データを“ためる”“活用する”の課題を解決――IBMの次世代データプラットフォーム

予測モデルを業務活用にどうつなげていくか

日本IBM クラウド事業本部 データサイエンス・テクニカルセールス SPSS ITスペシャリスト 西牧 洋一郎氏
日本IBM
クラウド事業本部 データサイエンス・テクニカルセールス SPSS ITスペシャリスト
西牧 洋一郎氏

 一方、データを“活用する”段階においても課題がある。日本IBM クラウド事業本部 データサイエンス・テクニカルセールス SPSS ITスペシャリスト 西牧 洋一郎氏は、「成功率が極端に低い取り組みには、共通点がある」と話す。

 「AI/機械学習を使うことを目的化し、何か業務改革できるものはないかというところから入る、あるいは、たまったデータの中から有用そうなデータを探して分析処理を行うというケースは極端にデータ活用の成功率が下がります。そうではなく、例えば『取引データを分析して、解約する確率が高い顧客を見つけられないか』『IoT監視データを分析して、設備の故障を予知できないか』といったように分析処理を行って予測を立て、データを業務活用につなげるわけです。しかも重要なことは、データ分析の結果を業務活用につなげるところに高いハードルがあり、それを考慮しないと結果的に成功率が低くなってしまうということです」(西牧氏)

 一般的にデータ分析を行う際には、データサイエンティストがデータを定義・規定して予測モデルを作成したのちにモデルを配備・適用する。そこには分析スキル、洞察力などの能力に加え、業務に関する経験と知識が求められる。しかし、そんな有能な人材を抱えられる企業は、ごく一部に限られる。

 「予測モデルをつくるには、業務視点を踏まえた試行錯誤が必須。サンドボックスを使って自由にデータを作って壊せる自由度が求められます。機械学習はチューニングに目が行きがちですが、実際にはこのときの特徴量の抽出方法で予測精度の良し悪しが決まります。例えば、故障予知の特徴量を抽出する場合、単なるセンサーデータの機械的な組み合わせでは不十分で、データの背景知識や業務上どのように実装され施策を打つべきかの勘どころがセットになります」(西牧氏)

図:予測モデルを自動化する 図2:予測モデルを自動化する
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データ分析・活用を自動化するIBMの最新テクノロジー

 このような予測モデルを業務活用につなげる際のハードルを下げるためには、AI/機械学習を適用して予測モデル作成と分析処理を自動化し、予測モデルそのものの精度よりも業務活用につながる確率を高めるPDCAサイクルを素早く回すことが有効だ。そこでIBMでは、最新テクノロジーを備えた製品群を集約し、データ分析・活用を自動化するソリューションとして提供している。

 予測モデルの作成を支援する「IBM SPSS Modeler」はその中核となる。また、予測モデルを既存業務プロセスにリアルタイムに展開したり、自動化をする機能を備えた「IBM SPSS Collaboration & Deployment Services(CADS)」、施策の精度を可視化・共有して検証プロセスを確立するためのBIツール「IBM Cognos Analytics」、個別に算出された予測やビジネスルールを最適化して意思決定を支援する「IBM ILOG CPLEX」などのソリューションも用意している。

 これらのソリューションは、すでに多くの企業に活用されており、例えば国内の大手飲料メーカーでは、IBM ILOG CPLEXを導入してテレビ広告の配置最適化システムを構築した。これにより、宣伝したい商品のテレビCMを最適に放映することが可能になり、ターゲット顧客へのリーチ率が確実に向上して広告宣伝の費用対効果を最大化することに成功している。

データを“ためる”“つなぐ”“活用する”

 今回紹介したデータを“ためる”“活用する”の2つに、“つなぐ”を加えた3つが、次世代データプラットフォームの重要な要素となる。これにより、AI/機械学習などの最新テクノロジーを活用しながらIT部門だけでなく、事業部門が主導して企業の成長につながるデータ活用基盤を実現できる。

 「様々な情報ソースをセキュアで誰にでも使いやすいように“つなぐ”と、例えばDb2 Warehoue on Cloudにデータを”ためる”ことができます。“ためる”こと自体は目的ではなくマネタイズするためにもIBM SPSS Modelerなどで”活用する“ことが求められます。そして“ためる”“活用する”の2つは連続性をもち、高い親和性があるほど効果が期待できます。例えばIBM SPSS Modelerで作成したデータ加工のプロセス(ストリーム)は自動的にSQLに変換されDb2 Warehouse on Cloudで高速に処理されます。またDb2 Warehouse on Cloudが保有する統計関数を選ぶことで、億単位の膨大なデータを結合から、加工、予測、スコアリングまですべてクラウド上で実行することが可能になります」(西牧氏)

図:Db2 Warehouse on CloudとSPSSの連携 図3:Db2 Warehouse on CloudとSPSSの連携
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 データの活用によって成果を得るには、分析結果を業務で利活用するための全体設計と、PDCAサイクルを回して精度を向上させる取り組みが必要になる。それを実現するソリューションが、IBMの次世代データプラットフォームというわけだ。

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