株式会社J.D. パワー アジア・パシフィック
J.D. パワー
2017年北米ホテル宿泊客満足度調査
J.D. パワー報道用資料:
ホテル宿泊に際してモバイル利用が増加、ホテル側には新たなチャンスと共に課題が生まれる
ラグジュアリーセグメントでは、ザ・リッツ・カールトンとJW マリオットが同率1位
※本報道資料は、日本時間7月12日に米国で発表された資料を翻訳したものです。
(日本発表:7月19日午後1時)
米国カリフォルニア州コスタメサ:2017年7月12日―J.D. パワーが本日発表した2017年北米ホテル宿泊客満足度調査SMで、寝心地のよい枕や豊富なタオル、魅力的な価格と同じように、モバイルアプリが宿泊客の宿泊体験にとって重要な要素になってきていることが明らかになった。
当調査で、ホテル宿泊に際してモバイルアプリを使用した宿泊客は、満足度が高くなることがわかった。また、モバイルアプリを使うことにより、宿泊客はホテルでのよい経験をソーシャル・メディアでシェアする傾向が強くなる。
一方、ホテルにとってのリスクは、モバイル機器を通じて予約する宿泊客が増えると、そのうちの一部の宿泊客がインターネットの予約サイト(Online Travel Agent : OTA)を通じて部屋を取る可能性があることであるが、往々にしてOTA経由の宿泊者の満足度は低い。ホテル業界では現在、宿泊客が直接ホテルに予約を入れられる、ダイレクト・ブッキングを利用するように強く勧めているが、より多くの宿泊客がホテル会員になることで、この取り組みは進んでいくと考えられる。OTAは多くの宿泊客に人気があるが、予約の際に問題が発生した場合には第三者機関に対処する必要があるなど、いくつかの欠点もある。
J.D. パワーのトラベル/ホスピタリティ分野担当のリック・ガーリックは「モバイルの利用が宿泊客にとって当たり前になってくるにしたがい、ホテルは2つの課題を抱えるようになる。一つ目は、宿泊客にはホテルに直接予約するように促す必要があるということ、そして二つ目は直接予約が簡単に利用できるように環境を整える必要があるということだ。顧客と直接的な関係を構築することで、ホテルは宿泊客がどのようにホテルを利用しているかを把握できるようになるが、そのためにはモバイル戦略をしっかりと構築することが重要になる。」と述べている。
今年で21回目となる当調査は、宿泊客のホテルでの経験やサービスに対する満足度を調べるものである。宿泊客満足度の測定にあたっては、「ラグジュアリー」、「アッパー・アップスケール」、「アップスケール」、「アッパー・ミッドスケール」、「ミッドスケール」、「エコノミー」、「アッパー・エクステンデッド・ステイ」、「エクステンデッド・ステイ」の8つのセグメントに分けて、「予約」、「チェックイン/チェックアウト」、「客室」、「F&B(料飲)」、「ホテルサービス」、「ホテル施設」、「料金」の7つのファクターを設定し評価を得ている。各ファクターにおける宿泊客の評価をもとに、総合満足度スコアを算出した(1,000 ポイント満点)。
主な調査結果
●ダイレクト・ブッキング:ホテルに直接予約せずに、インターネットの予約サイトやモバイルアプリ(Expedia、Travelocityなど)を通じて予約すると、宿泊客は不快な思いやトラブルを経験することが多く、宿泊満足度が低下する傾向にある。
●会員:ホテルの会員は、会員ではない宿泊客に比べて、ホテルに直接または会員専用サイトから予約をする傾向が非常に強く(それぞれ75%および47%)、満足度も高い。OTA経由の予約ではホテルの特典利用制限や厳しいキャンセルポリシーなどさまざまなデメリットがあるにもかかわらず、OTAを通じて予約を入れる宿泊客数は2013年の16%から2017年には19%に増加している。
●モバイルマニア:2014年は、オンラインによる予約の14%がモバイル(スマートフォンまたはタブレット)を利用して行われたものだったが、現在、この割合は25%に増加している。このようなモバイル経由での予約は、若い世代やビジネス客に多い。
●宿泊時のモバイル利用率:モバイル機器にホテルのアプリをダウンロードしている宿泊客では、38%がホテルの滞在中はアプリを使用しないと答えている。チェックインおよびチェックアウトをモバイルアプリから行っている割合はごくわずかであるが(それぞれ4%と1%)、利用している宿泊客では満足度が高い。
●アプリの利用推奨:ホテルのモバイルアプリをダウンロードして利用している宿泊客は満足度が高く、ホテルブランドに対するロイヤルティも高い。宿泊客全体でホテルのアプリをダウンロードしているのはわずか19%だが、会員では70%がダウンロードしている。
●ソーシャル・メディア利用における驚くこと:消費者は不満のみをソーシャル・メディアに投稿しているという見方があるにもかかわらず、このようなチャネルを通じて自分の体験を投稿する宿泊客は全般的に満足度が高い傾向がある。それと同時に、問題を経験している宿泊客はソーシャル・メディアに投稿する割合が86%と高い。
●情報収集は基本:宿泊客の半数強(52%)が、過去1カ月以内にホテルのレビュー、業界ニュース、またはオンライン・フォーラムを読んだことがあると回答しており、そのうち46%が過去半年の間にレビューを書き込んだことがあると回答している。レビューの読者も書き手も高い満足度を示す傾向にある。
顧客満足度ランキング
「ラグジュアリーセグメントでは、ザ・リッツ・カールトンとJW マリオットが同率1位となった。どちらもマリオット系列のブランドであるがターゲット層が異なる。この調査は、各ホテルブランドの宿泊客がその満足度を評価するもので、宿泊客がホテルブランドを直接比較して評価するものではない。満足度ランキングを決定する上で、宿泊客のタイプは重要な要素となることが多い。」(ガーリック)
各セグメントにおける宿泊客満足度ランキングでトップとなったブランドは次のとおりである。
●ラグジュアリー:JW マリオットとザ・リッツ・カールトン ※1(同率)
●アッパー・アップスケール:ハイアット
●アップスケール:ヒルトン・ガーデン・イン(2年連続)
●アッパー・ミッドスケール:ドゥルーリー ホテル(12年連続 ※2 )
●ミッドスケール:ウィンゲート・バイ・ウィンダム(3年連続)
●エコノミー:アメリカズ ベスト バリュー イン
●アッパー・エクステンデッド・ステイ:ステイブリッジ スイーツ
●エクステンデッド・ステイ:キャンドルウッド スイーツ
※1 ザ・リッツ・カールトンは3年連続トップとなった。
※2 ドゥルーリー ホテルは、2013年までミッドスケールセグメントでトップだったが、2014年にアッパー・ミッドスケールセグメントに含まれた。
当調査は、2016年5月から2017年5月にかけて北米のホテルに滞在したカナダと米国の宿泊客を対象に、2016年6月から2017年5月にかけて調査を実施し、63,000人以上から回答を得た。
2017年北米ホテル宿泊客満足度調査についての詳しい情報は、 (リンク ») をご覧ください。
本プレスリリースの英語版は、 (リンク ») からオンラインで閲覧できます。
*J.D. パワーが結果を発表する調査はすべてJ.D. パワーが第三者機関として自主企画により実施したものです。
<J.D. パワーについて>
J.D. パワー(本社:米国カリフォルニア州コスタメサ)は、顧客満足に関するインサイト並びにパフォーマンス改善のためのソリューションを提供している国際的なマーケティング情報サービス企業である。毎年、世界中で数百万人にのぼる消費者やビジネス・ユーザーを対象に、品質や顧客満足に関する調査を実施している。北米、南米、ヨーロッパとアジアに計17の拠点を有する。アジア・パシフィックではシンガポール、北京、上海、バンコク、マレーシアに拠点をもち、日本、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナムで調査を行っている。また、J.D. パワーはAthene Li, Joseph Pacini, Murphy Qiao and Carsten Geyerの4人の創業者によって率いられる、ロンドンに本社を置く国際的なオルタナティブ投資会社並びにプライベート・エクイティ企業であるXIOグループの投資先企業のひとつである。詳しくは当社ウェブサイト (リンク ») まで。
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