東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、三菱商事は、米国テキサス州・ルイジアナ州における合成メタン(e-methane)の製造、キャメロンLNG基地およびLNG船・受入基地等の既存LNGサプライチェーンを活用した合成メタンの液化・輸送、ならびに2030年の日本への合成メタン導入開始に向けた共同での詳細検討実施に合意し、このたび、検討に着手しました。2030年に13万トン/年*の合成メタンを製造し、日本へ輸出することを目指します。
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」実現には、熱需要に対応するガス体エネルギーの脱炭素化が重要です。こうした中、既存の都市ガスインフラや消費機器が活用でき、スムーズなカーボンニュートラル化への移行と追加的な社会コストの抑制が両立可能な合成メタンの導入が期待されています。合成メタンの活用拡大に向けて、2021年6月に設立されたメタネーション推進官民協議会において議論が進められており、4社はともに参画しています。
合成メタンの普及には、国内外双方で取り組みを推進することが有効であり、特に安価な再生可能エネルギー(以下「再エネ」)電力などを活用した競争力の高い合成メタンが製造できる海外でのサプライチェーンの構築が重要です。これまで、各社は海外からの合成メタン導入に向け、それぞれ様々なエリアで適地評価や事業可能性調査を行っています。今回、原料を安定的に調達するための既存インフラが揃い、早期のサプライチェーン確立を図れるという点で、現時点で米国キャメロンLNG基地近傍を4社共同で取り組む最有望地域として選定しました。今後の合成メタン導入の拡大やエネルギーセキュリティ向上に向けて、引き続き、他地域・案件における適地選定や事業可能性検討を継続して続けていきます。
世界初となる合成メタンの製造規模と国際的なサプライチェーン確立を目指し、今後も4社一丸となって実現に向けた取り組みを本格化、加速化してまいります。
*:2030年輸出開始時点での合成メタン製造規模の目標として掲げたものです。東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの都市ガス需要合計(足元の実績値)の1%に相当します。
<本詳細検討のサプライチェーンイメージ>
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<本詳細検討の候補地>
本詳細検討で合成メタン製造の候補地としているテキサス州およびルイジアナ州は、現在から将来にわたり豊富な再エネ電力の調達が期待できることに加え、三菱商事が事業参画するキャメロンLNG基地があり、天然ガスパイプライン網等の既存LNGサプライチェーンの活用が可能です。さらには、既存の二酸化炭素(以下「CO2」)や水素のパイプラインが活用できる可能性もあります。
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<今後のスケジュール>
4社は今後、本詳細検討の候補地において、再エネ・水・水素・CO2といった原料調達、合成メタン製造プラントの土地確保等に関する現地調査に着手し、現地の関係機関・事業者と協議を進めていきます。また、現地調査や制度面の協議結果を踏まえ、2023年度末に事業コンセプトを決定する予定です。その後、2024年の基本設計(FEED)、2025年の投資意思決定、2029年の合成メタンの生産開始、2030年の日本への輸出開始を目指します。
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加えて、海外で製造した合成メタンの導入・普及にあたっては、日本と生産国の間で天然ガスと区別するための原産地証明や、合成メタン利用時のCO2排出カウントの整理、合成メタンの製造・利活用に資する投資予見性の確保が重要となります。本詳細検討では、スケジュールに沿ってこれらの制度・環境作りを進展させるべく、米国・日本のステークホルダーとの協議も合わせて行っていく予定です。
4社は、本取り組みを通じて合成メタンの導入・普及を更に推進し、日本のエネルギーの安定供給の再構築と「2050年カーボンニュートラル」実現に貢献してまいります。
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