IBMによれば、このクラウドは地元の漁業向けの革新的なアプリケーションの開発を可能にしただけでなく、地元のワイン醸造産業、物流企業、またバリ大学自体のためのアプリケーションの開発にも使われている。
同大学における取り組みにIBMが参加するのは最近のことではないが(同社は2010年からバリ大学の取り組みに参加している)、この取り組みからはクラウドサービスの革新的な使い方が見て取れる。この取り組みには3つの特徴がある。
計測機器を備えている:湿度、温度、土壌、交通状況などの情報を、適切な場所に設置されたRFIDデバイスを使った、専用の機器で取得している。
相互接続されている:センサー、市場、GPSのデータを、大学、民間企業、政府の規制官庁にあるメインフレームのシステムと統合している。
知的処理:特定の魚とワイン製品の物流と市場での需要についてのリアルタイム情報を提供する。GPSによる位置情報は、物流企業が経路や配送を修正するのに使われる一方、漁業会社は漁をしている最中に商品のオークションを始めることができる。ワインメーカーは市場での製品需要を知ったり、土壌の同位元素を計測することによって、環境の品質を管理することができる。
この取り組みは、多様なシステム、コンピュータ、その他のデバイスと、多様なアプリケーションの組み合わせであり、クラウドソリューションが実現できる柔軟性について物語っている。
メインフレームがすぐにはなくならない基本的な理由が1つある。多くの企業は、メインフレームをミッションクリティカルなアプリケーションで使用しているということだ。メインフレームには多額の費用がかかるが、同時に必要不可欠な(しかも大規模な)アプリケーションで使われている。こうしたアプリケーションは企業の財務健全性のために重要であり、時には必須となっている。
その移行のビジネスリスクとコストは大きく、これらのシステムを廃止するのにかかる投資を正当化できるだけの利益は得られない。
一方、メインフレームがまだ新しいものだったころに働き始めたベビーブーマーたちが引退し始めているため、これらの怪物を動かし、維持するスキルを持つスタッフを見つけるのは難しくなってきている。しかし今では、仕事を続けるために、一部の企業は新しい世代のメインフレームエンジニアを訓練し始めている。
まだメインフレームの重要性は残っており、当面の間は消え去ることはないだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。