アナリストの視点

キラーコンテンツはバイタルデータ、2016年に1億台--スマートウォッチの未来 - (page 2)

賀川 勝(矢野経済研究所)

2014-01-07 07:30

スマートウォッチが抱える課題

 スマートウォッチには、ウェアラブルデバイスの本命の1つとして大きな期待が寄せられているものの、現状では多くの問題を抱えている。

 ビジネスモデル上の問題点として、既存のウォッチ(腕時計)やスマートフォンとの差別化が挙げられる。ウォッチと言っても下は数百円のものから、上は数千万円するものまで、千差万別である。また、スイスのSwatchに代表されるように、デザイン性と低価格を両立し、多品種展開を図るウォッチも存在し、多品種少量生産のプロダクトでもある。

 ウォッチ市場は、コンシューマエレクトロニクス製品とは異質のマーケットであり、スマートウォッチがどのような立ち位置で展開していくのか明確ではない。ウォッチは一度購入すれば、数年から数十年の使用が前提となるものの、スマートウォッチの耐用年数は未知数である。特にバッテリ劣化や耐水、耐衝撃性などの問題が想定され、スマートウォッチの製品寿命はウォッチより数段劣ることが懸念される。


 スマートウォッチと利用シーンで競合する製品として、カシオ計算機、セイコーエプソン、Nikeなどが出しているスポーツフィットネス関連製品や、Garminなど登山やトレッキングのカテゴリに属する腕時計型端末、腕輪型端末が挙げられる。これらの市場では今後、スマートフォンとの連携を高めていくことは間違いなく、スマートウォッチ化が進むのは確実である。これらメーカーの製品はウォッチをベースとしながら機能追加を最小限にとどめるているため、スマートウォッチ製品の多くが抱える問題とは無縁であり、ブランドが浸透しているが故に、機能や利用目的が明快である。

 また、スマートフォンは既に身近なコンピュータとしての地位を確立している。スマートフォンは高機能化、低価格化が進むと同時に、さまざまな機能が付加されており、万能な存在となっている。一方、スマートウォッチには、サイズや機能面において大きな制約が存在しており、常に腕に装着していること、スマートフォンと比較して小型・軽量なことがスマートフォンに対する優位性である。

図表2:ウォッチ(腕時計)製品とスマートウォッチの相違点 矢野経済研究所作成
図表2:ウォッチ(腕時計)製品とスマートウォッチの相違点 矢野経済研究所作成

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