2020年の「その先」を考えるアーツカウンシル東京が描く、社会の未来 芸術文化都市“東京”の都市戦略、オリンピックの“レガシー”とは?

公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京 2018年01月17日

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新年を迎え、開催まで約2年半に迫った東京2020大会に向けた動きが、世の中のあらゆる分野で活発になっています。スポーツの分野では、VR(ヴァーチャル・リアリティ)等の新たな技術を使って、臨場感あふれるスポーツ観戦を創造する試みが行われています。また、多言語翻訳システムや無料公衆無線LANの整備など、訪日外国人が快適に過ごせるようなサービスの開発も進められています。

スポーツや観光だけではなく、「芸術文化」の面でも2020年に向けた動きが加速しています。IOCが定めるオリンピック憲章に、「オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものである」と明記されており、東京都が推進し、2020年4月から半年間にわたって実施する「Tokyo Tokyo FESTIVAL」や、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の「東京 2020 Nipponフェスティバル」など、大規模な文化フェスティバルの開催が続々決定しています。アーツカウンシル東京では東京都とともに、現在多種多様な「文化プログラム」を2020年に向けて展開しています。

このように芸術文化活動が活発になっているものの、一過性の盛り上がりではなく、その後を見据えた戦略、仕組み作りが重要です。本ニュースレターでは、アーツカウンシル東京の機構長 三好勝則の視点を紹介します。


《アーツカウンシル東京 機構長 三好勝則》
◇2020年の山を越えて道は続く。これからの都市戦略としての文化事業とは

■「東京」が国際芸術文化都市として評価されるための都市戦略
アーツカウンシル東京では、幅広い分野におけるフェスティバルの開催や子供、外国人向けの参加・体験プログラムなど、多種多様な事業を通して、芸術文化活動を拡充・発信し、継承しています。現在は、アーツカウンシル東京も、2020年に向けて、様々な「文化プログラム」を実施しています。ただ、文化事業はオリンピックを盛り上げるためだけではなく、芸術文化の意義を広く伝え、同時に芸術文化都市としての“東京”の価値を高めていくことが、「文化プログラム」の目的だと理解しています。オリンピックという“場”を借りて、東京の国際芸術都市としての魅力を世界にアピールする、という戦略です。

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■単なる記録や記憶ではない、芸術文化における2020年の“レガシー”とは?

「オリンピックの“レガシー”を創出する」とよく言いますが、我々が使う“レガシー”はイベントの記録や記憶を残せば良いというわけでなく、“PDCAサイクル(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Act:改善)”に近いと思っています。まずは「文化プログラム」で何をするのか、目標をはっきりさせ、戦略としてどう進めていくかを考え、実行する。そして、目標に対してどこまでできたのか?戦略は良かったのか?そこをチェックし、改善すべき点を見直し今後に繋げていく。PDCAサイクルを回していくフレームワークを“レガシー”として残すべきだと思っています。

■2018年2月にスタート、新たな可能性が広がる「企画公募」の持つ意味
2020年に向けて動き出しているプログラムは、野田秀樹さん総監修の「東京キャラバン」や日比野克彦さん監修の「TURN」など、著名アーティストと共に作り上げていく事業が、一つ大きな柱となっています。もう一つの側面として、自分たちが参加できる機会がないか、という若手アーティストの意見も多くありました。そのような意見も取り入れるべく動き出したのが、「Tokyo Tokyo FESTIVAL 企画公募」です。この公募では、東京が芸術文化を創造する国際都市としての価値を国内外へ発信する力、社会へ問題を提起する力、アートの可能性へのチャレンジが期待される新たな試みです。提案した方々と一緒になって、東京の文化シーンをともに創り上げていきたいと考えています。


◇芸術文化を通して、社会課題を解決する糸口を探る

アーツカウンシル東京は、2020年に焦点を絞った取り組みと並行して、芸術文化振興の基盤となるような仕組みづくりや、芸術文化を通して社会課題の解決の糸口になるような活動を、アーティストたちとともに展開しています。


■芸術文化でつくる街の個性
(リンク ») が『モノ』から『コト』へという波が押し寄せている今、人の流れを建物内から商店街や通りに拡げ、街自体を単なる消費の場所ではなく、コト(体験)を生み出す場所にする必要があります。例えば、地域に根付く伝統的なお祭りなどの文化的体験を通じて、人と人との出会いが生まれます。各地域の芸術文化が、結果的に、その街の『固有性』となり、経済活性化をもたらすと考えています。アーツカウンシル東京の事業で言うと、「東京アートポイント計画」が良い事例です。NPO等と協力し、アートで地域の魅力を発掘しようという活動を通して、人と人、人と街がつながっていきます。現在は、足立区や小金井市、JR中央線高円寺駅~国分寺駅周辺のエリアなどで活動を展開しています。
写真:大巻伸嗣「Memorial Rebirth 千住 2016 青葉」 撮影:高田洋三


■文化でつくる、企業ブランド
(リンク ») の構成要素の一つでもある企業でも、芸術文化を通じて地域に関わることで新しい価値観を創出できるのではと思っています。企業のメセナ活動の一環として、文化的発信を通じて地域と関わることで、企業側・地域側それぞれに多くのメリットが生まれるはずです。地域への貢献が認められたり、愛着を生み出したりすることが、企業ブランドにもなっていく。国際的に活動する企業であるほど、企業ブランド=地域ブランドは大事になってきます。芸術文化は地域を表現する一つの方法です。
写真:「Shibuya StreetDance Week 2016」の様子


■クリエイティブを通して、街の歴史や魅力を見つめなおす
(リンク ») イベントをきっかけに地域のコミュニティが見えるようになった、商店街の魅力を再発見したという参加者の声もたくさん寄せられています。これからも街にアートの種をまくことで、自然と人が集まるような場所を育てていきたいと考えています。例えば、江戸時代から水運のまちとして栄えた歴史ある地域である清澄白河。現在はリノベーションしたギャラリーが多く集まるこの街で、「MOT(モット)サテライト 2017秋 むすぶ風景」を開催しました。休館中の東京都現代美術館が近隣の住民の協力を得て実現したこの企画では、街の歴史的変化の軌跡をたどることをテーマに、工場や店舗跡地、営業中のカフェや和菓子店などでインスタレーションを展開しました。その街で育まれた芸術文化が、街のイメージになっていくと思っています。 
写真:「MOTサテライト 2017秋 むすぶ風景」の様子

(以上、アーツカウンシル東京機構長 三好勝則)


【そのアイデアで世界中を虜に。東京2020大会を彩る芸術文化企画を募集!】

■「Tokyo Tokyo FESTIVAL 企画公募」
(リンク ») に向けて着々と準備が進められている「Tokyo Tokyo FESTIVAL」。目玉となる文化事業の一つとして、斬新で独創的な企画や、多くの人々が参加できる企画を幅広く募ります。アーティストとして活動する人だけではなく、一般の方も東京オリンピック・パラリンピックに参加するチャンスです。

応募期間:平成30年2月1日(木)から同月28日(水)まで
(特設サイト: (リンク ») )
 
■「東京文化プログラム助成」
東京2020 大会の開催気運を高め、東京の文化プログラムを多くの人々に知ってもらう活動を”助成”という形で支援します。


市民創造文化活動支援:都民による文化活動全般が対象。2017年2月に第一期、6月に第二期の公募を開始し、計12件の採択を決定。
気運醸成プロジェクト支援:民間団体や企業等が実施する波及効果やインパクトのあるプロジェクトが対象。2017年2月に公募を開始し、9件の採択を決定。
海外発文化プロジェクト支援:海外からのアーティスト等の新しい作品発表が対象。2017年8月に公募を開始し、11件の採択を決定。約60名の海外アーティストを支援する。
未来提案型プロジェクト支援:アートとテクノロジーをつなぐ、未来に向けたインパクトのある事業が対象。2017年8月に公募開始し、12件の採択を決定。

【2020年に開催予定の大規模な文化フェスティバル】


■「Tokyo Tokyo FESTIVAL」
東京都が推進するのは、国内外から注目の集まる2020年4月からの半年間に実施する“東京文化プログラム”を「Tokyo Tokyo FESTIVAL」と銘打ち、集大成となる文化イベントを展開予定。また、2020年に向けた期間は「Road to Tokyo Tokyo FESTIVAL」として、ショーアップされたイベントを東京2020大会までに定期的に開催していく予定。

 
■「東京 2020 Nipponフェスティバル」
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、2020年4月から「東京 2020 Nipponフェスティバル」の開催を発表。大会の機運醸成のために、全国各地で文化プログラムを開催するとしています。

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