ドイツのボンで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第39回世界遺産委員会は7月5日(日)、佐賀県佐賀市の三重津海軍所跡など8県23資産で構成する「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産への登録を正式決定しました。
日本の世界文化遺産は15件目で、「富士山‐信仰の対象と芸術の源泉」(山梨県・静岡県)、「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)に続き3年連続。自然遺産も含めた世界遺産では国内19件目で、近代の「産業遺産」が登録されるのは昨年に続き2度目となります。
産業革命遺産は三重津海軍所跡のほか、官営八幡製鉄所(北九州市)や三菱長崎造船所(長崎市)等、製鉄・鋼、造船、石炭産業に関する、幕末から明治にかけての重工業の分野の資産を中心に構成。わずか50年余りという短期間で、西洋技術を積極的に改良して日本のニーズや社会の伝統に適合させることにより産業化が達成されたことを示す遺産として評価されました。
三重津海軍所跡は、長崎警備を担当していた佐賀藩の藩主鍋島直正が進めた近代化事業の一つで、幕末佐賀藩の海軍の拠点。国産初の実用蒸気船「凌風丸」を建造するなど、近代的造船業の礎となったことを今に伝える遺産で、日本の伝統的土木技術と、西洋の技術の融合により構築された国内最古のドライドックの一部が地下遺構として現存しています。
この地下遺構は、保存上の問題から、常時公開して実物を見せるという方法がとれないことから、佐賀県では今年4月下旬に、海軍所跡及び隣接する佐野常民記念館で、「三重津タイムクルーズ」という約160年前の施設の様子をコンピューターグラフィックス(CG)で再現した映像を無料で体験できるサービスを開始。
現在公園になっている海軍所跡の5つのポイントで双眼鏡型のVRスコープをのぞくと、音声ガイドとともに、船を修理するドライドックや藩士たちが射撃や船の操縦などの訓練を行った稽古場などの360度のパノラマ映像で当時の様子がイメージできます。
また、館内1階に設置されたヘッドマウントディスプレイ(オキュラスリフト)6台で鑑賞できる動画は、藩士たちが行き交う約160年前の三重津海軍所の熱気が表現された最新鋭のバーチャルリアリティ(VR)動画映像体験がどちらも無料で楽しめるようになっています。
◇佐賀県「三重津海軍所跡を世界遺産へ」オフィシャルサイト
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◇明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域 オフィシャルサイト
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