デジタル経済が加速する中で、モダンアプリケーションによる競争力強化が求められている。しかし、迅速にインフラを使いたいアプリケーション開発者と、インフラを守り、安定運用を最優先とするIT管理者のニーズはときに真逆の関係にある。これを両立させてアプリケーションのモダナイゼーションを促進するために、ヴイエムウェアでは「VMware Tanzu Portfolio」と、「VMware Cloud Foundation 4 with Tanzu」を発表した。これによって、企業はKubernetesを基軸にモダンアプリケーションを開発し、「2025年の崖」を乗り越え、競争力を強化することができるという。
開発者とIT管理者のニーズを両立させるための製品群を発表
デジタル経済が加速する中で、「2025年の崖」が大きな課題になっている。経済産業省は2018年に発表したDXレポートにおいて、この言葉を用いて、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残り続けた場合、2025年以降日本の国際競争力が落ち、経済全体が停滞すると指摘した。この崖を乗り越えるには、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を通じて新たなビジネスモデルを創出し、企業の成長を実現していくことが重要になる。そのための大前提はレガシーシステムとモダンアプリケーションの共存だ。
「モダンアプリケーションとはクラウドネイティブなアプローチのアプリケーションを指すことが一般的です。しかし、レガシーシステムをマイクロシステムにして、コンテナ化していくのもアプリケーションのモダナイゼーションだと考えています」とヴイエムウェア株式会社 チーフストラテジスト 高橋洋介氏は語る。
アプリケーション開発者の多くは迅速にアジャイルなプロセスで自分に必要な環境を作りたいと考えている。ところが、通常の承認プロセスでは申請から利用開始までに1~2カ月も時間を要するケースもあり、社内プロセスを無視して、自身でクラウドサービスを契約してアプリケーションを開発するケースも見られる。こうしたシャドーITの蔓延は、企業のITインフラを管理する上で大きな問題になっている。
一方、IT管理者の使命とは、既存のITインフラの運用・管理だけでなく、セキュリティ対策も含めて、ITインフラを安定的に維持していくことにある。そのため、攻めのIT投資にかける時間や費用よりも、保守に重点を置くことになりがちだ。結果、次々に登場する新しいテクノロジーをタイムリーに取り込むことには難がある。
このようにアプリケーション開発者とIT管理者のニーズは真逆ともいえるもので、アプリケーションのモダナイゼーションの実現には両者のニーズを両立させることが不可欠である。そのためにヴイエムウェアが発表したのが、Kubernetesを中心に据えたモダンアプリケーションのための統合プラットフォーム「VMware Tanzu Portfolio」と、モダンアプリケーションをサポートするハイブリッドクラウドプラットフォーム「VMware Cloud Foundation 4 with Tanzu」である。これら2製品は、それぞれ補完し合うかたちで、開発者とIT管理者が抱える課題を解決していくという。