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IoT時代の新たなモノ作り レッドハットとアヴネットのパートナーシップが意味するもの(後編)

幅広い用途で普及しつつあるIoTデバイス、セキュリティやコミュニケーションなど用途が拡大しつつあるアプライアンス。今、こういった組込みコンピュータの市場を睨んで、レッドハットとグローバル技術商社アヴネットがパートナーシップを深めている。後編では、これらの市場に向けたテクノロジーについて語ってもらった。

ARM版RHELについては、日本発で組込み用途の流れを作りたい

 今回の協業では、単にアヴネットがレッドハットのソフトウェアを提供するというだけでなく、顧客のモノ作りに向けた提案からサポートまで広く関わっていく。レッドハット側は、そのための技術支援も進めている。アヴネット マーケティング統括本部 エンベデッド事業本部 エンベデッドソリューション部 部長の小川貴弘氏は、技術面からのレッドハットへの期待を以下のように語る

小川貴弘氏
アヴネット
マーケティング統括本部
エンベデッド事業本部
エンベデッドソリューション部
部長 小川貴弘氏

 「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)は、OSとして軽く、Windowsより広い領域をカバーできるため、組込み用途にも適しています。今後登場するというARMアーキテクチャ対応版のRHELは特に注目で、グローバルのソリューションになり得るでしょう。レッドハットには、これまでにもエンタープライズ市場で手掛けてきたのと同様に、ドライバを複数バージョンに渡って使っていけるような互換性への取り組みを組込み市場でも期待したいですね」

 組込み機器、とりわけIoTではx86アーキテクチャ以外にも様々なプロセッサが使われており、中でもARMは有力なプロセッサの一つだ。ARMは特に小型・省電力が求められる用途に強みを持ち、x86より広い範囲の機器で採用されている。レッドハット テクニカルセールス本部 エンタープライズソリューションアーキテクト部 ソリューションアーキテクトの橋本賢弥氏も、同じく組込み市場でのARMの存在感を重視している。

橋本賢弥氏
レッドハット
テクニカルセールス本部
エンタープライズソリューションアーキテクト部
ソリューションアーキテクト
橋本賢弥氏

 「ARM版RHELは順調に開発が進んでおり、そう遠くない時期に正式なお話ができると思います。まず主軸となるのはエンタープライズ向けで、これはPowerプロセッサなどへの対応と同様、サーバにおけるマルチアーキテクチャ対応という狙いがあります。しかし、ARMの用途を考えると、将来的には組込み市場においても安定したサポートを提供できるRHELのニーズがあるのではないかと私は考えています。」(橋本氏)

 このARMアーキテクチャの開発元である英国ARM Holdingsは、2016年夏にソフトバンクがIoT市場に向けた戦略の一環として買収し、傘下に収めたことでも話題になった。アヴネットはそれを踏まえ、以下のように今後の意気込みを語った。

 「ARM版RHELの開発は、レッドハットとARMをはじめとしたパートナーとも協業で進めていると聞きますが、そのARMがソフトバンク傘下ということは、意志決定に日本が関わっていることを意味します。当社とレッドハットも日本法人どうしの関係を深めていくことで、ARM版RHELについては、ここ日本から組込み用途の流れを作っていきたい、という意欲もあります」(小川氏)

 相乗効果が期待できる分野は他にもある。例えばFPGAだ。かつてFPGAは単価も開発難易度も高いとされてきたが、近年では両方の面でハードルが下がり採用しやすくなってきた。むしろ柔軟性の高さが評価され、多品種少数生産となりがちなニッチな分野の機器や、汎用ロジックデバイスにない仕様が求められる機器などで利用が拡大している。このFPGA上には、他のロジック回路と組み合わせてARMなど汎用プロセッサをソフトウェア設計で実装することが可能となっており、これらはLinux系OSで動作させるケースが多い。アヴネットが販売するFPGAの上でレッドハットのOSやミドルウェアを稼働させる、といった利用形態が実現すれば、ARM版 RHELと同じく両社のアライアンスが強い武器となることだろう。

パートナーシップを通じ、顧客企業や市場にも相乗効果を

 さて、両社が提供する組込みハードウェア・ソフトウェアは、組み込まれる対象である様々な機器やシステムがあってこそ生きてくる。日本法人どうしのパートナーシップでは、当然ながら主な提案先は日本の製造業となる。そうなると、気になるのは近年の日本企業のイノベーションの速度だ。世界を出し抜くようなユニークな商品やビジネスを、今の日本企業がどれだけ出せているだろうか。イノベーションを加速させるためには様々な取り組みが必要だが、モノ作り文化だけに限ってみても改善の余地があると小川氏は指摘する。

田中勝幸氏
レッドハット
パートナー・アライアンス営業統括本部
OEM事業本部 Embedded営業
シニアパートナーセールスマネージャー
田中勝幸氏

 「海外では、いち早く商品化していき、市場のフィードバックを得て後から改良していくという手法が目立つのに対し、日本では社内で丁寧に作り込み完成度を高めてから販売するという文化が根強い印象があります。かつてはビジネススピードが緩やかで日本型の文化が強みを発揮できましたが、これからの時代を勝ち抜くにはアイデアを形にしていくスピードが求められます。そのためには、アイデアを形にするところにリソースを集中させるべきでしょう。そうなると、コモディティの部分は外部のコンポーネントを取り入れるのが多くなります。しかし、ここもおろそかにできず、例えばセキュリティや互換性、継続的に長く使えることなどを意識して外部のコンポーネントを選ぶことが重要です。こうしたときに、当社およびレッドハットに相談していただければと思いますね」

 昨今、ある程度の規模の企業は、日本だけでなく世界中に拠点を持つようになっており、開発や生産も世界規模で行うようになってきた。こういった顧客に対し、グローバル技術商社であるアヴネットは、自社の世界的ネットワークを生かした活動にも力を入れている。

 「社内では『グローバルアウトバウンド』や『グローバルインバウンド』と呼んでいますが、海外チームと互いに連携し合いながら顧客企業が持つ各国の事業拠点に対し提案やサポートを行っていく体制もできています。海外拠点で採用したコンポーネントを日本の拠点でも活用する、といった流れにも対応できます」(小川氏)

 今、組込みハードウェア・ソフトウェアの市場は、急激に拡大しながら大きく変化しつつある。そのタイミングでアヴネットもレッドハットも既存ビジネスの隣接領域へ踏み出し、互いの事業領域が重なり始めたことを認識して、今回のパートナーシップが成り立ったのだ。両社とも、この新たなパートナーと市場に大きな期待を寄せており、アライアンスを通じて相乗効果を両社および顧客企業にもたらそうとしている。小川氏は、具体的な目標も示してくれた。

 「我々のチームでは、全体のビジネスを伸ばす上で、その中で今回のレッドハットとの協業領域を含めた新たなビジネス領域の売上が占める割合を3年間で全体の半分まで拡大するという目標を持っています。しかも既存のビジネス領域も伸ばしつつ、新たな領域の分でさらに上積みするというものです。これを実現するためには、奇をてらったことをするのでなく、既存ビジネスに隣接する領域へ進出して着実に伸ばしていくことが重要です。そこにはレッドハットが、心強いパートナーになってくれると確信しています」

提供:レッドハット株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2018年1月31日
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