Cloudantの最大の特徴は、DBaaS(Database as a Service)であることだ。一般的に「クラウドで提供」という場合、サーバとOSは構築済みであるものの、その上で稼働するミドルウエアの導入や設計、チューニングは、ユーザー自身で行わなければならない。いわゆるホスティングである。しかし、DBaaSのCloudantであれば、データベースはすでに実装され、サービスとして提供される。ユーザーは、運用管理や保守といった"システムのお守り"をする必要がない。パフォーマンスのチューニングも、Cloudantのサービスメニューに包含されている。野間氏は、「例えば、Cloudant上で操作していたアプリのパフォーマンスが低下した場合、お客様はIBMに連絡するだけです。チューニングやノードの追加といった作業は、すべてIBMが実施します。もちろん、お客様がパッチの適用などを気にする必要は一切ありません」と語る。
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レプリケーションも、容易だ。データのレプリケーションは、レプリケーション元とレプリケーション先を入力するだけで、データセンターを越えたレプリケーションを容易に設定する事が出来る。地域をまたがってデータをコピーすることで、可用性も担保することができるのだ。また、モバイル端末のアプリケーションとのデータ同期も柔軟だ。データはサーバと端末に保存することが可能で、Cloudantからデータのプッシュとプルを行うことで、複数デバイス間のデータの同期を実現。ネットワークに接続できない場合は、ローカル・ストレージからの読み取り/書き込み処理を提供する。接続が再開されると同時にサーバとのデータの同期が行われ、同じデータソースに接続するその他のデバイスのデータを同期する。
6ノードが半年で200ノードに!!
スケーラビリティに優れたCloudant
では実際、Cloudantはどのような企業で活用されているのだろうか。いちばん多いのが、ゲームやWebサービス開発/展開する企業であるという。例えば、モバイルオンラインゲームは、ある日突然、特定のゲームにアクセスが集中することがある。米国Hothead Gamesもその1社で、「Big Win Soccer」がiPhone App Store のスポーツ・カテゴリで1位になった瞬間から、ダウンロードが集中した。当初、同社はCloudantを6ノード利用していたが、半年後には200ノードのクラスタを利用するようになったという。同社は「Cloudantを利用することで、データが急増してもデータベース管理者を採用する必要がなかった。また、データベース・チューニングのために開発時間が犠牲になることもなかった」とコメントしている(詳細は巻末のホワイトペーパーダウンロードを参照)。"当たり外れ"が激しいゲーム業界では、柔軟なスケーラビリティを持つデータベースが不可欠なのは、当然のことだろう。
また、メールの配信サービスを手掛ける米国Postmarkでは、大量のメールを一斉配信し、ユーザーの反応を分析する基盤としてCloudantを導入している。当初、同社はNoSQLサーバをオンプレミス環境で利用していたが、スケーラビリティの確保が難しくなりCloudantへ移行した。これにより、サーバのサイズを増大させることなく、処理できるデータの容量を5倍にしたという。ちなみに、データベースの移行作業に要した期間は、わずか1~2週間だったとのことだ。
このほかにもCloudantは、金融、製薬、運輸、通信、ソフトウェア開発などあらゆる業種/分野の企業で活用されている。
Cloudantは、無償でスタートできる野間氏は、「利用までの手順は、わずか3ステップです。自社のヒューマンリソースをアプリの開発に割り当てたいお客様に利用して頂きたいのはもちろんですが、今までデータベースの管理を担当していたシステム部門の方にも、ぜひ触れて頂きたい。『こんなことがこんな簡単にできるのか』と驚いて頂けると思います」と力強く語っている。