「やる気」は5段式ロケットで打ち上がる?--モチベーション理論を勉強してみる - (page 4)

梅田正隆(ロビンソン)

2009-10-01 18:28

「期待」できれば「やる気」も起きる

 また、応用範囲が広い理論としては、Victor Vroomの「期待理論(Expectancy Theory)」がある。人は行動する前に、少なからず行動した結果について考えるものだ。期待理論では、努力に対する相応の結果への期待(Expectancy)と、その人にとっての結果の魅力(誘意性:Valence)の積が、モチベーションの強さを示す関数であると提案した。

 ある行動を起こすことの誘意性とは、行動すること自体の魅力の程度と、その行動が期待する結果を得るのに役立つ程度 (道具性:Instrumentality) の積であり、魅力あるものが複数あれば、積の和で表現できる。そして、その行動を生起しようとする力は、その行動の誘意性と、その行動への期待の積和で表現できるとした。

期待理論の定式 期待理論の定式。難しく表現されているが、要は「人がある行動を起こすためのモチベーションは、その行動の結果への期待と魅力、行動自体の魅力、その行動が期待する結果に結びつく度合いが大きいと認知されるほど大きくなる」ということ

 Vroomの期待理論におけるモチベーションの大きさは、「期待」の大きさによって大きく左右されるが、後の研究者の手によって「期待」を2つの要因に分解するなどして、精緻化されている。

 このような数多くの理論を背景にして、例えば目標を明確にして動機をづけする「ゴールセッティング」や、客観的評価で動機づけをする「フィードバック」、重要度の基準を明確にする「クライテリア」など、モチベーションを高めるための様々な手法が考案され、実践されているのである。

 以上、今回は代表的なモチベーション理論について大まかに見てきた。次回は、情報や知識を「人」と「組織」という視点でいかに活用していくかを考える「ナレッジマネジメント」について学んでみよう。

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