Forrester Researchは2017年、2018年にはクラウドコンピューティングがあらゆる領域で企業の変革を劇的に加速すると予想した。この10年間、クラウドは中小企業の成功の原動力になってきており、破壊的な変革をもたらす企業に、世界の大企業と渡り合うためのツールや技術を提供してきた。そして今では、それらの革新的なスタートアップの脅威を受けているエンタープライズ企業でも、大きな変革を起こす原動力になっている。
2018年には、クラウドコンピューティングはあらゆるエンタープライズ企業にとって必要不可欠な基盤になった。クラウドはもはや、サーバやストレージを安価に調達するための場所ではない。また、利用されるクラウドも1つだけではなくなっている。現在のクラウドコンピューティングは、企業が優れたアイデアから優れたソフトウェアを「早く」生み出すための近道になった。今では北米のエンタープライズの60%近くがパブリッククラウドプラットフォームを利用しているが、これはわずか5年前と比べて5倍の数字だという。プライベートクラウドも急速に増えており、企業はワークロードを大手のハイパースケールなパブリッククラウドに移行するだけでなく、自社のデータセンターにも、パブリッククラウドが利用しているのとほぼ同じオープンソースソフトウェアの多くを使って、強力なオンプレミスクラウドプラットフォームを構築している。
2019年に向け、大手クラウドプロバイダーはさらに成長し、コンテナはあらゆるクラウドプラットフォームのあり方を変え、低コストのインフラと高付加価値の開発サービスによって、クラウドがエンタープライズの新たなデジタルアプリケーションプラットフォームとして位置づけられるようになる。その結果、クラウドに対する企業の支出は、わずか数年前にわれわれが予測していたよりも、さらに加速される。
以下では、Forresterの2019年に向けたクラウドコンピューティングに関する予測から3つの要点を紹介する。
- 中核的な業務アプリケーションのモダナイゼーションが始まり、エンタープライズのクラウド支出は急激に増加する。2019年には、大企業がトランザクションシステム、主要なデータベース、在庫管理システム、eコマース、業務アプリケーションなどの基幹業務アプリケーションのモダナイゼーションを先延ばしすることはできなくなる。一部のシステムはクラウドのSaaSアプリケーションに置き換えられ、システムによっては、コンテナやKubernetesなどのクラウドネイティブな新技術を使ってリファクタリングされる。しかしその多くは、新しいデータベースやエッジコンピューティングデバイス、IoT(モノのインターネット)、機械学習、人工知能(AI)などの、クラウドで先駆的な取り組みが進められているさまざまな新興技術を利用して強化されるだろう。企業が先を争って既存のアプリケーションや業務プロセスのモダナイゼーションを進め、すでに手元にある大量のデータから新たな知見を引き出すにつれて、クラウド支出は急激に増える。