Amazon Web Services(AWS)は、Microsoft Azureとの戦いが白熱するなか、営業とマーケティングに対する投資を増やしている。ここでの大きな疑問は、これら大手クラウドの成長に大数の法則が適用できるかどうかだ。
AmazonとMicrosoftの決算報告が出そろったことで、クラウド戦争の状況がさらに明らかになってきた。ここでの主張は単純明快だ。AmazonはAWSを社内の独立部門として報告しており、Microsoftの成長は決算報告で詳細に語られているが、コマーシャルクラウドの数字は細分化されていない。
要点は以下の通りだ。
- Azureの2020会計年度第1四半期における売上高は前年同期比59%増だったものの、この数字は前四半期を下回っている。ただ、同社は基本的にどの収益源も好調であるため、アナリストらはまったく懸念していない。
- AWSの2019会計年度第3四半期における売上高は前年同期比35%増だったが、この値はAmazonが決算報告内でAWSの業績を独立したかたちで提示するようになって以来、最低となっている。アナリストらはこの決算自体について問題視していないが、AmazonのEコマース事業については翌日配送への投資が業績に影響している点について懸念を抱いている。好材料に目を向けると、Amazonの広告事業は加速している。つまり、Amazonの「翌日」アプローチは同社にとって安くないということだ。
- Azureの営業担当者らと話をすると、AWSに対するMicrosoftのクラウドに関する立ち位置で自負があることがうかがい知れるはずだ。その一方で、AWSがマインドシェアを(そしてこれまでの統計ではマーケットシェアも)握っている点についてフラストレーションを抱えていることも感じられるはずだ。ちなみにAWSは、営業担当者の増強に力を入れている。
つまり、AzureとAWSの戦いによって、クラウド市場は営業力が鍵になるほど成熟してきたということだ。Microsoftが営業力を強化し、SAPとの共同販売パートナーシップを締結したのは悪い手ではないと言えるだろう。