Googleは潜在的な脆弱性の調査に着手する研究者達に対し、前払いの形で助成金を支給する試験的なプログラム「Vulnerability Research Grant」を開始した。この助成金は、調査が結果的に脆弱性の発見に至らなかった場合にも支給されるのが特徴。
Vulnerability Research Grantは、Googleが2010年に開始した脆弱性の発見に対する報奨金制度「Security Reward Programs」の一環である。同プログラムは開始以来、Googleウェブサイト、Chrome、多種多様なオープンソースプロジェクトの脆弱性を発見した研究者達に報奨金を与えてきた実績があり、その総額は400万ドルに達している。Vulnerability Research Grantの開始に併せ、Vulnerability Reward Programの対象分野も拡大され、Google PlayとiTunes経由で配信されているGoogle製モバイル用アプリケーションも含まれることになった。
今回新たに開始されたVulnerability Research Grantは、脆弱性の調査に時間と労力を投入する研究者達を支援することを目的としている。助成金を申請できるのは、すでに高い実績を上げている研究者と、Googleから招待された専門家。設定されている助成金の最高額は3133ドル70セントで、研究者は脆弱性の調査に着手する前に申請できる。GoogleのセキュリティエンジニアであるEduardo Vela Nava氏によると、助成金を受け取った研究者に義務を課すことは一切ないという。助成金を受け取って着手した調査が、結果として脆弱性の発見に至らずとも、将来の助成金申請に悪影響が発生することはない。また、脆弱性を発見した場合の報奨金も従来どおり支給される。
助成金の対象となる調査分野はあらかじめ指定されており、「Googleが新たに提供を開始したサービスや機能」「特に重要性が高いGoogle製品」「最近修正された脆弱性」が対象となる。また、助成金を受け取った研究者は、脆弱性調査の完了後に任意のアンケートに回答するよう求められる。
Googleによると、2014年にはVulnerability Reward Programに従って、脆弱性を報告した200名の研究者達に対し、総額で150万ドルを超える報奨金が支払われたという。単独で与えられた報奨金の最高額は15万ドルで、獲得したのはChrome OSの脆弱性を発見したGeorge Hotz氏。iPhoneとPlayStationのハッカーとして有名な同氏は、Facebookに入社したが短期間で退職し、ハッカーとしての活動に戻っていた。その後、2014年7月にGoogleの誘いを受け、ゼロデイ脆弱性の撲滅を目指す「Project Zero」チームに加わった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。