本稿では、ユニアデックスがユーザー企業に提案した、「HPE Nimble Storage」と「HPE InfoSight」によるシステム基盤の刷新と、高度な仮想化基盤の可視化の事例を紹介する。
山積する課題に向けての第一歩は「可視化」
DXを進めるにしても、事業継続のためDRサイトの設置を検討するにしても、何か新しいことを始めようとするときにシステムが複雑化、サイロ化しては、話が進んでいかない。IT部門はシステムやデータの棚卸しに大きな負担を強いられ、手間や費用が増えるばかりで、いつまで経っても完了しないということもありうる。
こうした課題については、システムの全体像をシンプルにし、何らかの手段で把握できるようにすれば、多くの問題の解消につながることが期待できる。そこでまず目指すべきは「可視化」だ。全体像を詳細に把握してこそ、現状の課題が明確化でき、ITによる新しい挑戦も容易になり、IT部門も経営層もシステム環境の目指す方向性を描くことができる。
とはいえ、複雑化・サイロ化したシステムを運用管理する業務で手一杯のIT部門にとってみれば、この問題にはなかなか踏み切れないかもしれない。そんなときは、可視化の先にある目指すゴールまでの道筋も含めて協力してくれる、ソリューションパートナーが重要な役割を果たすことになる。
本稿では、そうしたソリューションパートナーの一社であるユニアデックスが、実際にユーザー企業から相談を受けた事例を紹介しながら、「HPE Nimble Storage」と「HPE InfoSight」による高度な可視化の取り組みを紹介する。
ユーザーの課題「長年にわたるシステム乱立で、保守切れさえ気付けない」
関東地方に本社を構え中部・近畿にも拠点を置くA社は、GIS(地理情報システム)や建築物の3D CADデータ・パース作成ソフトウェアなど専門性の高いシステム開発事業を手掛けるITサービスカンパニーである。
ユニアデックス 営業第二本部 エンタープライズ第三営業統括部 営業二部 第一営業所の渡邊美都里氏は、当時A社が抱えていたシステム環境の課題を以下のように説明する。

ユニアデックス 営業第二本部 エンタープライズ第三営業統括部 営業二部 第一営業所 渡邊 美都里氏
「A社では長年にわたり、業務の必要に応じて部門ごとにシステムを構築し、サーバやストレージなどの製品を導入してきました。その結果サイロ化が進み、IT部門には8名ほどのスタッフがいたものの運用の手が足りない状況で、安定稼働もままならず、機器の保守切れにも気付くことさえ難しいという状況でした」
A社では、保守切れとなっていたサーバの更新を切り口として、まずメーカー等から情報を収集し、解決策の糸口をつかもうとしていた。そこで相談に応じたのが、ユニアデックスだ。
「詳しい話を聞くうちに、A社がシステム環境に多くの課題を抱えていることがわかりました。そこでシステム基盤全体の見直しを提案したのです。サーバが乱立しIT部門が管理できていない状況を改善し、業務継続性やセキュリティを確保するには、どのような製品やサービスが効果的なのか、安定性や拡張性、IT部門の作業効率などを重視したソリューションを提案しました」(渡邊氏)