日立JP1 Version 10が目ざす、これからの運用管理--その1

【リレー連載】「語らせて!運用管理のやさしい/やさしくない」 その1 ノークリサーチ シニアアナリスト 岩上由高氏が運用管理に関して語ります!

ある程度の規模を持ったITインフラでは「プール化」が進んでいます。サーバ、ネットワーク、ストレージなど、これまで物理的な筺体と1対1で対応していたリソースが仮想化され、 必要な時に必要な分だけ切り出すということが可能になってきました。これは迅速で柔軟なシステムの実現という観点ではもちろん画期的なのですが、同時にITインフラの運用管理タスクを難しくする要因の一つにもなっています。
この「プール化」の背後に隠れている「難しくて大変な仕事」をどれだけ軽減できるか?がヒトにとってやさしい運用管理のカギであるといえます。つまり、「プール化」の実現に必要な様々なタスクをITインフラ自身がこなしてくるという状態です。これはITインフラの自律化と言ってもよいでしょう。この自律化をどこまで実現できるか?が昨今の運用管理ソフトウェア市場における最大の注目ポイントであると考えています

 こう語る、岩上シニアアナリスト。JP1 Version10で実装された新機能については、どのような感想を持ったのだろうか!?コラムの後半は製品解説の下にあります!

運用管理をめぐる今後の課題は?

 ということで本連載では、日立が発表した統合システム運用管理の最新バージョン「JP1 Version 10」の新機能について、IT業界著名人のコメントと合わせ、3回にわたり解説する。

 近年では、コスト削減やビジネス環境の変化に素早く対応するため企業での仮想化の導入が進んでいる。現場となるIT部門からすると、仮想化への移行を進めるのと同時にいかに効率よく運用管理業務を行うべきかが課題となる。そこで今一度、運用管理体制を見直していく必要性が高まっている。

 しかし、運用管理の背景にある変化はクラウドや仮想化への対応だけではない。デバイスの多様化、グローバル化という潮流もある。また、現場では運用コストの低減、ITによる業務改善、事業継続性も求められている。

 このようにニーズが多様化するなかで、山積する課題をどう克服していくか。課題は作業工数や負担の削減、作業ミスの防止、専門知識を持つ人員の確保、ノウハウの継承など挙げたらきりがない。これらの課題は人に依存することで発生するコストや不確実さともいえる。もう人手に頼るのは限界に来ているのである。

これからの運用管理に、求められるものは?

今回のJP1 Version 10で追加された新機能のなかでも、
・IT運用自動化基盤「JP1/Automatic Operation」(以下「JP1/AO」)
・日立の運用ノウハウに基づく運用コンテンツ
の2つが、自動化の鍵となる。
同時にJP1の技術・ノウハウを応用したサービス商品として、
・JP1 システム監視サービス
・JP1 スマートデバイス管理サービス
を新たに提供開始する。

 コンセプトは「誰にでも簡単にできるやさしい運用管理」。運用の見える化、運用ノウハウの共有化、手順の標準化および自動化、こうしたことにより工数の極小化やミスの低減を目ざす。

 また、「誰にでも簡単にできるやさしい運用管理」で実現の柱となっているのが「ノウハウ」と「インテリジェンス」だ。まずはどう管理したらいいのか「運用管理のあるべき姿」には、実績豊富な日立の運用ノウハウに裏付けされたベストプラクティスが盛り込まれている。

 次にどう実行するか「確実に管理業務を遂行する」ために、一歩先を読むインテリジェンスが備えられている。これは障害の予兆検知や原因究明を支援するためのモニタリング機能が中心になる。こうしたインテリジェンスにより、JP1はユーザーに次にとるべきアクションを確実に誘導することができる。
ノウハウとインテリジェンスが相乗効果を発揮して、「やさしい」は実現するということだ。

記事を読んでのコメント~ノークリサーチ シニアアナリスト 岩上由高氏

JP1/Automation Operation」は先に私が述べた「自律化」を具現化したものといえます。自律化は単なるスクリプトの自動実行ではありません。システムの状態を察知し、ヒトによる確認や入力の結果も踏まえながら処理を進めていく点が大きく異なります。一見すると、ヒトが介在するよりも全自動の方が楽なようにも思えます。ですが、全自動で動作するスクリプトを作成すること自体が大きな負担となりますし、障害発生時の解析も容易ではありません。経験を元に定型化したスクリプトを実行するという面と、システム状態やヒトの判断を臨機応変に組み入れるという面、この二つのバランスが大切です。
上記の説明に当てはめると前者が「ノウハウ」、後者が「インテリジェンス」ということになるかと思います。仮想化を始めとする基盤技術の進化や、プール化されたITインフラの運用経験に応じて、両者の適切なバランスも随時変わってくると予想されます。そうした変化にも柔軟に対応できる運用管理基盤としての役割をJP1には期待したいと考えています

<次回予告 ※10月31日公開予定>

日本仮想化技術株式会社 宮原徹氏

次はいよいよ、自動化を担うJP1/AOと新たに提供されるサービス商品について、踏み込んで解説します。コラム担当は、日本仮想化技術株式会社 社長の宮原徹氏。仮想化技術で運用管理はどうなるのか?専門家ならではの意見も聞ける予定です。乞うご期待!

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