IDC Japanは1月16日、データセンターやサーバルーム内のICT機器(サーバやストレージ、ネットワーク機器など)や電源装置、空調設備、サーバラックなどの管理ソフトウェア「データセンターインフラストラクチャマネージメント」(DCIM)の市場予測を発表した。2016年の国内DCIM市場の規模は約9億円、2021年は約35億円と予測、2016~2021年の年平均成長率(CAGR)は30.5%と予測している。
DCIMは機器や設備の資産管理、変更管理とともに、消費電力の監視、サーバルームの温度監視などによって、データセンター内の機器や設備の運転状況や稼働状況を一元管理するための機能を備えており、データセンター運用効率改善や電力コスト削減の手段として、2013年ごろから国内で本格的に販売が始まった。
一方、DCIM導入効果の評価が容易ではないこともあり、国内データセンターではまだ導入が進んでいない。DCIMによってデータセンター運用コスト削減効果がどの程度達成できるかは、導入後すぐには明らかにならない。電力コストの削減効果に至っては、春夏秋冬を通じた冷却コストの評価を実施する必要があるため、最短でも導入後1年経過しないと導入効果を客観的に評価できない。
しかし、今後は国内データセンターでもDCIM導入が緩やかに加速するとみる。データセンターサービス市場の競争は激化しており、データセンター事業者におけるデータセンター建設コストの回収が厳しくなっている。
同時にデータセンターにおけるクラウド環境の実装拡大は、より多くの電気設備や冷却設備を要求するため、データセンターの建設コストは上昇する傾向にあるとした。このため事業者データセンターでは、データセンターキャパシティを無駄なく効率的に利用する必要に迫られるようになり、DCIMはそのためのツールとして活用されると、IDCではみている。
ただし、当面のDCIM導入はデータセンター運転状況の可視化を目的としたものが多い傾向が続くとした。DCIMの導入効果を得るには、運用可視化に加え、運用状況データを分析し、その結果を運用プロセスに組み込むことが重要と分析している。
国内データセンターインフラストラクチャマネージメント(DCIM)売上額予測、2016~2021年(IDC)