「スマートデバイス」の急速な普及に合わせて、企業においても「モバイルファースト」、つまりユーザーがモバイル機器を使うことを前提としたシステムの構築やポリシーの策定を進めていくべきだというトレンドが生まれている。しかし、その対応を考える際にも「セキュリティ」をいかに確保するかという課題が残る。今回は、モバイル対応のメリットを迅速に享受するために、Office 365、Google Apps、社内ポータル閲覧などのWebベースでの仕事を、社外からセキュアに行うためのシンプルな方法を考えてみたい。
近年のスマートフォンやタブレットといった「スマートデバイス」の急速な普及に合わせて、企業においても「モバイルファースト」、つまりユーザーがモバイル機器を使うことを前提とした、システムの構築やポリシーの策定を進めていくべきだというトレンドが生まれている。
ユーザーが会社のデスクに縛られず、スマートデバイスやモバイルPCなどを通じて「いつでもどこでも」仕事ができるような環境を用意しておくことは、従業員の多様なワークスタイルへの対応もさることながら、生産性の向上といった面で、企業にもメリットがあるとされている。
こうした「モバイルが当たり前」の時代に、ユーザーが社内だけでなく、外出先や自宅などからも仕事が進められる環境を整えようという場合には、当然のことながら「セキュリティをいかに確保するか」についても合わせて考える必要がある。
ワークスタイルの変革
「モバイル対応」のアプローチはどれも一長一短?
社外から、社内のシステムにアクセスできる環境を作りたいという場合、一般的には、従来に比べて手軽に利用できるようになった「インターネットVPN」などを検討するケースが多いだろう。ただ、社外から社内のネットワークやシステムにインターネットVPNを通じてアクセスできる環境を作り、なおかつセキュリティも確保しようと考えると、ネットワークの設定やポリシーの策定、実装が大がかりになりがちといった点で二の足を踏んでしまうケースも多いようだ。
また近年では、多様なスマートデバイスに向けた業務向けのソリューションも用意されている。必要に応じて、モバイルデバイス管理(MDM)や、外部から端末内のデータを消去する「リモートワイプ」といった高度な機能を使えるケースも多い。ただ、モバイルファーストの流れが今後も長期にわたって継続すると考えると、課題も残されている。
いまだ発展期にあるモバイル機器のトレンドは、今後も変化しつづける可能性が高い。その際、将来的に主流となっている端末やOSも変化していくことになる。ある特定の端末やOSに強く依存するソリューションは、そうした変化に長期にわたって対応できるかといった点で不安が残る。また、ユーザーがそれぞれ私用の端末を業務に利用する「BYOD」への対応も視野に入れているのであれば、なおさらデバイスやOSへの依存が強いソリューションは避けたいところだ。
一口に「モバイルファーストに対応する」と言ったところで、その技術や実現方法にはさまざまなアプローチがあり、それぞれに利点と課題がある。導入や運用のコスト、将来性といった点もまちまちだ。
だからといって、検討にあまり時間をかけていては、いつまでたっても「モバイル対応」のメリットを享受できないということになりかねない。場合によっては、時間をかけて導入を決定したソリューションが、稼働開始時には古くて使いづらいものになっている可能性さえある。
今回は、モバイル対応のメリットを今すぐ享受しつつ、将来的なトレンドの変化も視野に入れたアプローチのひとつとして、Webベースでの作業を、社外からセキュアに行うための方法を考えてみたい。