Flexeraが発表したレポート「RightScale 2019 State of the Cloud」によれば、企業のマルチクラウド化が進んでおり、その半数はパブリッククラウドに100万ドル以上支出している。また、「Microsoft Azure」のワークロードや導入事例が増加しており、2019年も経費の最適化が大きなテーマになっているという。
このレポートは786名のITプロフェッショナルからの回答に基づくもので、回答者の58%を大企業顧客が占めていた。Flexeraの子会社であるRightScaleのほかにも、KentikやDensifyが同様の調査を行っており、それらの調査でも、マルチクラウドの導入が進む中、経費の最適化が重要なテーマになっているという結果が出ている。
クラウド経費の最適化が企業の取り組みの首位になるのはこれで3年連続で、2018年版ではこの項目が回答の58%を占めていたが、2019年版では64%に増加した。ただし、クラウドへの取り組みの成熟度が中間的なクラウドユーザー企業と、先進的なクラウドユーザー企業だけに限れば、この比率はそれぞれ70%と76%に上昇する。
またRightScaleのレポートによれば、サーバレス技術、ストリームプロセッシング技術、機械学習、サービスとしてのコンテナの利用が爆発的に増えている。
さらに同社によれば、大企業の84%、中小企業の61%がマルチクラウド戦略を採用しているという。全体としては、回答者の勤める企業は平均4.9種類のパブリッククラウドまたはプライベートクラウドを使用していた。
大企業の経費が急増している原因の一端は、Microsoft Azureにある。RightScaleは次のように分析している。
全体的なAzureの導入率は45%から52%に上昇し、AWSとの差は縮小した。Azureの導入率は、2018年にはAWSの70%だったが、今では85%に達している。Azureの追い上げは特に大企業の間で加速しており、大企業ではAzureの導入率が58%から60%に若干上昇しているのに対して、AWSの導入率は67%でほぼ横ばいになっている。Googleは3番目の順位を維持しており、導入率は18%から19%に微増した。提供開始から2年目の「VMware Cloud on AWS」は、今回は順位を4位に上げ、2018年には8%だった導入率が12%になった。これは、年間成長率にして50%に相当する。大企業の間では、ほかのパブリッククラウドプロバイダは軒並み導入率が増加しており、Oracleは10%から16%に(成長率60%)、IBM Cloudは15%から18%に(成長率20%)、Alibabaは2%から4%(成長率100%)に増加している。
クラウドに対する支出が増えるにつれ(大企業の半数が、年間120万ドル以上をパブリッククラウドに支出している)、クラウド経費に対する懸念も増えている。RightScaleによれば、大企業の66%は、クラウドサービスを集中的に管理するチームを設けている。