成長を続ける巨大市場インドネシア、日本企業進出で外せないポイントはココにある

インフラの課題に対応したクラウド「Biznet GIO Cloud」

 そうした進出企業のビジネスを支えるために、IIJでは2015年1月にインドネシア国内最大の民間通信事業者であるBiznet Networksと合弁会社を設立した。Biznet Networksと協力しながら、安定したICT環境を提供できるサービスの開発に取り組んできた。そして5月26日にクラウドサービス「Biznet GIO Cloud」の提供を開始した。現地でのインフラ事情について、延廣氏は次のように説明する。

 「インドネシアは、1万3000以上の島々で構成される海洋国家です。民族や文化もバラバラで、各地域を網羅したインフラはありません。また、ジャワ島に1億人、首都ジャカルタに1300万人が居住するなど極端な人口集中も見られます。ネットワークインフラは、財閥の力が強く、アクセス回線(キャリア)とインターネットサービスプロバイダーは明確に分離されていません。そうしたインフラ環境がビジネスにも影響を与えています」

 自社だけではアクセス回線を整備しにくく、自社データセンターを構築、運用することはかなり難しい状況だという。現地のサービスプロバイダを利用する場合も、ネットワーク品質が安定しない。また、新興国が抱えるリスクとして、自然災害や停電への対策が十分ではないことも挙げられる。ときには、データセンターが被災してデータを消失することもあるという。

 エンジニアの人材確保が難しいことも課題だ。大学進学率は5%程度で、ITに精通しているエンジニアの数自体少ない。その一方で、スマートフォン向けゲームやアプリ開発が急速に発達しているため、若手エンジニアは、アプリ開発に目を向ける。ネットワークやサーバなどの基盤技術に精通したエンジニアが不足し、うまく採用できても人材市場の給与上昇率が高いため1~2年で"ジョブホップ"して辞めてしまう。

 「インフラが不安定でエンジニアも不足。自社でサーバを保有するのはリスクでしかないのです。そうしたなか急速にニーズが高まっているのがクラウドサービスです。現地には、クラウド事業者の数自体が少ないこともあり、サービス発表後、日系大手保険会社、大手リテーラ、現地たばこ会社などすでに数十件契約をいただいています」と延廣氏。

自社ビジネスにクラウドをどう生かすか

 インドネシアのビジネスを支えるために不可欠とも言えるクラウドサービス。IIJのBiznet GIO Cloudでは、信頼性、柔軟性、接続性を特徴とし、現地企業のビジネスを支援することができる。同社のクラウドは、現地のどんなビジネスにどう適用できるのか。また、IT部門は、同社のクラウドを使うことで、どんなメリットを得られるのか。

 延廣氏によると、インドネシアにおけるIT活用で注意しておきたいのは、サービスとして提供されるスペックと実態の差が相当あることを意識して設計上考慮しておくことが重要としている。つまり、単にデリバリーされるサービスを利用しているだけでは、うまくいかないということだ。例えば共有のインターネット回線帯域が1Gbpsあると謳われていても先に述べたアクセス網の関係で地域によってはアクセススピードが全く出ないなど、エンドユーザに見えない部分が沢山ある。そこで、ポイントになってくるのが信頼できるパートナーとの協業だ。スキルやノウハウをもったパートナーと試行錯誤し、クラウドをどう自社に生かすかを検討していくことになる。

 また、ビジネスを進めるうえでは、今後の経済発展の状況も見据える必要がある。マクロな視点では、今後、AECによりメコン流域の関係性は大きく変わってくる。IT担当者にとっては、シンガポール、ミャンマー、タイ、ベトナム、カンボジアといった諸国でのビジネス展開をクラウドを使ってどうサポートしていくかも考えておく必要がある。

 では、インドネシアビジネスにおいて、クラウドを使ったITを構築していくうえでの勘所は何なのか。IIJは9月15日、その勘所を紹介するインドネシアITセミナーを東京で開催する(ライブ配信も実施)。セミナーには、延廣氏も登壇。「誰も教えてくれないインドネシアでのIT構築の勘所」と題して、ここで簡単に触れたインドネシアのIT事情を"生の声"として届ける予定だ。

 延廣氏自身は、ネットワークのスペシャリストとして、2012年からインドネシアの合弁事業設立に着任し、クラウドサービスの立ち上げを指揮してきた。スキルをもったITの専門家ならではのインドネシアビジネス観は、これから進出を目指す企業や進出後に課題を抱えている企業の担当者にとって、貴重な話になるだろう。


松井グローカル
代表 松井 和久氏

 同セミナーでは、インドネシアの政治経済分析の第一人者である松井和久氏を講師として迎える。松井氏は1985~2008年にアジア経済研究所(現ジェトロ・アジア経済研究所)でインドネシア地域研究を担当した経験などインドネシアに最も詳しい日本人とも言える。

 2.5億人の人口を抱えるインドネシアが中長期的に有望とされる背景を明らかにするとともに、新政権の経済政策の方向性と短期的に直面する問題点を踏まえたうえで、アジアにおけるインドネシアの動き方や日本と日本企業への今後の影響などを解説する。

 さらに、最近のインドネシア国内で注目される「ルピアの国内使用義務」や「電子決済に関するデータ保管」などの有益な情報もセミナーで講演される予定である。

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インドネシアITセミナー

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お問合せ先

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)
グローバル事業本部 グローバル企画部
global-marketing@iij.ad.jp

提供:株式会社インターネットイニシアティブ
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2016年2月20日
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