好機到来!? Windows Server 2003サポート切れ間近の今こそITインフラ全面リプレースのチャンス…かも!? - (page 3)
まずは社内のファイルサーバ利用の実態をチェックだ!
「カワシマさん、ひょっとしてハードウェアのリプレースも考えているんですか」- 出入りのSIerから受け取ったパンフレットをいろいろ眺めていたカワシマの背後から、あまり聞き慣れない声がした。オオクボだ。
「え、ああ、そうだけど…まだ何台かは買える予算あるし」「クラウドは検討しないんですか」 - こいつもクラウドかよ… カワシマは心のなかでかるく舌打ちした。実はナカタニ部長やその他の上層部からも「カワシマくん、クラウドはどう?」と言われていたのである。
まったく、クラウドが何かも知らない奴に限ってクラウドクラウド言いやがる…、カワシマはそう毒づきながら「クラウドっていっても、いろいろあるから。ウチみたいなSMB(Small and Medium Business)にはAWSなんかのパブリッククラウドはオーバースペックにもなりかねないし」とカワシマはパンフレットに目を戻して答えた。だが、ふだん無口なオオクボがめずらしく食い下がる。「ハードを買い替えるにしろ、現状のWindows Server 2003の使われ方を調査してからでも遅くないと思いますよ」「へ?」 - え、ナニこいつ…? ひょっとしてITにくわしい?
そういえばITの専任になって以来、カワシマは社内のファイルサーバにアクセスしたことはほとんどなかった。いや、正確に言えばファイルの中身を見たことがなかったと言える。社員がどういうふうにWinows Server 2003を使っているのか、あまり考えたことはなかった。「この間、ちょっと営業部のファイルサーバの調子がおかしいから見れくれないかと頼まれた時に覗いんたんですが…、けっこうひどい使い方してますよ。権限管理もめちゃくちゃだし、デスクトップにファイルは置きっぱなしだし、ゴミ箱同然と言ってもいいかも」「営業資料のバックアップに使っているんじゃないの? 前聞いた時はそう言っていたけど」「取っている人と取っていない人がバラバラです。それも定期的に取っているわけじゃなく、ファイルの更新を把握していない感じです。たぶん、他の部署も似たような感じじゃないでしょうか」 - おいおい、なんだよオマエ、そんなことまでチェックしてたの?
仕事ができる先輩が退職してからというのもの、ITの何たるかをまったく知らないナカタニ部長が相手じゃ、まともな専門用語を織り込むことすら難しかったカワシマにとって、久々に知的興奮を覚える会話である。「じゃあさ、キミはどうすればいいと思う?」「まずは近い将来に実現したいことをリストアップすべきじゃないですかね。いちおう、僕が考えた案もあるんですがご覧になりますか?」 - もちろん、見るよー!
- 社内にファイルを眠らせておいても意味がない、もっと活用すべき
- 外部の人にファイルを送る手順、圧縮して、パスワード設定、URLを送り、別メールでパスワードというのがとても面倒
- 可能であれば、スマホやタブレットなどを使って外からも見たい
- バックアップもしっかり定期的に過不足なく取るべき
そう考えると…
所有せず、使った分だけ払うモデル=クラウドのほうが良くなる可能性大。
その理由は
1. 持つ ⇒ 上限が決まる ⇒ 分配する ⇒ 上限に達するまで個人は何もしない
…結果としてゴミ箱化 ⇒ 片づけを強制しても、また同じことの繰り返し
2. "使った分だけ支払う" ⇒ 片づけ = コスト削減活動! ⇒ 自然と"必要か不要か"を意識する ⇒ 何が保存されているか、把握するチャンスが増える ⇒ ファイルの利用が促進される
そうか、何が必要かをきっちり想定すれば自ずと検討すべき点も明確になる。実現したいことを描けば、価値観も決まってくる。それにしてもオオクボがこんなに使える奴とは知らなかった。営業部の奴らはどこに目をつけて役立たずと言ってたんだ? 「よし、オオクボくん、作戦を一緒に立てよう。ハードウェアの買い替えも捨てたわけじゃないけど、クラウド中心に見ていくのはいいかもしれない」 - カワシマは部長に言い渡された時とは違うモチベーションが湧いてきた。
「まずはSaaS、企業向けのストレージサービスなんかを利用するのというのもありかも、最近よく聞きますね、値段も安くて従量課金だし、」「でも保存するファイルの選定に悩みそうじゃないか、」「あ、あとオープンソースのMySQLなんかを使えると簡単な業務用Webアプリを作るにも良さそうだけど、IaaS、PaaS、SaaSといろいろありますけど、まずはやりたいことを明確にすべきかと、カワシマさんのやりたいことじゃなくて、それぞれの部署の人達のやりたいことを、」「そうだな、じゃあまず調査だ!」 - ところでオオクボ、オマエはいったい何者なんだ?(つづく)