くすりの適正使用協議会
‐2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、全国の調剤薬局での外国人患者対応に関する調査を実施‐
日本人患者に比べて外国人患者とのコミュニケーションが出来ていないと感じる薬剤師は66%
◆外国人患者の対応頻度は、月に一回以上が54%。
◆薬局に外国語対応可能なスタッフがいないと回答した薬剤師は78%、外国人患者対応に不安を感じる薬剤師は88%
◆93%の薬剤師が、外国人患者対応時に参考にする英語の医薬品情報が無いと回答
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックでは、約80万人の外国人観光客が来日すると予想されています。国は、日本語が出来ない外国人が医療機関で安心して治療を受けるために不可欠な医療通訳の充実に向けて動き出し、医療通訳の拠点病院をはじめとした態勢整備を急いでいます。また大会組織委員会*では、観戦に訪れる外国人に対し、滞在期間中は公的機関による救急医療サービスを無償で提供する方針を打ち出しました。
今回、くすりの適正使用協議会(東京都・中央区、理事長:黒川達夫)は、全国の調剤薬局に勤務し、外国人患者に対応したことのある薬剤師を対象に、外国人患者への対応状況について調査を実施しました。
調査結果から、月に1回以上外国人患者への対応を経験している薬剤師が5割に上る一方、対応に不安をもち、充分にコミュニケーションが出来ていないと感じる薬剤師が多く、また対応時に参考となる英語の医薬品情報が不足していました。このことから、外国人患者への情報提供および薬学的知見に基づく指導が十分にできる環境にはなく、2020年に向けて、英語版医薬品情報の早急な整備の必要性を示唆する調査結果となりました。
*一般社団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
■外国人患者の実態
・薬剤師が対応したことのある外国人患者の国籍は中国が最多だが、米国・欧州圏・フィリピン・インドなど、英語でコミュニケーションが取れる国が多い
・外国人患者の対応頻度は、月に1回以上が54%、月に3回以上が32%
■外国人患者とのコミュニケーションが出来ておらず、薬剤師自身もコミュニケーション不足を自覚
・薬局に外国語対応可能なスタッフが「いない」と回答した薬剤師は78%
・外国人患者への対応に不安を「少し感じている」「感じている」薬剤師が計88%
・日本人患者と比較した場合の外国人患者とのコミュニケーションは、「最低限のことしか出来ていない」「出来ていない」薬剤師が計66%(図参照)
・薬を服用することでの副作用等の不安や悩みがないかの確認は、「全くしていない」「あまりしていない」薬剤師が計63%
■必要とされている英語版医薬品情報
・94%の薬剤師は、英語版医薬品情報が必要
・93%の薬剤師は、参考にする英語版医薬品情報がない
・参考にしている英語版医薬品情報があると回答した薬剤師(28人)のうち、英語版「くすりのしおり」を活用している薬剤師は36%
・英語を話せる外国人患者に対し、英語版「くすりのしおり」が役立つと考える薬剤師は、「思う」「少し思う」が計95%
■調査概要
調査方法 : インターネット調査(株式会社マクロミル)
実施期間 : 2014年10月14日(火)~2014年10月17日(金)
調査対象者: 全国の調剤薬局で外国人患者対応をしたことのある薬剤師 408名
■「くすりのしおり」について
「くすりのしおり」は、個々の医療用医薬品について、患者さんに分かりやすい表現を用い必要最低限の情報をA4版1枚にまとめた薬の説明書です。医療関係者と患者さんの間のコミュニケーションツールとして、製薬企業が作成し、日々更新している正確で信頼性の高い情報です。
2014年11月末現在、日本語版14,047種類(医療用医薬品の約7割を網羅)、英語版3,919種類(順次追加中)を掲載しており、2年前に比べ英語版の掲載数は1.9倍増となりました。
■くすりの適正使用協議会について
くすりの適正使用協議会は、くすりのリスクとベネフィットを検証し、社会に提示することで患者さんのメリットに寄与することを目的に、1989年に研究開発指向型製薬企業11 社によって設立されました。
創設当初より、医薬品の本質を評価する学問「薬剤疫学」の普及、医薬品適正使用情報「くすりのしおり」の提供など、医薬品の本質の理解促進と正しい使い方の啓発活動を行ってまいりました。
2012年度からはキーコンセプトを「医薬品リテラシー*の育成と活用」と定め、活動を行っています。
*医薬品リテラシー:医薬品の本質を理解し、医薬品を正しく使用する能力
■協議会ホームページ: (リンク »)
■「くすりのしおり」ページ: (リンク »)
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