調査の結果より、地方出身者でからかわれたことのある人のうち、53%が「話題になって嬉しい」と回答。からかった経験のある首都圏出身者に、からかった理由を尋ねたところ86%が「話が盛り上がるきっかけ」と答えました。コミュニケーションの一環として地方いじりが受け入れられていることがうかがえます。他方で、からかわれたことがある人のうち、9%が「いい気持ちではない」と回答していました。専門家からはこの認識のギャップについて、「いじめの構造に似ている」という指摘が出ています。
アンケート結果の概要
調査は、2022年9月17日から10月11日にかけて、都内の大学に通う学生を対象に行われました。一都三県の高校出身者を「首都圏出身者」、それ以外の高校出身者を「地方出身者」とし、それぞれにアンケートを実施しました。首都圏出身者から164件、地方出身者から112件、合計で276件の回答が集まりました。アンケートは都内大学の部活・サークル、県人寮、友人・知人らを通じて実施しました。
【地方出身者アンケート】
地方出身を「からかわれたことがある」と答えた人が、112人中47人と42%を占めました。さらに、からかわれた人のうち53%が「話題になって嬉しい」と答えた一方で、34%が「何も感じていない」、9%が「いい気持ちではない」と回答しました。いい気持ちをもっていない人が一定数いることが明らかになりました。(下グラフ)
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【首都圏出身者アンケート】
地方出身者を「からかったことがある」と回答した人は26%に留まりました。地方出身者をからかった理由については、「話が盛り上がるきっかけ」と回答した人が86%、「コミュニケーションの一環」と回答した人も74%に上りました。からかわれたことのある10人に1人程度の地方出身者が「いい気持ちではない」と感じる一方で、首都圏出身者が場を盛り上げるために地方出身者をいじっている構図があることが推察されます。(下グラフ)
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からかわれたことのある地方出身者の声
「英語のオンライン授業中、アクセントが酷すぎて講師に留学生と勘違いされた」(慶大男子学生、青森)、「西武新宿線が止まって寮に帰れず、どうすればいいか友達に聞いたら『振替輸送も知らないの? 中央線で帰ればいいじゃん(笑)』と小馬鹿にされ、その場では笑って流したが、ショックだった」(法政大男子学生、青森)
からかったことのある首都圏出身者の声
「マルイ(OIOI)を『おいおい』と読んでいて、後から気まずくなるのを避けるためにユーモアを込めてからかった」(日大男子学生、東京)、「群馬県に行くにはパスポートが必要かとからかった」(慶大男子学生、東京)、「災害の備えについて、福岡出身の友人に『明太子を備蓄してるか』を聞いた」(慶大男子学生、東京)
専門家の分析
社会言語学に詳しい慶應義塾大の佐野真一郎教授は今回の結果について、下記のように分析しています。
「なぜ方言はいじられやすいか。キーワードは『真新しさ』。人々の移動・交流が増え、メディアが発達して方言に触れるチャンスが増えてきた。そんな中、あまり目立たない標準語と真新しい、新鮮な空気をまとった方言という図式ができた。その背景の中、方言はいじられやすくなったり、ネタにされやすくなったと見ています」
「データを見ると、『からかうつもりはない』、『悪気はない』という首都圏出身者の思いと、『からかわれて、嫌だ』と思っている地方出身者の意識のギャップが見て取れる。これはいじめの構造に似たものがあり、注意が必要です」
「関西芸人の人気などもあり、近年は『方言は使っていい』、さらには『かっこいい』、『かわいい』など肯定的な認識が増えた。地方移住の人気もあり、地方の地位も変わってくる。文化的にも多様性があることが望ましいでしょう」
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