IDC Japanは3月7日、2011年通年の国内サーバ市場動向を発表した。2011年の同市場は前年比4.1%増の4691億円、出荷台数は前年比12.5%増の62万台となっている。
2011年の国内サーバ市場は、2001年以降初めて前年を上回る成長率を記録したという。富士通が独立行政法人の理化学研究所に出荷した「京(けい)」が金額と台数の両方で貢献したと説明している。
IDC Japanの林一彦氏(サーバリサーチマネージャー)は「大震災や円高、タイの洪水などのマイナス要因が多くあったが、スパコンの世界記録1位を獲得した京が、サーバ市場の成長に大きく貢献した」と説明する。
だが同氏は「京を除くと、2011年のサーバ市場全体は、金額と台数の両方でマイナス成長だった」とコメント。「x86サーバは、情報サービス向けの出荷が好調で、出荷金額は前年比1.0%増となっている。携帯電話やスマートフォンの普及に伴い、ネット関連業種のサーバ投資が目立っている」と説明している。
IDC Japanでは、x86サーバをx86アーキテクチャのプロセッサを採用し、WindowsやLinuxなどオープン系OSを搭載したサーバと定義している。Itaniumプロセッサを搭載したサーバやベンダー独自のOSを搭載したサーバはx86サーバに含めていない。
RISC&IA64サーバは、Itaniumプロセッサを採用したオープン系OSを搭載するIA64サーバと、RISCプロセッサを採用してUNIXを搭載したRISCサーバを含めている。ビジネスサーバはオフコンなどを指しており、メインフレーム以外のプロプライエタリ系サーバとしている。
2011年の国内サーバ市場をベンダー別に見ると、富士通が5年連続で首位を獲得している。富士通はRISCサーバとビジネスサーバが好調だったという。ビジネスサーバは、2001年以降マイナス成長が続いていたが、2011年はプラス成長という。新製品による更新需要があったためと分析している。
2位はIBM。IBMは前年に続いて2年連続のプラス成長。x86サーバとRISCサーバの出荷金額がプラス成長となっている。x86サーバは情報サービス業向けに多数の大口案件があったとみられ、RISCサーバは金融業向けに大型機の出荷が好調としている。
3位のHPも2年連続のプラス成長となり、x86サーバとビジネスサーバの出荷金額がプラス成長となっている。x86サーバでは、情報サービス業向けが好調としている。4位のNECは3年連続のマイナス成長。x86サーバとメインフレームの出荷が振るわなかったと分析している。前年からはHPとNECの順位が入れ替わっている。
5位の日立製作所は2年連続のプラス成長で、x86サーバとRISCサーバが好調という。x86サーバは金融や運輸、サービス業向けの出荷が好調となり、RISCサーバは官公庁や大学向けにハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)専用機の出荷が貢献しているという。
出荷台数では、富士通が1位を獲得している。2011年に7万8000ノードを出荷した「京」が貢献している。2位は前年1位のNEC。以下HP、デル、IBMが続く。