アストラゼネカ初の呼吸器領域の生物学的製剤「ファセンラ(R) 皮下注30mgシリンジ」が日本国内における製造販売承認を取得

アストラゼネカ株式会社

From: Digital PR Platform

2018-01-19 16:07


アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム、以下、アストラゼネカ)は本日、「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」を効能・効果とした「ファセンラ®皮下注30mgシリンジ」(一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え)、以下「ファセンラ」)の国内における製造販売承認を取得しましたことをお知らせいたします。

ファセンラは、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤で、体の免疫システムを担う白血球の一種である好酸球の表面に発現するインターロイキン-5受容体αに直接結合し※1、増強された抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)によってナチュラルキラー細胞等を誘導することで※2、アポトーシス(プログラム細胞死)を引き起こし、好酸球を直接的かつ速やかに、ほぼ完全に除去します※3,4,5。この作用機序により、血中だけでなく喀痰中や気道組織中に潜在する好酸球まで除去されます※6,7,8。重症喘息患者さんの約50%で好酸球値が高い傾向がありますが、好酸球レベルが上昇すると気道炎症や気道過敏性を引き起こし、その結果、喘息増悪や呼吸機能の低下を起こし、喘息増悪リスクが上昇、喘息を重症化します※9,10。

既存の喘息治療では症状コントロールができない重症喘息の患者さんは、頻回の喘息増悪や呼吸機能の低下により、高い喘息死リスクと、生活の質(QOL)の著しい低下など、身体的・経済的な負担を強いられます。そのため、2017年10月に日本アレルギー学会からファセンラの早期承認を求める要望書が提出されていました。このような状況においてアストラゼネカは、重症喘息患者さんが一刻も早く本剤の治療が開始できるよう、厚生労働省の定める保険外併用療養費制度のもとで、薬価収載までの期間、本剤の倫理的無償提供を実施します。本剤の倫理的無償提供の対象施設は、本剤開発治験を実施した施設のうち、承認された効能・効果および用法・用量に従ってのみ使用すること、かつ、倫理的無償提供期間中に弊社が実施する適正使用推進のための活動に協力することに同意された施設に限定します。この倫理的無償提供は、各施設の受入れ準備が整った時点から開始し、薬価収載前日に終了いたします。

今回の承認は、ファセンラの投与による年間喘息増悪率の変化を評価した主要第III相国際試験SIROCCO試験およびCALIMA試験、CALIMA試験の日本人集団のサブ解析、および経口ステロイド薬(OCS)の減量を評価した第III相国際試験ZONDA試験を含むWINDWARDプログラムなどの試験結果に基づくものです。

ファセンラは、固定用量があらかじめ充填されたプレフィルドシリンジの注射剤で、初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射します。

日本におけるファセンラの承認取得は、2017年11月14日の米国食品医薬品局(FDA)による承認、および2018年1月10日の欧州委員会(EC)による販売承認の取得に続くものです。ファセンラは、世界の他の国では当局の審査中です。

ファセンラ®皮下注30mgシリンジの製品概要
(リンク »)

以上

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ファセンラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え))について
ファセンラは、ナチュラルキラー細胞を誘導することで、好酸球を直接的に、速やかに、かつほぼ完全に除去するモノクローナル抗体です※5,11。早期第I/II相試験により、好酸球が24時間以内に速やかに除去されることが確認されています※5,6,11。好酸球は喘息患者さんの約50%において生物学的エフェクター細胞となり、頻回の増悪、呼吸機能の低下や、喘息症状の悪化を引き起こします※9,10。ファセンラは、針刺し防止機能付きプレフィルドシリンジの注射剤で、1回30mgを初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射します。
ファセンラは現在、米国、EU、日本において承認され、その他数カ国で承認申請中です。
ファセンラは、アストラゼネカの呼吸器疾患領域において、呼吸器疾患の根本原因を究明する新薬となり得る生物学的製剤ポートフォリオの基盤として、現在、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬としても開発が進んでおり、2018年後半には結果が得られる予定です。
ファセンラは、協和発酵キリンの完全出資子会社であるBioWa社から導入され、アストラゼネカのグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンと協和発酵キリンにより開発されました。アストラゼネカは日本・アジア諸国における喘息・COPDの販売権と、日本・アジア諸国以外の世界市場におけるすべての開発販売権を所有しています。

WINDWARDプログラムについて
喘息に関するWINDWARDプログラムはSIROCCO試験、CALIMA試験、ZONDA試験、BISE試験、BORA試験およびGREGALE試験を含む6つの第III相臨床試験により構成されています。2つの主要試験SIROCCO試験およびCALIMA試験は、喘息増悪の発現傾向にある12歳以上の患者さんを対象に、最長56週にわたってファセンラの治療(固定用量30mgの標準皮下投与)の有効性および安全性を評価する、無作為化二重盲検対照群間プラセボ対照試験です※3,4。
SIROCCO試験およびCALIMA試験は、重症喘息の標準治療(高用量の吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬 [ICS/LABA] を含む)を受けている患者さん計2,510例(SIROCCO試験1,204例、CALIMA試験1,306例)が、ファセンラ 30mgを4週間ごとに投薬する群と、ファセンラ 30mgを最初の3回は4週間ごと、その後8週間ごとに投薬する群、もしくはプラセボ群に、世界中から無作為に割り付けられました。ファセンラはプレフィルドシリンジによる皮下注射で投与されました ※3,4,12。
SIROCCO試験およびCALIMA試験では、標準的な治療にファセンラを追加したコントロール不良の好酸球性の重症喘息患者さんは、プラセボを追加した患者さんと比べて、喘息増悪頻度が大幅に低下し、呼吸機能および喘息症状が改善しました。なお、ファセンラ投与患者さんにおける発生頻度の高い副作用は頭痛と咽頭炎で、その他、発熱、過敏症反応、注射部位反応がありました※3,4。
SIROCCO試験およびCALIMA試験の併合事後分析では、ベースライン血中好酸球数、頻回増悪の回数、経口ステロイド薬の常用および鼻ポリープの有無などの簡単に判別できる好酸球性重症喘息の臨床特徴と、ファセンラの有効性との関係性が明らかになりました※12。
薬事承認申請を目的とする3番目の試験であるZONDA試験は、コントロール不良で経口ステロイド薬依存傾向がある好酸球性重症喘息患者さんにおいて、ファセンラ投与群はプラセボ群との比較で、維持療法としての経口ステロイド薬投与量が、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある減量ができることを示しました。本結果はthe New England Journal of Medicineの2017年5月号に掲載されました※7。
WINDWARDプログラムに加え、重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者さんにおけるファセンラの有効性および安全性を評価する第III相VOYAGERプログラムも現在進行中です。

重症喘息について
日本では約800万人※13が喘息に罹患していると推定されています。欧州呼吸器学会(ERS)と米国胸部疾患学会(ATS)の重症喘息に関するガイドラインによると、重症喘息は、高用量吸入ステロイド薬に加えて、その他の長期管理薬(および/または全身性ステロイド薬)による治療を要する喘息、あるいはこうした治療にもかかわらず「コントロール不良」である喘息と定義され、喘息患者さん全体の5~10%※14,15にあたるとされています。
コントロール不良の重症喘息は死に至ることもある過酷な疾患で、患者さんは頻回な症状増悪や、呼吸機能の低下という身体的な負担のほか、生活の質(QOL)の著しい制限など社会経済的な負担を余儀なくされます。
重症喘息の治療には、患者さんの背景や臨床的特徴から、好酸球性、好中球性、アレルギー性、慢性気流閉塞、増悪の繰り返し、ステロイド薬に対する非感受性というフェノタイプ(表現型)が治療選択に応用されています。
重症喘息の治療は経口ステロイド依存を引き起こす可能性があり、全身性ステロイドの投与によって、体重増加、糖尿病、骨粗鬆症、緑内障、不安感、うつ、循環器疾患および免疫抑制を含む重篤な副作用を短期間または長期間起こすことがあります※16,17,18,19,20。

アストラゼネカにおける呼吸器疾患について
呼吸器疾患はアストラゼネカの注力疾患領域のひとつで、製品ポートフォリオは年々成長し、2017年には世界中の1,800万人以上の患者さんに当社製品をお届けしました。アストラゼネカは、吸入配合剤を中心に、特定の疾患治療のアンメットニーズに応える生物学的製剤や、疾患原因を解明する革新的なサイエンスを通じて、喘息およびCOPD治療を向上させることを目指しています。
アストラゼネカは、呼吸器領域における40年の歴史をさらに発展させており、当社の吸入器技術はドライパウダー吸入器(DPI)、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)、ならびにAerosphere Delivery Technologyなどに及びます。また、当社の生物学的製剤には、現在米国、EU、日本で承認を取得し他国では薬事承認審査中のファセンラ(抗好酸球、抗IL-5受容体ɑ抗体)、および第IIb相試験の主要評価項目と副次評価項目の達成に成功し第III相試験を開始した tezepelumab(抗TSLP抗体)が含まれます。アストラゼネカは、肺上皮組織、肺免疫および肺再生に焦点を当てた、基礎疾患のドライバーを解明する研究を行っています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、呼吸器疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、自己免疫疾患、ニューロサイエンスおよび感染症の領域における一部の疾患に関する活動も行っています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については (リンク ») または、ツイッター @AstraZeneca(英語のみ)をご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・代謝/消化器疾患、呼吸器疾患を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社については (リンク ») をご覧ください。

※1 Mukherjee M, Sehmi R, Nair P. Anti-IL5 therapy for asthma and beyond. World Allergy Organ J. 2014;7:32.
※2 Molfino NA. et al.: Clin Exp Allergy. 42: 712−737, 2011
※3 FitzGerald MJ, Bleecker E, Parameswaran N, et al. Benralizumab, an anti-interleukin-5 receptor α monoclonal antibody, as add-on treatment for patients with severe, uncontrolled, eosinophilic asthma (CALIMA): a randomised, double-blind, placebo-controlled phase 3 trial. Lancet. 2016. Volume 388, Issue 10056, 2128 – 2141.
※4 Bleecker ER, Fitzgerald MJ, Chanez P, et al. Efficacy and safety of benralizumab for patients with severe asthma uncontrolled with high-dosage inhaled corticosteroids and long-acting β2-agonists (SIROCCO): a randomised, multicentre, placebo-controlled phase 3 trial. Lancet. 2016. Volume 388, Issue 10056, 2115 – 2127.
※5 Kolbeck R, Kozhich A, Koike M, et al. MEDI-563, a humanized anti–IL-5 receptor a mAb with enhanced antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity function. J Allergy Clin Immunol. 2010 Jun;125(6):1344-1353.e2.
※6 Laviolette M, Gossage DL, Gauvreau G, et al. Effects of benralizumab on airway eosinophils in asthmatic patients with sputum eosinophilia. J Allergy Clin Immunol. 2013 Nov; 132(5): 1086 - 1096.e5.
※7 Nair P, Wenzel S, Rabe KF, Bourdin A, Lugogo NL, et al. Oral glucocorticoid-sparing effect of benralizumab in severe asthma. N Engl J Med. 2017; 376:2448-58.
※8 アストラゼネカ部式会社提供社内資料:日本人における単回投与時の薬物動態(4563-002試験)
※9 Wenzel S. Severe asthma in adults. Am J Respir Crit Care Med. 2005;172:149-160.
※10 Zhang, JY and Wenzel, SE. Tissue and BAL based biomarkers in asthma. Immunol Allergy Clin North Am. 2007; 27: 623–632 (vi.).
※11 Pham TH, Damera G, Newbold P, Ranade K. Reductions in eosinophil biomarkers by benralizumab in patients with asthma. Respir Med. 2016; 111:21-29.
※12 FitzGerald JM, Bleecker ER, Menzies-Gow A, Zangrilli JG, Hirsch I, Metcalfe P, Newbold P, Goldman M. Predictors of enhanced response with benralizumab for patients with severe asthma: pooled analysis of the SIROCCO and CALIMA studies. Lancet Respir Med. 2017 Sep 11.
※13 厚生科学審議会 疾病対策部会 リウマチ・アレルギー対策委員会 報告書, 2011
※14 一般社団法人日本アレルギー学会 喘息ガイドライン専門部会 監修:喘息予防・管理ガイドライン 2015
※15 一ノ瀬正和監修: 重症喘息-定義、評価、治療に関するERS/ATSガイドライン日本語版-, 2014
※16 Global Initiative for Asthma (GINA). Online appendix. Global strategy for asthma management and prevention. Updated 2017. Available from: (リンク ») Last accessed November 2017
※17 Hyland ME, Whalley B, Jones RC, Masoli M. A qualitative study of the impact of severe asthma and its treatment showing that treatment burden is neglected in existing asthma assessment scales. Qual Life Res. 2015 Mar;24(3):631-9. doi: 10.1007/s11136-014-0801-x. Epub 2014 Sep 9.
※18 Global Initiative for Asthma (GINA). Online appendix. Global strategy for asthma management and prevention. Updated 2017. Available from: (リンク ») Last accessed December 2017.
※19 Iribarren C, Tolstykh IV, Miller MK, et al. Adult asthma and risk of coronary heart disease, cerebrovascular disease, and heart failure: a prospective study of 2 matched cohorts. Am J Epidemiol. 2012;176:1014-1024.
※20 Zazzali JL, Broder MS, Omachi TA, Chang E, Sun GH, Raimundo K. Risk of corticosteroid-related adverse events in asthma patients with high oral corticosteroid use. Allergy Asthma Proc. 2015 Jul-Aug;36(4):268-74. doi: 10.2500/aap.2015.36.3863.
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