ターゲットは未来の取締役会議室
S/4HANAはSAPの創業者であり、会長でもあるHasso Plattner氏によって披露された。同氏はHANAを、データベース応答時間のないエンタープライズソフトウェアを再考する手段だとしてアピールした。同氏は「われわれはこのデータベースをインメモリ型として定義し、またトランザクション処理やアナリティクスのために列指向型(コラムナー)ストアとする必要があった」と述べ、競合企業はHANAの方針に追随しようとしていると指摘した。
SAPの創業者であり、会長でもあるHasso Plattner氏。
Plattner氏は、SAPがHANAの原型となるデータベースの構築に向けて舵を切るよう説得するのは比較的容易だったと述べた。大変だったのは、新たなデータベースアーキテクチャに対応したアプリケーション開発に向けて踏み出すことだったという。
今やSAPはHANAに賭けているため、同社の顧客に対してこれまで何十年も使用してきたデータベースを捨て去るよう説得しなければならない。
簡単に言えば、SAPはS/4HANAによって、未来の取締役会議室におけるデータや観点、アナリティクスの活性化につなげていきたいと考えている。Plattner氏は「これらの人々は今後、一致協力して(会社を運営して)いけるようになる」と語っている。
ただ、ここでSAPは顧客に対して、すべてのスタックをSAPに最適化したものにする必要があると述べていることになる。つまり、ユーザーインターフェースから基盤となるアーキテクチャに至るまでのあらゆるものを変更しなければならないのだ。
Plattner氏は顧客に対して、HANAを基盤とするBusiness Suiteへの移行が「緩やかな遷移」になると約束した。HANAに移行することで顧客は、強化されたトランザクションデータを手にできるが、一定期間は従来のインターフェースやレポート機能も使用できる。そしてSAPはある時点で新たなユーザーインターフェースに切り替えることになる。Plattner氏の言葉を借りると、SAPとその顧客層は「混乱のないリリース」を迎えられるという。
Plattner氏によると、SAPは今回のアップデートで最高のユーザーインターフェースを手にしたことになり、数百の顧客が業界のアプリケーションに磨きをかけるために、同社との共同イノベーションプロジェクトに携わっているという。
S4/HANAのデモは、SAPの取締役会のメンバーであり、開発を率いるBernd Leukert氏が実施した。
このデモでLeukert氏は、中国の子会社が保有する何百万行というデータに対するクエリやドリルダウンにおけるHANAの応答時間を強調していた。
デモを要約するとSAPは、情報を記録するシステムから、インテリジェンスを中心にして展開するシステムへの移行を強調していた。注目に値するのは、アナリティクスが適切な質問を投げかける人物を中心に据えて展開するという点だ。新興企業はこのプロセスを逆に考えており、適切な質問を投げかけることを重視するのは、企業の洞察を得るうえで最善ではないと主張している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。