2012年、メインフレームが4年ぶりのプラス成長--x86サーバは集約化で台数減少

田中好伸 (編集部)

2013-03-04 15:51

 IDC Japanは3月4日、2012年通年の国内サーバ市場動向を発表した。2012年の同市場は前年比5.1%減の4453億円、出荷台数は前年比12.0%減の55万台となっている。

 2012年の国内サーバ市場はメインフレームが好調と説明。国内メインフレーム市場は、2008年以来4年ぶりにプラス成長を達成している。特に金融業向けに多数の大型案件あったという。メインフレーム出荷額の50%以上が金融業向けの出荷としている。

 国内x86サーバ市場は、小幅ながら3年連続のプラス成長だが、出荷台数は前年に引き続き小幅な減少になっている。内蔵のメモリやハードディスクの増加で、x86サーバの平均単価が上昇し、出荷台数の減少に対して、出荷額は増加するという結果になっている。

 IDC Japanの都築裕之氏(サーバーリサーチマネージャー)は「2012年の国内サーバ市場は、金融業を中心としたメインフレームの大型更新が集中した。金融業では、実績に証明されたメインフレームの高い信頼性が評価されている。そのため、メインフレーム市場における金融業向けの出荷構成比は年々増加する傾向を示している」と分析している。

 都築氏は「2012年の国内x86サーバ市場では、出荷台数が2年連続で小幅に減少。サーバ仮想化やクラウド導入の拡大で、サーバの集約傾向が表れてきている。2009年の世界的金融危機を契機に、国内のx86サーバの稼働台数は減少に転じており、今後クラウドの採用が広がることで、サーバの集約傾向が強くなると考えられる」とも分析している。

 ベンダー別にみると、富士通が6年連続で首位を獲得している。x86サーバとメインフレームの出荷額は、前年から増加しているが、前年に出荷したRISCサーバ「京」の反動から、2012年の総出荷額は減少している。

 2位はIBM。2010~2011年はプラス成長だったが、2012年はx86サーバとRISCサーバが振るわず、マイナス成長となっている。3位のNECは、前年の4位から順位を上げている。メインフレームとx86サーバが好調という。メインフレームは官公庁や製造業、流通業向けに大型案件があったとしている。x86サーバでは、通信業向けに大型案件があったという。

 4位のヒューレット・パッカード(HP)は前年の3位から順位を下げている。IA64サーバが前年から2桁のマイナス成長。5位の日立製作所は前年から4.3ポイントのシェアを上げている。同社としては、2000年以降で最大のシェアを獲得したという。メインフレームとRISCサーバが前年から大幅増。メインフレームは、金融業向けに多数の大型案件があったと説明。RISCサーバは金融業と官公庁向けに大型案件があったとしている。

 出荷台数では、前年に引き続き富士通が1位を獲得している。「京」の残数と「京」の量産機である「PRIMEHPC FX10」の出荷があった。x86サーバの出荷台数シェアが前年から1.5ポイント上昇したことが貢献しているという。2位はNEC。以下HP、デル、IBMと前年と同じ順位になっている。


国内サーバ市場の推移(出典:IDC Japan)

2012年の国内サーバ市場ベンダーシェア(出荷金額ベース、出典:IDC Japan)

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