Gartnerが発表したIaaS分野の2019年版「マジック・クアドラント」は、2018年版と比べると大きな変化はないものの、「Google Cloud」が「Microsoft Azure」および「Amazon Web Services」(AWS)との差を縮めてきていることで、言及するに値する微妙なニュアンスが生み出されている。
Google Cloudはサービスや新たなアナリティクス機能への投資、そして買収によるポートフォリオの拡大を進めるなかで、GartnerのIaaS分野2019年版マジック・クアドラントでビッグスリーの一員としての地位を固めつつあるという。
2019年版のマジック・クアドラントは一見すると、評価対象のベンダー数が激減して6社になり、Google Cloudが「リーダー」タイプに分類されるようになった2018年版とさほど変わっていないように思うかもしれない。しかし、Google Cloudが「実行能力」の評価を伸ばし、Azureは信頼性という点で評価を落としている。AWSは、依然としてナンバーワンの座を維持している。
GartnerによるIaaS分野の評価
とは言うものの、大手クラウドベンダー3社の強みや弱みに関するGartnerの評価には、おなじみのマジック・クアドラントには表れていない数多くの変動要素が存在している。
大手クラウドベンダー3社について、それぞれ以下のようなポイントが挙げられている。
AWS
驚くには値しないが、GartnerはAWSを最もエンタープライズレディであり、かつミッションクリティカルな要求に応えられる大規模プロバイダーと捉えている。またAWSは新たなサービスの提供によってほとんどのユースケースや企業規模を網羅しており、豊富な実績を誇ってもいる。
ただしGartnerによると、AWSは最善の価格を提供しておらず、コンピュート向けのデフォルトストレージの価格は2014年から引き下げられていない点に注意が必要だという。またAWSは市場へのサービス投入でトップを切る場合がしばしばあるものの、豊富な機能が出そろうまでに複数のエンジニアリングアップデートが必要になる。さらに、Amazonと競合する業界の企業では、クラウドプロバイダーをAWS以外にするよう取締役会から指示される可能性もある。