだろう。
中でも、デジタルをベースとした顧客との接点強化や、販売チャネルの拡大といった施策は「売上向上」に直接結びつくものであり、企業が世界規模で急速に進む「デジタル化」の潮流に追従する上で、不可欠なものとなっている。特に、コロナ禍での顧客行動の変化は、デジタルを媒介とした「顧客体験」、つまり「ユーザーエクスペリエンス」(UX)の重要性を増大させている。本稿では、そのようにデジタルを媒介としたUXを「デジタルエクスペリエンス」(以下デジタル体験)と呼ぶ。
デジタル体験向上を意識した、アプリ開発やWebサイトの改善といったデジタルチャネルへの投資は、主に一般消費者を顧客とする「BtoC」の領域では、以前から必須とされてきた。しかし、近年では、企業を顧客とする「BtoB」においても、その重要性が増している。
訪問営業やイベントなどの機会が減少する一方で、企業の購買担当者による、Webサイトでの情報収集や、購買行動の比率は増加している。Webサイトで商品を調査することはもちろん、BtoBにおいても問合せ前に意思決定をしている企業が多くなり、ニューノーマルにおいてはこのような動きがさらに加速していると思われる。彼らが「Webサイトで求めていた情報にストレスなくたどり着けたか」「Webサイトでの依頼や発注に、迅速に対応してもらえたか」といったデジタル体験を向上することは、有力な見込み顧客の獲得や、既存顧客との関係強化につながり、それは企業の収益向上に寄与する。