メインフレームを外部委託(アウトソーシング)する企業の71%が潜在的コストに悩まされている――。Compuwareの調査で明らかになっている。豪州、ベネルクス、仏、独、伊、日本、英、米の大企業の最高情報責任者(CIO)の520人を対象に調査している。
メインフレームのアプリケーションの開発と保守、インフラ整備をアウトソーシングする主な理由は、コスト削減を狙ったものだ。だが、調査結果を見ると、全体の71%がアウトソーシングに伴う潜在的コストに悩まされているという。
この潜在的なコストは、1秒間に実行できる百万個単位の命令数である「MIPS値」の増加、アプリケーションの品質や性能の低下で必要となるテストやトラブルシューティングの費用として発生することになる。
メインフレームで最も出費が必要となるのがMIPS値と言われている。Compuwareの調査では、メインフレームは以前より頻繁に使用されており、MIPS値も増加傾向にある。MIPS関連コストは対前年比で平均21%増加しており、回答企業の40%がMIPS値の増加をくい止められずにいる。CPUの消費量に応じた料金体制を採用している回答者の88%、全体で42%が、アウトソーシング先はCPU関連コストをより適切に管理できているはずと考えている。
回答者の57%は、アウトソーシング先は開発するアプリケーションの効率性を考慮していないと思っており、68%がモバイルバンキングなどモバイルアプリの使用増加で、MIPS値が上昇しているために、追加コストが発生していると認識している。Compuwareでは、非効率的なコードでもMIPS値は増加し、不要なコストを発生させる原因と説明している。
アプリケーションの品質に注目すると、54%の企業がアウトソーシング先が納品したアプリケーションの品質に不満があるため、性能テストやトラブルシューティングに追加投資している。またアプリケーションの品質が低いことから、51%が社内のQ&Aチームへの投資増加も余儀なくされているという。
また47%が、アウトソーシング先が納品したアプリケーションのコードでのエラーやバグの発生率は社内開発に比べて高いと回答。納品されたアプリケーションでのバグや性能上の問題を解決するために平均10日が必要となっている。納品されたアプリケーションやサービスの品質について、67%が必ずしも満足していないという。
メインフレーム環境は複雑さを増している。そのため、稼働しているアプリケーションに変更を加える必要がある。現行のメインフレームのアプリケーションと新しいサービスを統合する要求も高まっている。
だが、社内でのレガシースキルの蓄積や文書化が不足しているために、アウトソーシング先に頼らざるを得ず、結果として品質の低下を招く事態に陥っていると説明している。具体的には、知識移転の難しさがアウトソーシングしたプロジェクトの品質低下を指摘しているのは80%となっている。
68%は社内チームにメインフレームのアプリケーションを維持するだけの知識の蓄積がないと答え、41%は社内での専門知識の欠如がアウトソーシングの主な動機としている。65%は、アウトソーシング先でのスタッフの入れ替わりが、納品されるアプリケーションの品質や作業時間に悪い影響を与えていると指摘している。