新型コロナウイルス感染症の猛威が世界中を駆け巡って数ヵ月が経ち、もう元のビジネス環境、消費生活には戻らないという声が聞こえてくる。業務のリモート化を筆頭に、中国に依存していたサプライチェーンの見直し、物流や配送のひっ迫など、コロナ渦がもたらした変化は不可逆的なものであり、ビジネスでもアフターコロナの新たなプロセスが形作られ、従来のものと置き換わっていくという声が出ている。
影響が見えやすい小売業の業績を見ると、リアル店舗は大きなダメージを受けている一方で、ECサイトは軒並み新型コロナウイルス感染症の影響で業績を伸ばしていることがわかる。ビジネスプロセスの変化が数字として明確に現れてきているのである。
こうした時代の転換期には、それを待っていたかのようなゲームチェンジャーが現れるものである。その筆頭とも言える企業が、データやAIを交えたビジネスプラットフォームを提供するFLYWHEEL(以下、フライウィール)である。
GoogleのほかFacebookの日本法人では執行役員として事業開発をリードした横山直人氏と、マイクロソフトディベロップメントにおいて検索と人工知能(AI)事業の業務執行役員を務めた波村大悟氏が創業し、国内外のデータ人材が多数集結する精鋭集団である。
あらゆるデータをつなぐことで生まれる価値
「あらゆるデータを連携し、一気通貫して複数の課題を解決する」。フライウィールが提供するプラットフォームの特徴を一言で表現するならこうなる。顧客、パートナー、エンタープライズ、サプライチェーン、IoTなど、企業が持つあらゆるタイプのデータを、1つのプラットフォーム上に載せ、データ生成から収集、蓄積、統合、分析、最適化、活用という一連の流れの中で扱うことができる。
活用の場面を取り出してみると、クロスセルやアップセル、チャーン防止、在庫最適化、広告予算最適化、サプライチェーン最適化など、企業が情報システムを使って実施したいさまざまな事柄を達成できるのである。
図1:一気通貫したフライウィールのサポートでは、データをプラットフォーム上に統合し、アプリケーションでの活用が可能となる。
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従来のエンタープライズシステムでは、ERP(統合基幹業務システム)やサプライチェーン、CRMなどの各システムが持つデータの統合は、EAIなどの連携ツールは存在したものの、煩雑になりがちであった。これらのシステムがもし効果的につながっていれば創出できたはずの価値がこれまで生み出されていなかった。データの利活用を進めるエンタープライズシステムにおいて、CDPやDMPよりもさらに広範囲のデータを効果的に連携させてビジネスの機会損失を回避することは、悲願とも言える命題だ。
株式会社フライウィール 代表取締役CEO 横山 直人 氏
横山氏は起業のきっかけについて、「データとAIを活用してビジネスの構造改革をやりたいという日本企業のリーダーが多かったものの、一気通貫で支援できるプレイヤーが国内に存在しなかったから」と話している。社名であるフライウィールは、はずみ車の意味。はずみ車を回すように、データ間を次々と連携し、複数の課題を解決しながら、データドリブンの意思決定とビジネスプロセスの実現が求められているのである。
グローバルスケールで培った情報検索技術の威力
フライウィールは、構造化データ・非構造化データを問わず複雑雑多なデータを超規模で集め・統合し・意味を見出す「情報検索技術」を用いる。このテクノロジーは、GoogleやMicrosoftで培った検索技術をベースにフライウィールのエンジニアが開発したものだ。