クラウドコンピューティングは2018年に、革新的なサービスの実現を目指す多くの企業にとっての必須プラットフォームという地位を確立した。しかし、クラウド上でのシステム運用が企業にとって真に当たり前の存在となるにはまだクリアすべき課題がいくつか残っている。こうした課題は2019年に解決されるのだろうか?クラウド分野における2019年の重要なトレンドについて、5人の専門家に意見を述べてもらった。
#1:ポータビリティがより重要になる
アナリスト企業Gartnerのリサーチ担当バイスプレジデントであるGregor Petri氏は、クラウドへの移行が進むにつれてクラウドへの依存度が高まる結果、2019年およびそれ以降に問題が持ち上がってくると述べている。同氏は「クラウドはあまりにも容易に利用できるため、業務上の必要からクラウドプロバイダーと縁を切らなければならなくなった際に直面する困難について考えが及んでいない場合もある」と述べている。
Petri氏によると、特定機能がベンダー1社にロックインされても構わないと考えている企業幹部も多いという。しかし、クラウドが業務に必要不可欠なサービスの一部になってくるなかで、多くの人がある程度の多様性や選択肢、ベンダーの変更が可能であることも必要だと認識するようになっている。
Petri氏は「ポータビリティや、将来的なベンダー変更の可否がより重要視されるようになってきている」と述べたうえで、「業界の規制当局のなかには、特に金融サービスのような分野において、そういった要求を出し始めるところも出てきており、銀行はあるクラウドから別のクラウドへと変更する出口戦略を持っておくべきだと示唆するようになってきている」と続けている。
#2:先見の明がある企業はデータの唯一性保証に目を向けるようになる
Marsのデジタル統合担当グローバルディレクターであるAmit Apte氏は、どの企業もクラウドを大規模に利用していると述べている。同氏によると、SaaSについては前に進むうえで必須のものだと捉えるべきだという。同氏は「(クラウドの)魅力は、目的がセールスオートメーションであれ、流通管理であれ、他の何かであれ、それぞれに合致するソリューションが豊富にあるという点だ」と述べている。