マーサー、タレントモビリティ(人材の流動性)に関する調査結果を発表

マーサー ジャパン株式会社

2012-01-25 16:00

・55事例を取り上げ、タレントモビリティ(人材の流動性)とエンプロイアビリティ(雇用適性)という世界的な問題を解決する具体的な活動について説明 ・関係者同士の協力により労働市場の失敗に対応する可能性が大いに高まる ・協力体制によるモビリティ対策を成功させるためのノウハウを概説している
世界経済フォーラム(WEF)が発表したレポートでは、タレントモビリティに関しては、雇用に関わる関係者全員が協力していくことが、今までの労働市場の失敗を繰り返すことなく、雇用創出を促進するうえで最も効果があると指摘している。「Talent Mobility Good Practices - Collaboration at the Core of Driving Economic Growth(タレントモビリティのベストプラクティス - 経済成長を促す要となる協力) 」というこのレポートは世界の55事例を参考にまとめられている。企業、政府、大学、非営利団体など、組織が人材問題に対処するために実施してきた具体的な活動を紹介している。レポートは世界的な組織・人事コンサルティング会社マーサーの協力のもと作成された。

レポートによれば、世界の雇用市場の均衡を取り戻すために採用できる優れた慣行が幾つかあるものの、タレントモビリティはその可能性を十分に実現していないと指摘している。つまり、雇用市場では主に4つの問題が障害になっていると指摘している。雇用適性の欠落が広く認められ、技能格差や情報格差があり、官民ともに人材の異動が制約されている。こうした問題は、既に高い失業率や人材の活用不足に苦しむ、多くの国や地域に広がりを見せ、経済を脅かしている。同時に、多くの産業部門や企業が人材不足や技能格差の問題を抱えている。

事例では、こうした問題に着目した様々な解決策を取り上げている。例えば、業界の人材ニーズにより適切に対応するための学習カリキュラムの作成から雇用に向けた未熟練労働者の訓練まで多様である。ほぼ全ての解決策に、複数の関係者が関わる様々な協力体制が認められる。以下は具体的な事例である:

・東南アジア諸国連合(ASEAN) 加盟国は、大学、政府官庁、民間部門と協力して、タレントモビリティの法的な障害を取り除き、熟練労働者が国際的に自由に異動できるようにしている。こうした協力により、業界のエキスパートや専門家、熟練労働者らの異動を促進することを目的とし、合意に達している。加盟各国は現在、査証免除を認めており、ASEAN ビジネス・トラベル・カードという ASEAN 諸国間の出張が容易になるカードも作成されている。

・トロント金融サービス連盟(The Toronto Financial Services Alliance )はトロント市により、政府、大学、金融サービス業との官民パートナーシップとして設立され、人材を引き付けトロントの金融サービス部門の強化を図ることとなった。このパートナーシップの狙いは、大学レベルで業界の具体的な技能や人材上のニーズを明確にし、情報格差を埋めることである。金融サービス教育拠点施設(Centre of Excellence in Financial Services Education)はこのパートナーシップにより、2009年に誕生している。

・NASSCOMはインドを代表する IT業界団体であり、業界全体での技能の移植性(portability)の向上、標準化を活動趣旨としている。 2008年には、国立大学と組んで、業界の応募プロセスの合理化を図るために標準技能評価認証プログラムが設立されている。以来、約10万人の大卒者が新卒採用レベルの試験を受けており、今後は年に最大25万人の学生が受験すると期待されている。

・ブラジルとインドでは、ウォルマート(Wal-Mart)が、地元労働力の雇用適性に関して、地元政府、学校、地域社会と協力して、自社の人材ニーズと該当国の学生の具体的な技能ニーズの両方に対応するための革新的な研修プログラムの導入を進めている。ブラジルに限って言えば、ウォルマートは2010年に、地元高校も関わり、このプログラムを通して1万人の新規雇用を生み出し、2011年にはさらに新たに1万人の雇用を増やす予定である。

・世界最大の石油ガス会社であるサウジアラムコ社(Saudi Aramco)が頼りにしているのは、厳密な要員計画手法と、教育訓練への十分な重点的投資、そして、世界各地の有力企業が採用している経営慣行やツールを国内の従業員が利用できるようにした、包括的なモビリティプログラムである。こうしたプログラムはあらゆるキャリアレベルの社内での人事異動に役立つ。 同社はまた、サウジアラビア政府や主な大学機関と密接に協力して、自社への、そして国中での安定した人材の流動性を確保しようと努めている。

レポートでは最後に、各関係者がどのように協力すればモビリティ業務を推進し、成功させることができるかという提言をまとめている。例えば、雇用市場情報のアクセス共有、タレントモビリティの事業への影響を評価するための従業員と人事評価のデータと組み合わせた評価測定や、モデリングツールの利用、さらに複数の関係者による協力を促すための事実ベースの事例開発、などがある。

「この合同研究の目的は、様々な関係者がタレントモビリティの問題や実務経験の意見交換への取り組みを可能にする、広く認められるプラットフォームを構築することでした。」とマーサー社のタレント・リワード・コミュニケーション事業部門プレジデントのパトリシア・ミリガンは述べる。「調査結果から分かったのは、こうした難題であるにも関わらず、応用可能で実践的な解決策が既に色々とあり、人材不足に対処し、雇用創出、はては経済成長につながっていることです。」

「当社の調査からは、企業、産業、経済の成長には、従来の海外赴任に留まらない、人材の異動に対するより広い視点が必要であることがよく分かります。」と世界経済フォーラムのパートナーシップ担当主任のピアーズ・カンバーレジは言う。「共通の関心を持つ様々な関係者が一堂に会せば、雇用市場の難題への対応、経済成長の促進に最大限の効果を発揮する、有効かつ多面的な解決策が生まれます。」

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タレントモビリティのベストプラクティスについて本レポートで分析対象とした他の関係者は以下の通りです: ABB, アデコ、 BCハイドロ、ボストンコンサルティンググループ、欧州委員会、HCLテクノロジーズ、インフォシス、国際労働機関(ILO)、 INSEAD、LVMH、マンパワーグループ、マーサー、ポーランド民間雇用主連盟、プライスウォーターハウスクパース、スタンダードチャータード、その他。

レポートの提言をまとめるにあたっては、技能と人材異動に関するグローバルアジェンダ委員会(Global Agenda Council on Skills and Talent Mobility)のメンバーや、ハイレベルの専門家や実務者の皆さんにご協力頂きました。 2012年にダボス‐クロスターで行われる年次会合で、世界経済フォーラムは、タレントモビリティのベストプラクティスの効果的な共有に重点を置いた、様々な関係者が参加する独自の協力プラットフォーム構築の促進を目指します。

※ レポート全文のダウンロード、詳細は以下ウェブサイトをご参照ください:
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* 本プレスリリースは、米国マーサーが発表したプレスリリースを翻訳・編集したものです。
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マーサーについて
マーサー (英語社名:Mercer、本社: ニューヨーク、会長兼CEO:ミシェル・バーンズ)は、世界40カ国以上、約180都市において、コンサルティング、アウトソーシング、インベストメント分野で25,000社以上のクライアントにサービスを提供するグローバル・コンサルティング・ファームです。世界各地に在籍する20,000名以上のスタッフがクライアントの皆様のパートナーとして多様な課題に取り組み、最適なソリューションを総合的に提供しています。日本においては、30余年の豊富な実績とグローバル・ネットワークを活かし、あらゆる業種の企業・公共団体に対するサービス提供を行っています。組織変革、人事制度構築、福利厚生・退職給付制度構築、M&Aアドバイザリー・サービス、グローバル人材マネジメント基盤構築、給与データサービス、年金数理、年金資産運用など、「人・組織」を基盤とした幅広いコンサルティング・サービスを提供しています。

マーサーは、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン証券取引所に上場している、マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ(証券コード: MMC)グループの一員です。

マーサーについての詳細は、以下をご参照ください
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