クラウドコンピューティングへの移行は加速しており、4年後までには、アプリケーションに対する支出の半分近くがオンデマンドサービスに対するものになるという。
現在、企業のテクノロジ投資の主要分野(システムインフラ、システムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア、業務プロセスのアウトソーシング)全体では、支出の19%がクラウドサービスに対するものになっている。
Gartnerによれば、企業のクラウドベースの製品に対するIT支出の伸びは、従来の非クラウド製品に対する支出の伸びを上回っており、2022年には、この数字が28%まで上昇するという。
Gartnerの調査担当バイスプレジデントMichael Warrilow氏は、「企業のIT支出は、容赦なく新たなクラウドベースの代替製品にシフトしているが、これは従来のエンタープライズITが持つ性質のために、長年にわたって進んできたことだ」と述べている。
分野ごとのIT支出におけるクラウド支出が占める比率
提供:Gartner
Warrilow氏は、支出がクラウドコンピューティングサービスにシフトしつつあるのは、オンデマンドでの機能調達や従量課金が、従来型のITインフラやIT投資よりも柔軟性と機動性の面で優れていると思われているからだと話している。Gartnerによれば、クラウドへの移行によって、2022年までに1兆3000億ドルのIT支出が直接的・間接的に影響を受けるという。
ただし、すべてがクラウドコンピューティングで解決できるわけではない。多くの企業は、依然として既存のITインフラに多額の投資を行っており、そのITインフラを捨てることには消極的だ。コンピューティング能力のレンタルは、柔軟性では優るものの、インフラを購入した場合よりも高くつく場合もある上に、多くの企業は依然として、ミッションクリティカルなデータをサービスプロバイダに渡すのをためらっている。大手クラウドコンピューティングプロバイダが提供するセキュリティや信頼性の水準は極めて高いが、リスクが存在しないわけではない。最大手のプロバイダでも、サービスが中断することはある。
Gartnerは、2022年になっても、エンタープライズIT市場の潜在売上のうち72%を従来型のIT支出が占めると予想している。同社は、これまでのところ、クラウドへの移行がもっとも進んでいるのはアプリケーションソフトウェア市場であり、特に顧客関係管理(CRM)がそれを後押ししていると述べている。
CRM市場ではすでに、従来型のソフトウェアに対する支出と、クラウドに対する支出の割合が逆転する転換点を迎えている。また同社は、2022年末には、Officeスイートやコンテンツサービス、コラボレーションサービスなどのアプリケーション市場でも、従来のソフトウェアとクラウドの逆転が起きると予想している。
Gartnerは、現在から2022年末まで期間においては、クラウドへの移行がもっとも進んでいる市場はアプリケーションソフトウェア市場だが、移行がもっとも速く進むのはシステムインフラ市場だと述べている。これは、既存のインフラの更新が進むためだ。
データセンターのハードウェア、仮想化ソフトウェア、データセンターOSソフトウェアに多額の投資が行われてきたこともあり、これまで、システムインフラ市場のクラウドへの移行は他の市場よりも遅れていた。また、コストが割高で柔軟性が低いと見なされることが多いITサービスの分野でも、クラウドへの移行が遅れている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。