調査

台数、金額とも減少傾向が続くPCサーバ--ノークリサーチ調査

NO BUDGET

2017-01-25 07:00

 ノークリサーチは12月28日、2016年度上期(2016年4〜9月)の国内PCサーバの出荷状況調査結果と、2016年度通期の予測を発表した。それによると、2016年度上期出荷台数は前年同期比90.5%の21万2895台、金額ベースでは同93.5%の1407億円と、いずれも減少した。また下期の減少幅は上期より緩やかにはなるとみられるが、2016年度通年では44万5995台との予測で、台数の減少傾向は続く見込み。


国内PCサーバ総出荷台数推移(06年度〜16年度、出荷台数ベース)

 上期はPCサーバ市場を押し上げる目立った要因が少なかったことと、全体的に大型案件も少なかったことが減少の背景となっている。クラウドへの移行や仮想化、集約化の潮流が明確化し、PCサーバの設置台数減少が続いており、ビッグデータ、IoT、AIなどで新たなPCサーバ需要の期待が高まっているものの、まだ市場へ具体的な実績には結びついていない。金額ベースでは、仮想化・集約化でHDD/SSDやメモリを多く搭載したサーバが増え、平均単価が高まっている傾向は続いているため、台数ベースより落ち込みは低かった。

 サーバの形状別では、タワー型が前年同期比92.5%の7万4650台、ラックサーバが同94.6%の12万9745台と、いずれも減少した。そしてブレードサーバは大幅に減少し、前年同期比48.8%の8500台だった。


PCサーバの形状別構成比(出荷台数ベース)

 2016年通期の見通しについても、減少傾向が続く予測となった。PCサーバ市場は仮想化・集約化の動きが続いており、そのための台数減少は続いている。とはいえ、大きく設置台数を減少させる要因だった仮想化・集約化も一巡感が指摘されており、減少が続いてはいるものの徐々にゆるやかなものになってきている。

 クラウドへの移行によるサーバの台数への影響も指摘されているが、従来のオンプレミスのシステムを維持しながらクラウドも採用するなどハイブリッドな活用が増えているため、一定規模のオンプレミス需要は引き続き安定的に存続していることから、サーバの台数がクラウド化で極端に減少するということにはなっていない。また、為替や株式市場などの外的な要因も不透明感は続いているが、ビックデータ、IoT、AI、Fintechなどの新たな潮流などによりサーバの投資機運が高まりつつあることが期待される。

 PCサーバ市場の2016年度全体の見通しのポイントは次の4点。

  • ITサービス業、データセンターなどのサーバの需要は年間を通じて堅調維持
  • 仮想化、集約化によるインフラ整備、増強のための需要は依然として増加傾向
  • 既存の企業のオンプレミスによるPCサーバ需要も安定的に存続する
  • ビッグデータ、IoT、AI、Fintechなどで新たなサーバ需要の拡大機運高まる

2016年度上期PCサーバメーカー別シェア

 2016年上期のメーカー別シェアは上図の通り。上位3社の顔触れは変わらないが、NECが2015年上期の24.4%から25.2%へと0.8ポイント上げてトップの座を取り戻している。同社では2015年度に続き流通大手への大型案件があり、サーバ市場全体での同社のシェアアップの要因となった。一方、昨年1位の富士通は昨年の24.8%から24.5%へと若干のシェア減少となり、トップを明け渡す結果となった。同社は、NEC同様に直販からチャネル販売までフルカバーで対応しているのが強みだが、今上期は各チャネルでの実績が鈍かったという。

 また3位のHPは、シェア18.0%で昨年の19.8%から1.8ポイント後退した。得意の通信ネットワーク系企業での実績が低迷したことが影響し、前年同期比81.9%と大きな減少となっている。これに対し4位のデルは、2015年のシェア10.5%から0.6ポイント伸びて11.1%となった。販売戦略として間接販売に大きく舵取りをしたことで、ディストリビューター経由での展開が実績を上げつつあるとのこと。

 5位の日立製作所はシェア6.5%で、2015年の6.3%から0.2ポイントではあるがわずかながら上昇した。同社が強みとする大企業、官公庁、金融などで案件数は比較的堅調であったとのこと。6位のレノボは、昨年のシェア5.0%から0.5ポイント減少して4.5%となった。ディストリビューター経由での競争が激しくなったことで苦戦しているが、ハイパーコンバージドインフラ系の実績が出始めているという。

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