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今回は、『そらまめ通信』vol.75から、腎臓病の検査に関するコラムをご紹介いたします。
第3回目は、より専門的な検査について、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 慢性腎臓病対策 腎不全治療学 教授、杉山 斉 先生に、画像検査で分かること、また腎生検についてを教えていただきました。
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●画像検査で分かること
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尿の異常(蛋白尿、血尿)や腎機能異常で見つかった腎臓病を、さらに詳しく調べるためにおこなう検査のひとつに、腎臓の画像検査があります。
腎臓の形や大きさに異常がないか、腫瘍や結石などがないかどうかを調べるのが主な目的です。 最も広くおこなわれるのがお腹や背中にゼリーを塗り超音波を当てて腎臓の画像を映す超音波(エコー)検査です。痛みがなく短時間ででき、腎臓の形や大きさ、腫瘍や嚢胞(液体のたまった袋)、結石の有無を調べるのに有効です。
エコー検査で異常が疑われた場合、より詳しい画像が得られるCT 検査をおこないます。
これらの検査では、腎臓が一つしかない片腎や、嚢胞がたくさんできて腎臓が腫れる多発性嚢胞腎という遺伝性の病気なども診断することができます。
ほかに、腎腫瘍の拡がりや転移を評価するためのMRI 検査、腎臓に関係する血管に病気(狭くなっている、奇形など)がないかどうかを調べるための血管造影検査、腎臓から排泄される薬剤(人体に害のない放射性物質)を注射して特殊な撮影をおこない腎臓の働きを調べる腎シンチグラフィ(核医学検査)、腎臓の血液の流れを調べる腎血管エコーなど、さらに専門的な画像検査がおこなわれることもあります。
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●腎生検とは
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腎臓病では、尿・血液検査や上記の画像検査をおこなっても、腎臓の組織を調べなければ診断ができない場合があります。腎臓の組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく観察するのが腎生検という検査で、腎臓病の確定診断のための精密検査です。
血尿・蛋白尿がともに陽性で慢性腎炎を疑うとき、ネフローゼ症候群(1 日3.5g 以上の大量の蛋白尿が出る病気)、検尿の異常と急激な腎機能悪化をおこす急速進行性腎炎を疑ったときなどにおこない、正確な診断や病気の程度・勢いを知ることができます。
治療方針を決めたり今後の見通し(予後)を予測したりするために非常に重要な検査ですが、検査のために入院が必要で、組織をとるために針を刺すので、出血しやすい病気の人や片腎、長期の腎臓病によって腎臓が萎縮している人などでは検査はできません。
腎生検をおこなうかどうかは、腎臓専門医がそれまでの病気の経過や様々な検査の結果から慎重に判断します。
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●その他の詳しい検査
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腎臓専門医を受診すると、1 日分の尿を容器にためる24 時間蓄尿検査をおこなうことがあります。
正確な尿蛋白の量や、シリーズ2 回目にお話したeGFRで推定した腎機能を正確に測るクレアチニンクリアランス検査の他に、塩分や蛋白質をどのくらい摂取しているか分かるので、食事療法がきちんとできているか知ることもできます。
慢性腎臓病の経過を総合的に評価するためにとても有用な検査です。
※この記事は、会報誌『そらまめ通信 Vol.75 診察室から』からの抜粋です。
<一般的な検査「血液検査」「検尿」について詳しくはこちら>
○腎臓病と血液検査:押さえておきたい意味と数値
(リンク »)
○「検尿」から分かること
(リンク »)
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