米国環境NGO RAN声明:ゴールドマン・サックス、米大手銀行で最も厳しい化石燃料融資方針を採用〜日本のメガバンクは大きく立ち遅れ〜 (2019/12/17)

レインフォレスト・アクション・ネットワーク

2019-12-17 00:00

ゴールドマン、石炭及び北極圏での石油開発プロジェクトを除外、石炭採掘からの撤退を約束
東京——ゴールドマン・サックスが15日、化石燃料融資に対する新しい規制(注1)を発表したことを受けて、環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、RAN)は、以下の声明を発表しました。同行は米国の大手銀行の中で最も厳しい化石燃料方針を掲げることになり、日本のメガバンクの大きな立ち遅れが顕著になりました。

ゴールドマン・サックスは、世界中の石炭採掘および石炭火力発電所プロジェクトへの直接的な資金提供からの撤退だけでなく、北極圏の石油探査および生産への資金提供からも撤退することを決定しました。この方針では、世界的に有名な「北極圏国立野生生物保護区」の保護についても明確に言及しています。同時に、事業の多角化戦略を持たない石炭採掘企業への資金提供も段階的に終了することを約束しました。

この方針改定によってゴールドマン・サックスは、石油・ガス部門への資金提供について明確に規制を設けた米国最初の大手銀行となります。また、全世界での石炭採掘および石炭火力発電所への直接的な資金提供から撤退した、米国最初の大手銀行ともなります。他の米国銀行の石炭融資規制には、一部の地域には適用しない抜け穴があり、これは重要な前進です。また、ゴールドマンの石炭採掘に関する方針は他の米国銀行とは異なり、1)引受業務の撤退を含み、2)削減ではなく、段階的な撤退を明確に約束しています。

対照的に、日本のメガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は、石炭部門および北極圏の石油・ガスに大きなエクスポージャーを抱え、リスクに対処するための方針が不十分です。3メガバンクの内、MUFGが石炭採掘と石炭火力発電所に関して最も厳しい方針(注2)を採用し、環境破壊を伴う山頂除去採掘方式で行う炭鉱採掘事業、新規の石炭火力発電所事業への資金提供は原則的に行わないとしています。しかし、受入国の状況や技術の使用に応じて新規の石炭火力発電を認める例外規定が設けられています(注3)。石炭開発を即時中止するべきだとするグテーレス国連事務総長らの呼びかけ (注4)にもかかわらず、ベトナムで計画されているブンアン2石炭火力発電所 (注5)への3メガバンクによる資金提供は、石炭への資金提供を段階的に終了するという約束についての責任欠如が明白です。

また、3メガバンクは北極圏の石油・ガス開発事業への資金提供で世界の上位7銀行 (注6)に入り、SMBCはゴールドマン、ドイツ銀行に次いで世界3位です。しかし、これらのメガバンクはいずれも北極圏—— 北極野生生物国家保護区を含むーーの石油探査と石油生産への資金提供を禁止する明確な約束をしておらず、直接的な資金提供を中止した17の国際的な銀行(注7)とは対照的です。北極野生生物国家保護区にはホッキョクグマ、ジャコウウシ、200種以上の鳥が生息し、何千年にもわたってアラスカ及びカナダ北部で暮らすグウィッチン族の生活を支えてきたポーキュパイン・カリブーの繁殖地でもあります。この地域は野生生物の重要なシンボルでもあります。


レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
責任ある金融シニア・キャンペーナー ハナ・ハイネケンのコメント

「ゴールドマン・サックスが石炭関連事業への資金提供について例外なく厳格に禁止したことは、抜け穴のあるメガバンクの方針とは対照的です。メガバンクの現在の方針は世界標準とは明らかに一致していません。

ゴールドマン・サックスは、北極圏での石油探査と石油生産への直接的な資金提供を中止することにより、石油・ガス部門における米国の大手銀行として最初の『立入り禁止区域』を確立しました。ゴールドマンの新しい方針は、米国の銀行が石油とガス事業に一線を引けるということを示しました。次は他の大手銀行、特にメガバンクがそれに続くべきです。

保護区を冒とくする石油産業の事業への資金提供の禁止は、『グウィッチン族運営委員会』による決定的なアドボカシー活動など、先住民族主導の粘り強い抵抗の成果です。トランプ政権が北極圏保護区での掘削の入札を準備している今、3メガバンクはゴールドマンが踏み出した一歩に続いて、神聖な北極圏の保護区を守るために明確な約束を行うべきです。

ゴールドマンはメガバンクへの主要な投資家として、銀行の化石燃料および森林リスク産品セクターのより厳しい方針を提唱するのに適した立場にあります。メガバンクには、ゴールドマンの方針改定をチャンスとして生かすことを希望します」

*この方針に関する詳細の分析は、RANとシエラ・クラブの報道向け資料もご覧ください(英語)
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注1)Goldman Sachs Environmental Policy Framework
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注2)MUFG方針/ガイドライン
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注3)NGO共同声明「三菱UFJが新規石炭火力発電への融資を行わないと約束、環境NGOは更なる方針強化を要請」 (2019年5月16日)
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注4)国際連合広報センター「国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)開会式におけるアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶」(マドリード、2019年12月2日)
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注5)No Coal Japan「国内外環境NGO8団体、邦銀4行にベトナムのブンアン2石炭火力発電事業の融資拒否を求める要請書を提出」(2019年11月1日)
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注6)RANら「化石燃料ファイナンス成績表2019」(2019年4月)
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注7)バンクトラック、"Banks that ended direct finance for Arctic oil and/or gas projects", 2019年8月更新
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